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29話 不幸な新領主 生死を彷徨い絶望が降り掛かる程度の不幸

「え?!この人がっ……」


悪意の化身の説明でリンが声を張り上げシリスと名乗った人間を見ると、シリスと名乗った人間が笑顔のまま口に人差し指を上げ当てた。


「……」

黙った。


それからずっと無言の間が続き、テーブルの上にある料理が全て悪意の化身とリンとシリスと名乗った人間の消化器官に送られ消えた。


会計は今を逃せば恐らく永遠に使わないであろう私と悪意の化身の依頼の報酬を使う。


「すいません。私が誘ったのに……」

「すまない。2度ならず3度も……金銭を全て部下に預けていた。そして私は気付かずに……失態だ」


何故か2人の意気が底に落ちてる。


合計金額は銀貨10枚。充分払える値段だしその程度のことで何故そうなるのだろうか……?


「シリス様ー!」


飲食店を出ると、さっきの馬車の周りにいた1人。甲冑を脱いだ人間がシリスと名乗った人間の名を呼びながらこちらに走って来た。


「それでは私はこれで」


そう言うと……


「シリス様!!」


逃げた。


「あ、貴方は!すいませんがシリス様を捕まえるのを手伝って下さい!あの人護衛を残して勝手に視察に出かけてしまっているんですよ!早く止めなければ治安の悪い場所に迷い込んでしまう可能性が……!」


「え、えぇ?!……仮にも領主がそんなことを?!」


甲冑を脱いだ人間の言葉にリンが驚いた。凄い驚いてる。


「分かりました。領主に何かあればシュッダの街が揺らぎます。私も手伝いましょう」


「……手伝うか」

「……分かった」



◆◇◆◇



「よし、これくらい逃げれば追ってこれないよな」


ふぅ、せっかく領主になったんだし民達の声を聞いても良いだろう。護衛なんていたら緊張するに決まっている。


「それでここは何処なんだ?……逃げることに集中していたから……迷ったかも」


適当に歩けば大通りにでも出るだろう。流石に。


「?!」


何だ?!急に変な匂いの布を私の口に押さえ……付け、て……



◆◇◆◇



「……いた」

「いたな。しかも人攫いに遭遇して攫われて、そして地下のアジトに連れてかれ……自らを不幸と言うからには、自身を大切にして欲しい物だが……」


あの場でリンと甲冑を脱いだ人間と別れ、私と悪意の化身は世界の外からシュッダの街を見た。


すぐに見つかった。


「よし、見つけた以上独断専行は色々と目立つ。俺はリン達に知らせるから、生と死の化身はシリスを攫った人間のアジトに潜入してくれ」


「分かった」


「言っておくが。言っておくが!咒言は絶対厳禁で頼む。そして殺人は無しだ。巻き添いで新領主が魂ごと消滅したら洒落にならないからな!」


「……分かった」




悪意の化身に色々と色々と言われて、悪意の化身と別れて、シリスと名乗った……シリスが攫った人間達のアジトの入り口の前に世界移動で出現。


……取り敢えず入ってみる。


「侵入者がいたぞ!」


見つかった。


……どうしよう。悪意の化身から殺害をしないようにと言われている。だから、それを遂行するには……


『ぺち――――ドゴッン!!』


生や死や怨念を一時封印し、物理的な攻撃を持って、全てをねじ伏せる。


音……音……声……聞こえた。シリスの声。


反響する元に向かう。来る人間は軽く叩いて全部ねじ伏せる。


すぐに到着した。


「行け野郎共!絶対にこの貴族を渡すんじゃねえぞ!コイツには身代金を渡して貰う為の重要な役者だからな!」


扉三枚越しにそう聞こえた。恐らく今のが私に聞こえているとは思って無いはず。


突撃するなら今かな。


三枚分の扉を連続で叩き割ってシリスがいるであろう部屋に到着。この場の縛られているシリス以外の人間を叩いて壁に叩きつける。


これでシリス以外全員きぜ……つ…………あ、余波で吹っ飛んで石壁に頭をぶつけて頭蓋割って血と脳髄が噴き出て即死しちゃった。


取り敢えずシリスから出たシリスの魂を掴む。


あ、不味い。怨念の目……開いちゃった。顔を出すのは時間の問題。


取り敢えず掴んだ魂はシリスの肉体に投げ入れて……


「〈抑怨聖命セイメイ〉」


生命力回復及び覚醒を強引に促す。


一応損傷した脳を中心に回復したことで多分後遺症は無くシリスが覚醒して飛び起きた。


「良かった」

「……?!?!」


どうしたんだろう……急にシリスが黙って表皮から汗を分泌し始めた。


もしかして、怨念がシリスの魂を見たからかな。何があったかは私には分からないけれど。


「大丈夫か?!生きているか?!シリ……ス……はぁ、やったか、やってしまったか、ユウ」


悪意の化身と甲冑を着た人間とその他武装した人間達がいつの間にか来てた。


悪意の化身は今の状態のシリスを見て、何があったのかを理解して呆れた様子で頭に手を置いた。




シリスの逃げと誘拐があった日の夜。


私と悪意の化身とリンはシリスに誘われて先日まで領主になってた悪魔の物だった屋敷で、新領主シリスが主催した貴族による夜会が開始された。


何故か私と悪意の化身とリンが招待されて、リンに半ば強制的に煌びやかなドレスを着せられて、悪意の化身もリンにタキシードを着せられて、今ここにいる。


シリスは広いホールで新領主として主役として貴族と呼ばれる人間達と会話をしている。


私がシリスを蘇生してから、一度もシリスの痛みと悲鳴が混ざった声と音が聞こえない。自らを不幸だと言っていたけれど、何かあったのだろうか……?


シリスがドレス姿のリンと会って会話を始めた。


「……不幸な運命とか、諸々全てアレに見られて消し飛ばされたな」


私を一瞬見た悪意の化身が呆れた口調と声色でそう言った。


リンとの会話を終えたシリスがぶるぶると震えながらこっちに来た。


「やあ、アクイ殿にユウ殿。今日は色々と手を指し伸ばして下さり感謝を申し上げる。しかし、何故かユウ殿に会う度に悪寒が止まらないのだが……それは何故だろうか?」


「実害ありか……」


悪意の化身が更に呆れた口調と声色でそう言った。

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