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31話 穴の先の洞窟の先 古代の遺跡、滅びし王国の跡

鳴った地点まで到着した。


そこには10体ほどのゴブリンとゴブリンに類似した人間の2倍ほどの身長を持つ生命体。それに対峙するようにデムランとシュシアとトートが戦っていた。


……加勢しなくても……


「〈火炎属性付与フレイム・エンチャント〉」

「〈死霊の行進(ワイト・デス・マーチ)〉」

「おらぁぁぁぁ!!」


……よさそう。


デムランが炎を纏った剣で一撃でゴブリンに類似した生命体を斬り伏せ、シュシアがいつの間にか収集していた魂が残るゴブリンの魂を喰らい尽くし、トートは槍を振りかぶってその場で転んだ。




戦っていた3人に合流してここで何をしていたのかを聞くと、3人それぞれが理由を言った。


デムランがあのゴブリンを指揮しているであろう生命体を先に見つけて突撃し、デムランを見つけたトートが戦うデムランに合流し、トートを探しに行ったシュシアが戦う2人を見つけ加勢したらしい。


村に戻ると、村の者達からお礼として銅貨40枚と充分な食糧を渡された。


私は要らないけれど……人間には要るか。


何故ゴブリンに襲われていたのかが少し疑問だったけれど、デムランが言うにゴブリンは人間を食糧にするそうだ。理解した。




改めて出発してトート曰く目的地があると言う樹海に入り少し経つと、樹海にポツンと存在している10mほどの穴の前で立ち止まった。


「着きました。この穴の先の洞窟の先に、古代の地下遺跡があります」


そう言うと長いロープを取り出して近くの木に括り付けた。そしてロープを穴の中に投げ入れ、ロープを引っ張りしっかりと強固に結べていることを確認し、穴の下の安全を確認する為デムランが先にロープを伝って降りて行った。


デムランが穴の下まで降りると、持っていたランタンを灯しこちらに見せるように掲げた。


「大丈夫のようですね。それでは順番に1人ずつ降りましょうか」




ロープを伝って全員が穴の底に降りた。


上から光が届いているが、流石にこの先は人間の目には暗いのかデムランとトートがそれぞれランタンを持って先を照らしていた。


「〈光灯ライト〉」


シュシアは手から小さな光を発する球体を出現させていた。不明なエネルギーでかなりの光量を維持しているから、恐らく魔法だと思われる。


「キャキャキャキャ!!」


……穴の下にある一本の洞窟の先から鳴き声が聞こえる。反響してかなり聞こえやすい……けど私と悪意の化身以外は気付いていないらしい。


鳴き声はこっちに向かって来てる……見えた。蝙蝠の大群。


「今から27秒後に蝙蝠の大群がこっちに突っ込んで来る」

「……成程。走って突っ切った方が良さそうだな」


警戒し構えた武器を仕舞い、デムランがそう言って手から炎を発生させた。


「〈火炎属性付与フレイム・エンチャント炎鎧ファイアアーマー〉」


その炎が全員の体に纏った。


「今全員に炎を纏わせた。流石に炎には突っ込まないだろう。27秒で合っているか?」

「合ってる。今7秒」


「よし、全員……3、2、1、走れぇ!」


1秒後に大量の高さ40cmほどの蝙蝠が飛んで来た。デムランが言った通りに洞窟の奥に向かって走る。


すぐに大群を抜けたから一度立ち止まる。


周囲には同じく蝙蝠の大群を抜け切った悪意の化身とデムランとシュシアとトートがいた。トートはかなり息が切れていた。先の村の件と言い、本当に多少腕が立つのだろうか……?


ひとまずの安全を確認したデムランが指を鳴らし、同時に体に纏っていた炎が消える。改めてランタンを翳し持ち、デムランが先行して洞窟を進み始めた。私も一緒に着いて行く。




