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潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい  作者: 葉方萌生
第三章 波の音

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頼もしい親友

 ピロロロン、とメッセージアプリの通知音が鳴った。アプリを開くと菜々からだった。

 親友からの連絡でほっと胸を撫で下ろす。ここのところ神経が張り詰めていてなんだか落ち着かない。

 救いを求めるような心地で菜々とのトーク画面を開いた。


【朝香、ネットの記事見た!? 翔が活動休止だって! この間再会したときはそんなこと一言も言ってなかったのに】


 メッセージの後、彼女はネットニュース記事のURLを送ってきた。ちょうど私が今眺めていたのと同じものだ。大手メディアが報道している彼の活動休止の記事は、よく見ればほんの三十分前に公開されたものだった。


【今、ちょうど私も見てたところ。私も、ちょっとした休暇で帰ってきたって聞いただけだから、本当にびっくり】


【だよね? てか朝香、翔に会ったの?】


【え、あ……うん。昨日の晩と、今日も、ちょっとだけ会って話したんだ】


【へえ、そうだったんだ! 変わってないよね、あいつ】


【うん、変わってなかった。昔と同じテンションで接して来るから、調子狂う】


【マジ? やっぱ昔のことだし、元恋人ってことは置いておいて、友達として朝香のこと好きなんでしょ】


【そうなのかな。まあ、そう思うことにする】


 菜々も言っていた通り、翔にとっても私と付き合っていた過去は「時効」なのだろうか。そうだとすれば、私だけが別れた恋人にずっとこだわっていて、子供じみている。


【それはそうと、活動休止ってなんだろうね? 朝香は心当たりある?】


【いや、それが全然。もしかして重い病気だったり……とか考えちゃう】


【あーそれ、私も思った。でもそういうの、本人には直接聞きづらいよね】


【そうなの。本人に聞く勇気はないんだ。だからまたネットで情報が出るのを

見守るしかないかな……】


【情報、いつか出るのかな。私、もし機会があったらちょっと探ってみようかと思う】


【本当に? まあ菜々なら嫌味なく、それとなく聞き出せるのかも】


【任せて!】


 親友の頼もしい言葉にくすっと笑ってしまった。

 菜々と私と翔は、高校二年生の時に同じクラスになって仲良くなった。菜々とは幼馴染だったので、私が菜々と翔を引き合わせたかたちだ。それから隼人も、二年生でもまた同じクラスで、四人でつるむことが多かった。


 四人で過ごした日々の輝きが、胸の中にまだ色濃く残っている。

 菜々と翔は姉と弟、師匠と弟子みたいな関係だったので、二人のやりとりを見ているといつも清々しい心地にさせられていた。普段、クラスメイトから、いや学年全体から慕われていて人気者の翔だったが、菜々の姉御肌な物言いに尻に敷かれているみたいだった。二人の遠慮のない関係性が好きで、隼人と一緒に四人で過ごす時間が最高に楽しかった。隼人は隼人で、馬鹿っぽく翔をいじるし。翔はそんな隼人には遠慮せずに本音で腹を割った話もできていたように思う。


 とにかく、菜々ならば翔の活動休止の真実を探り出せるかもしれない。

 そんな予感がしていた。


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