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13話 相対する1体と1人 凍える悪意と燃える正義

『……ドッ……』


悪意の化身も気付いて下を見つめた。


「……?アンタら……何かあったのか?」

人間のデムランは私と悪意の化身の様子に困惑していた。人間に聴覚ではこの音は聞こえないから無理もない。


「何も……」

「そうだな、この下にも空間があるかどうかを探ったが、この下には何もない」


「そうか、ならこの先を進んでみよう。事前情報じゃこんな場所は知らされてねぇし、設計にも載ってない。先は未知だ。下手すりゃデカい掘り出しモンがあるかもな」

デムランはランタンを掲げて、暗闇につつまれた先を照らした。


石造りの通路。上と違って焦げている所は無い。所々劣化して崩れているけど、崩落する可能性は低い。魂が何処かに行ったせいか、周囲は静寂に包まれてる。でも私は聴力が人間と違うから静寂とは言い難いけど。


『……ドッ……』

また聞こえた……今の所ずっと無視してるけど、対処した方が良いのだろうか……?


私が悪意の化身に視線を向けると、悪意の化身は一瞬視線を合わせた後、すぐに先を見つめた。今は目の前のことに集中しろってことだと思う……多分……


デムランがゆっくりと警戒しながら歩いてるけど、この先は下に続く階段があって、そこまでは何も無い……暗過ぎて人間には見えないか。




「階段……本当にどうなってんだ?」

そう言いながらデムランが階段を降り始めた。私と悪意の化身そのも後を進む。


でもすぐに階段が終わって扉が現れた。音の反響から、ここが最後。でも中は全く分からない。あの王の部屋みたいに外部への空気振動が殆ど無い。


扉を前にしてデムランが止まった。深呼吸をしてるから気持ちを整えていると思う。今さっきまで膨れ上がってた疑念がかなり小さくなった。


でも、デムランが深呼吸を終える前に悪意の化身が扉を壊す勢いで開いた。10回くらい深呼吸したてから、流石に待てなかったと思う。


扉の先はかなり広い空間。所々壁が劣化して水が滴ってる。1番目立つのは、中央にいる直立して腐った人間の死体……何故か自立してそこに立っている。何故だろう……何も入ってない空っぽの木偶人形なのに。


そしてその後ろの床には丸い幾何学模様。王にダンジョンに飛ばされた時に床で光っていたのと似ている。


場所的には幾何学模様を守るように直立して、そこから全く動かない。


「な……?!なんでここに……殺人鬼!貴様は、俺様の魔法で塵も残さず消え去ったはずだ……!」

反応的にデムランが何か知っているみたい。


「あの死肉は何?」

私が聞いたら、デムランが冷静さを取り戻した。白……灰色……


「あれは、あの野郎はいくつもの街を転々とし、その度に大量殺人を起こしたクズ畜生だ。この屋敷の大量殺人も野郎の仕業で、当時まだ未熟だった俺様が、決死の火炎魔法で野郎を討ち取った。この屋敷全体が焦げてるのはその余波だ」


……じゃあ何で死肉がそこにあるのだろう……デムランは知らない。私も知らない。悪意の化身も……知らない。


気温が急激に低下を始めた。発生源はあの死肉。この事態にデムランは鞘から剣を抜いた。


「ぐっ……!」

全く動かず不動だった死肉がデムラン目掛けて突進して、デムランは死肉が放った低温の拳を剣で受け止めた。


悪意の化身が横に向かって距離を取った。私も悪意の化身とは逆方向に距離を取る。


「2人とも逃げろ!俺様の巻き添えにならないように、屋敷の外へ!」

巻き添え……デムランが何をしようとしてるのかは分からない。でも……


「分かった」

言われた通り、扉を抜けて歩いて来た道を逆走する。


「ちょっと待て!」

……悪意の化身が浮遊しながら私に手首を掴んだ。どうしたんだろう……


「何かあった?」

「あれがどうなるか一緒に観戦しないか?面白くなりそうだ」

出た。悪意の化身の数少ない悪意要素。断る理由は無い。


「分かった」




「テメェ……その厄介な冷気を発する手。そんな姿になっても未だに健在か。あの時に灰も残さず燃やしたはずなんだがなぁ……」


あの死肉から距離を取ったデムランは独り言を呟いた。死肉はお構いなしに拳を振りかぶる。


私と悪意の化身は世界の外側からその様子を観戦中。


死肉が拳を振る度に空間内の気温が低下。


「〈火炎属性付与フレイム・エンチャント〉」


それに対抗するように、デムランが持つ剣が1000℃近いの炎を纏った。不思議と剣が溶ける様子は無い。しかも空間内の酸素が消費されていない。多分別の何かで炎が維持されてる。




炎と冷気が交差する。


剣が振られる度に炎は舞い、拳が放たれる度に冷気が空気を凍てつかせる。


双方の得物が衝突すれば炎が冷やされ冷気が熱され、空間内に爆風が吹き乱れる。


互いに致命の一撃を成せないままでいると、デムランの持つ剣を死肉が剣の纏う炎にお構い無しに拳を突き立て、そのまま真っ二つにへし折った。


「チッ……おい、屍肉ゾンビ!もし生前の記憶があるのなら、これを覚えているか?」


折られた剣の代わりか、デムランが1本のナイフを取り出して投げる態勢を取る。


「テメェを討ち取った俺様の切り札だ。存分に味わえ!〈火炎属性付与フレイム・エンチャント限界過熱オーバーヒート〉……!!」

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