道中何度か有機生命体達の奇襲急襲に遭いながらも、かなりの距離を進んだ。


デムランとシュシアが中心に戦い、トートは岩陰に隠れ、私と悪意の化身は人ならざる聴覚と視覚で周囲を警戒。


……何かいる。


洞窟内の私達の目の前の丁度真ん中に人型の岩の塊がいる。見覚えある……


「…… 古代岩石体エンシャント・ゴーレム!」


デムランが驚きと共にあれの名称を言った。あのダンジョンにいたのと同じかな。


「あの風格、佇まい、位置、場所、差し詰め遺跡の番人……!」


シュシアが持っている杖を強く握り直し、深呼吸をして意思を固めた。


「前回私はあのゴーレムがいたお陰で進むことができませんでした。しかし、ゴールはこの先、この山を越えれば目と鼻の先です!」


トートが岩陰に隠れながらそう言った。


古代岩石体エンシャント・ゴーレムが私達を見つけ動く。早い。一番前にいたデムランに狙いを付け岩石の腕を振り上げ下ろした。


「〈火炎属性付与フレイム・エンチャント爆衝撃バースト〉!」


デムランが腹の部分に炎を発生させ、大爆発を引き起こした。衝撃と反動でデムランが後方に吹っ飛び古代岩石体エンシャント・ゴーレムの攻撃を回避した。


今の大爆発に対し古代岩石体エンシャント・ゴーレムは全然損傷は無さそう。


「〈戦地の骸骨兵バトゥヒル・スケルトン〉!」


シュシアの杖から幾つかの紫色の光が放たれ宙を舞い、すぐさま地に落ちた。すると地面からボロボロな装備を装着した骸骨たちが這い上がって来た。


「盾部隊は前進!剣部隊は遊撃隊として行動!弓部隊は中距離から援護射撃!杖部隊は後方から盾部隊に強化魔法!」


次々と這い出てきた骸骨達にシュシアが指示を出し、対する古代岩石体エンシャント・ゴーレムは軽々と最前線にいる盾を持った骸骨を盾ごと吹き飛ばし砕く。


「〈火炎属性付与フレイム・エンチャント〉!」

吹き飛ばされていたデムランが走りながら骸骨達が持つ武器に炎を纏わせた。


……悪意の化身が動いた。私も動いた方が良いかな。


前方を見ると、いつの間にか盾持ちの骸骨が全滅していた。代わりに悪意の化身が前線に出て古代岩石体エンシャント・ゴーレムの攻撃を引き受けた。軽々と避けてる。


悪逆波動あくぎゃくはどう……流石に効かないか」


悪意の化身はそう独り言を呟く。


……もう動かない砕かれた骸骨。既にシュシアに魂を回収されているけど、使える。嫌な予感がするから、怨念は使わない。


霧散しかけの骸骨の死と思念を練り固めれば、あの古代岩石体エンシャント・ゴーレムと同じくらいの強度の多少大きな手ができるはず。


……できた。

「〈死骸手シテ〉」


私が何をしているのか察知した悪意の化身が避け、丁度そこにいた古代岩石体エンシャント・ゴーレムに直撃。


手は崩れて壊れたけど、古代岩石体エンシャント・ゴーレムもボロボロ。そしてコアと思われる球体が露出した。


「今!」


シュシアがそう言うと弓を構えていた骸骨によって射抜かれ、古代岩石体エンシャント・ゴーレムは力無くその場に崩れた。




一度その場で休息をして、シュシアが生み出した骸骨全てを片付けて、改めて進む。


先に進むと、すぐに洞窟の壁から一部が露出したかのような、何かが書かれた石壁が道中にあった。奥には更に広い空間が広がり、幾つもの塔らしき物体が地面から突き出ていた。


「ありがとうございます。ようやくここに辿り着けました。あの塔が今回私が調査を任された遺跡です。前回はこの場所を遠目で見ただけで終わってしまったので……やっとです」


『……ビキ……』


トートが塔がある空間に足を踏み出した瞬間に、地面がひび割れる音……しかも、気付くが遅かった。


『ビキビキビキッ!』


「おっと」


私、悪意の化身、トートが落下。デムランとシュシアが上の塔がある空間前に取り残された。




大体100mは落下した。するとあの塔があった空間の下に更に空間があった。


取り敢えず落下する。


『ドカッ!!』


頭が潰れたけど大した損害じゃ無い。これくらいなら一瞬で再生可能。


落下した上を見てみる。穴があった。そして悪意の化身がトートを抱えてゆっくりと着地した。


上の天井に無数の青白い光を発するコケのような物が付着していてこの場を薄暗く照らしていた。人間の目には少し暗い程度で充分見える光量。


周囲を見てみる。家に砦に城に……街があった。国があった。


天井までの高さは200mほど。音の反響具合からこの空間は数kmほどの広さがある。


この場から見えるほど高い塔が……数本の塔が天井に突き刺さっていた。多分ここは上に出てた塔の下部分。高さにして3、400mはある。


長年の月日が経ったにしては、あまり朽ちた様子は見られない。そして風景は完全に、まるでこの国がそのまま地下に造られたかのように。まるで地上の街が地下に落ちたかのように。そこに存在していた。


人間には薄暗い程度。化身である私には鮮明に見える。


…………国の中心付近……城を軽々と超えるほどの大きさを持った……あれ……


あれ……は……あれ。あれ…………見覚えが、ある。あの魂に、あの竜に……見覚えが…………怨念が目を覚ました。


あれを見た瞬間、トートの口角が上がった。ニヤついた。それを見た悪意の化身が即座に指を差した。


「〈悪逆波動あくぎゃくはどう〉!」

「な?!…………?……?何か、しましたか?」


トートは悪意の化身が指を刺し叫んだ行動にかなり困惑したものの、困惑だけで終わった。


「だから悪意の無い純粋で無邪気な邪気を持つ相手は嫌なんだ!」

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