表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/39

3話 仲間追加? 否、災厄追加 inダンジョン

周囲確認。足元岩肌、壁岩、天井岩。光は怪しく灯る苔のみ…………洞窟だこれ……


所々遺跡らしき物があるけれど大半が洞窟。私がいる場所はかなり広い空洞。


地獄を見せると言っていたけれど……現状そうとは思えない。まだ来たばかりで情報が少ないからだろうか……あの人間の真意が分からない……


まずは移動してみよう。進行方向は……生命反応のある方向にしよう。


「グシャ?グシャシャシャ!」


……おっと、これはー……人型の有機生命体?人間にしては背は半分以下だし、肌は緑で鼻は大きく垂れ下がっている。服装は布切れ1枚。猿よりは……という感じだろうか。


そして集団で現れた。10……20体。多い。この数なら小さな集落が作れる。


敵意と害意と悪意の塊……内なる感情はこれくらい。それと、全部が私に向かって攻撃を始めた。


攻撃と言っても、原始的な石や棍棒で殴り掛かるのみ。


……邪魔だな。


「〈蝕怨ショク〉」


死を軽く纏ったアレが掠っただけで全個体が即死。存在としてはあまり強く無いのだろうか……?


あと…………かなり前に悪意の化身が技名を叫んだ方が良いと言われてからずっと言っているけれど……何の意味があるのか……?全く分からない。




広い空洞に複数あった別の場所に進む道の1つを適当に選んで進んでみた。その結果、また人型の有機生命体が現れた。ただし先の個体群とは別種に見える。


目の前には赤い体表の大男。頭には2つの角があり目は白目で理性がこれっぽっちも感じない。


手には殺傷力の高そうでかなり損耗した巨大な刀。


先の個体群同様、目の前の有機生命体も私を襲うだろう。どうしようか……相手の反応を待った方が良いのだろうか……どうしよ――――


「おやおや……?何処に消えたと思えばこんな地下世界に。受け身も度が過ぎればこんなことになるとはなぁ……」

「あっ」


悪意の化身が私の目の前に現れてその地点にいた人型の有機生命体に触れてしまった。案の定耐え切れず弾け飛んだ。


「身体能力」

「おっと、まだ調整していなかったのを忘れていた。肉体を創る度に忘れるのをなんとかしなければな」


その様子からわざと調節していなかったらしい。いつも肉体を強固に創るから、生物に軽く触れるだけで弾け飛ぶ。


かなり前に私もミンチにされた。


しかし、今回も少年と青年の中間の肉体。多少違う点はあるけれどほぼ同じ……飽きないのか?


「生と死の化身にとって有用な情報を仕入れた。聞くか?」

「聞く」




「まず、この場所はダンジョンと呼ばれている。魔物、モンスターと呼ばれる怪物の巣窟であり、無限に現れる。実際には無限では無いが、人間に取っての認識はそれだ。ダンジョンボスと呼ばれる魔物を倒すとダンジョンは崩壊し小さな洞窟に変化する。正確にはダンジョンに変化した洞窟が元に戻る。そして。識別名がそれぞれにあり、このダンジョン名は罪禍の審判。罪人が送られるダンジョンらしい。

このダンジョン内のモンスターの全体的個体数は少ないが、その全てが強力凶悪で…………いや特に教えずとも問題は無いか。それと、このダンジョンは一度中に入ると出ることができなくなる。それこそが罪人が送られる場所に選ばれた要因である」


気付かなかったけれど、注意深く周囲を見回すと所々に人骨があった。


「つまり私は罪人になるのか」

「その通り」

私にピッタリ……




「それでどうする気だ?」

「どうする気とは?」


取り敢えず適当に道が続く方向に歩いていたら、悪意の化身が突然聞いて来た。それにしても、どうする気とはどんなことを指しているのだろう……?


「分からないのか?生と死の化身を追放してここに押し込んだ人間達について。どうする気だ?」

あー、そのことか。


「何も……あわよくばここで朽ち果てたい」

「おいおい…………破滅願望は内に沈ませてくれよ?それで顔を出されたら堪った物じゃない」


悪意の化身の視線の先……私の影…………これは私の業。私と関係を持ち、死を過ぎた人間の果て。言うなれば怨念……それが無尽蔵に積もり朽ちている。顔とは言わば目覚め。だからこそ……だからこそ…………




ダンジョンの道を悪意の化身と一緒に適当に進んでいたら、大量の大型の蝙蝠に類似した生命体が私達を出迎えた。


当然の如く敵意ありで。


「どうする?」

私に聞いて来た。私に一度聞かないと気が済まないのだろうか……?


「私の目的って何だろう……?」

「そこから?!」

悪意の化身がすごくわざとらしく、そして心底びっくりした様子……オーバーリアクション……


「キャキャーッ!」

蝙蝠に類似した生命体の大群がこちらに向かう。


「ま……まずはこのダンジョンからの脱出を目的にしよう」

「分かった」

だいぶ顔が引きつってる。


「いつもの如く受け身の極致だな…………」

小声で呟いたつもりだろうけど、全然聞こえてる。


「おっと、忘れていた。〈悪逆波動あくぎゃくはどう〉」

悪意の化身が波動を放って蝙蝠に類似した生命体が全部消し飛んだ。あと洞窟……じゃなくてダンジョンが結構揺れた。意思か何かを持っているのだろうか……?


「さて、ダンジョン脱出にはダンジョンボスを倒す必要がある。まずはそこに向かおう」

「分かった」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