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36話 新たな地へ コロシアムのある街カダッカ

これは……

「あ、気になります?カダッカの街で開催される大会」


トートの件から翌日。一晩が明けたグレイ商会の壁に、大会の開催予定日を知らせる紙が貼られていた。


「血湧き肉躍る闘いで対戦者を打ち倒し、優勝を手に。優勝者には名誉と豪華景品が待っている……こんな大会があったのか」


悪意の化身が私の横から壁紙を覗き、書かれていた文を読み上げた。


「毎年その街にある支店の視察に行くのですが、その時に懇意にして貰っている大会の運営者から、この前宣伝用に貰った物ですね。あ、もしかして気になりますか?」


早朝で店の準備を進めるリンからの問い掛けに、悪意の化身が私と一度目を合わせ、悪意の化身が頷いた。


「そうだな。こんな大会があれば、こちらとしては現状行かない理由が無い。大会に参加できずとも観戦は可能だろう?」


「はい。観戦は勿論可能ですよ。コロシアムが観客でいっぱいいっぱいだったら流石に無理ですけど」


「そうか。ユウはどうする?行くか?」

急に私に話が振られた。どうしよう……


……リンも悪意の化身も顔が行こうと言っている。拒否権は無さそう。でも何故悪意の化身が……


「……行く」




行くことが決定してから約1時間ほど。すぐにリンの準備が完了し馬車が用意された。私と悪意の化身は必要な物品が無いから手ぶら。


「それでは行ってみましょうか。少し遠いですが、馬車なら明後日ほど到着します。グレイ商会の支部に持って行く商品で馬車の中は少々狭いですが、大丈夫ですか?」

「……大丈夫」


確かに狭く肉体の可動域は狭いものの、物として徹すれば充分な広さ。悪意の化身は私の隣に座り、馬車が動き、シュッダの街を出発した。




シュッダの街を出てから2日目に入った。


ガタガタと揺れる舗装されていない道。シュッダの街の草原を抜け広い荒野に入り、特に代わり映えの無い景色。そしてそれと並走する別の馬車。


「まさかわち等と同じ目的の冒険者と会うとはねぇ」

「それだけ有名で大規模な大会と言う裏付けだろう。今から楽しみだ」


冒険者を名乗る三人組。大剣を背負った男とこちらを見て微笑む女と馬車の片隅でうずくまる低身長の男。それと御者の老人。


カダッカの街に向かう途中。たまたまこの馬車と出会い、お互いに不審な者では無いことの確認と交流をしたら、乗っていた冒険者三人組が行先が同じだとして、物に徹していた私と悪意の化身を見かねた冒険者三人組がその馬車に乗るのを勧められ、今はその馬車に乗りリンが動かす馬車と並走している。


「お!見えて来た。あれがカダッカの街か」


少し視線を動かし、馬車の中から進行方向を覗く。数百m先にはシュッダの街のような壁と出入りを繰り返す幾つもの馬車と人。


「そう言えばだが、君等は大会の優勝景品を知っているか?」


突然大剣を背負った男からそんな質問が投げかけられた。でも……

「知らない」

「知らないな。あの紙には豪華景品としか書かれていなかったから、珍しい何かではあるだろうが……」


「……そうか。気になるな。どんな景品が待っているのか……」


その言葉を最後に、馬車の中は沈黙に包まれた。何故だろうか……?




カダッカの街は、シュッダの街に似通ったものの少し違う建築物が立ち並び、人々が忙しなく動き回り、意味の分からない熱気に包まれた街という印象を受けた。


がやがやとした雑音が街全体で響き、シュッダの街の数倍はうるさい。私の聴覚には……数km先の羽虫の音を拾えない程度にまで影響が出ている。


門をくぐり馬車が幾つも停泊する場所であの冒険者三人組とは別れ、再びリンの馬車に乗りまずはグレイ商会の支部に向かうことになった。


少しの時間でグレイ商会の支部に到着し、リンは馬を連れて馬小屋に連れて行き、私と悪意の化身は馬車にある物品を下ろす。途中でグレイ商会の支部の従業員らしき人間が手伝い、リンが戻る頃にはその作業は完遂した。


残る馬車はその従業員に任せ、リンと共に大会を行うコロシアムに向かう。場所はリンがその場から指を差し、その先にはカダッカに存在する建造物の中で一番大きい建造物があった。あそこが大会を行う場所。コロシアムらしい。




「ようこそ。ここは年に一度の武闘大会、3人タッグのバトルコロシアム!……ですがまだ準備の最中です。4日後の開催を予定しておりますが、もしや参加しますか?丁度良かったですね。受付はこちらで可能ですよ」


コロシアムの入り口付近には、さっきの冒険者三人組と会話し何かの作業をした人間がそこにいた。そしてある程度近付いた瞬間に突然そう言われた。


「る……ルールが変わってる?!去年は2人だったのに!」

その人間の言葉に、リンが頭を抱えた。


「明日までが受付の締め切りなので、お早めに。もし見つからなければどうぞ観戦して頂ければ。観戦の受付もこちらで行えますよ」


悪意の化身がリンを連れてこの場から離れ、私もそれに付いて行く。


大会に参加するには3人必要だとすると、私と悪意の化身の2だから1人足りない。リンは流石に非戦闘員だから大会の参加は無理。でも悪意の化身の顔……大丈夫だと言わんばかり……


「ど、どうします?コロシアム参加には3人必要なのに、ユウ様とアクイ様しかいませんよ?明日までにあと1人を見つけないと……」

「大丈夫だ。こんな時を見越して助っ人を呼んでいる」

「え!そうなんですか?!流石アクイ様」


悪意の化身の顔と色。それと……この気配……


……もしかして……

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