表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

だれか!この選択肢を消す方法知りませんか!?

作者: 雪白梨紗

ギャグです。あまり深く考えずに読んでいただければ幸いです。

私の名前はアリシア・リリル

突然ですが、前世の記憶を思い出しました。


あまり覚えていないがよくある(?)トラックに()かれて死んでしまったのだろう。(これまでトラックの運ちゃんは何人もの人間を転生させたんだろうと思うのは私だけだろうか。)

まあ、死んでしまったことは仕方がない、それより問題は転生先の世界が乙女ゲームだったことだ!

恐らくここは前世でやっていた乙女ゲーム「マジキュン☆学園ラブストーリー」の世界のようだ。(今思うとちょっとバカっぽいタイトルだ)

そしてアリシアはその主人公(ヒロイン)だ。


乙女ゲームに転生なんてよくある(?)ことだが自分自身がそうなるなんて、神様はいないと思っていたがちょっと認識を改めないといけないかも。

特にこのゲームは友人からやってみて!と押し付けられて始めたゲームなのでそこまで打ち込んでいない。一応クリアはしたけどどういう内容だったかあんまり覚えていない。

あれ?そういえばゲームを友人に返していないまま死んだ気がする。悪いことしたな。



たしか、主人公はお金持ちのご子息やご息女らも通う学園に入学するという設定だったはず。はい、よくある世界観ですねありがとうございます!


そして今日は学園の入学式でゲームが開始となる日でもある。

しまった前世を思い出すのが遅かった。ゲーム開始からは避けられなかったか…

正直言うと私はあんまりイケメンたちとの恋に興味ない。

ゲームをプレイする側だったらいいのだが、自分自身となると話は別だ。

よし、攻略対象とはかかわらず普通に学園生活を送ろう。私は平穏に学園生活を過ごしたいのだ。


さて、今は校門前なわけだが、あそこに見えるのはカイン王子だろう。メインヒーロー様のご登場だ。早速お出ましってやつですかい。

王子は私の一つ上ですでに生徒会長であらせられるのだが、新入生に挨拶もかねて校門のところで出迎えているわけだ。ご立派なことだ。

たしか、出会いイベントは目の前でアリシアがずっこけて王子がそれを受け止めて助けてくれるという、これもまたベタな展開だ。


ようはずっこけなければいい話だ。適当におはようございますと挨拶して通り抜けてしまおう。


…人はそれをフラグと呼ぶ。

強制力というのかなんなのか、足元に気を付けていたはずなのに王子に近づいたとたん足がガクッとしてしまい、あっと思ったときには王子に支えられていた。


「君大丈夫かい?」

しまった。早速イベントを起こしてしまった。せっかくの決意が台無しだ。

…さてどう答えようかと思ったその時ソイツは現れた。


・「ありがとうございます」と礼を言う

・「ごめんなさい!」と謝る

・「もう少しで転ぶところだったじゃない!」と怒りながら手を払いのける


…え?何これ!?

今、私の目の前には前世のゲーム画面で見慣れたテキストウィンドウというものが表示されている。

なんだこれ?まさか選択肢か?しかも一番下はなんだあれ!八つ当たりじゃん!助けてくれた人に対して失礼すぎる!

実際ゲームでは上2つの選択肢しかなかったはずだ…一番下のは無かったように記憶している。


今の状況は支えてくれた王子含め、周りの人たちも時が止まったかのように静止している。

いや、実際止まっている。

テキストウィンドウが出ているからか、これは私が選択するまで動き出さないということだろうか。

手は動かせるようなので、どうやらスマホのようにタップして選ぶらしい。

「Hey Siri!」のように声とかで認証できないのかな…だめだ声はなぜか出せない。

仕方ないここは無難に「ありがとうございます」と礼を言ってイベントをこなそう。

今支えてもらっているという状態だから指が動かしづらいな…って

アッしまった指が滑って一番下を選んでしまったああああ!


「もう少しで転ぶところだったじゃない!」

選んだ瞬間。パンっと王子の手を払いのけている自分がいた。


あああ、ごめんなさいカイン王子!悪気はなかったんです!この手が(?)いけないんです!

ほら、王子びっくりして固まってるじゃん!

ってかこれって不敬罪になる!?やばい!


「でっでは失礼します!」


どうやら選択肢が出ていなければ自由に発言はできるようだ。

いたたまれなくなってすぐその場を後にしてしまった。

背後から王子からの興味をおびた視線を知らずに…


「…へぇ、ああ言える子もいるんだ…」




あーーー失敗した!

絶対あとで何か言われるよね。礼儀の知らないやつだと思ってるよ絶対。こちらから謝りにいったほうがいいよね。うんそうしよう。


さて、勢いで逃げてきてしまったがどこだここは。

入学式は体育館で行われるから体育館に行かなきゃいけないというのに。


「おや?迷子かな?」

おっと、イケメンに話しかけられてしまった。しかもこの方はあれじゃないか。

攻略対象のチャラ男の先輩じゃないか。いつも女性を侍らせている…確か名前はフェリクス先輩といったか。

するとピコっとまたウィンドウが現れた。


・「すみません迷ってしまって体育館はどこですか?」

・「あなたかっこいいですね!」

・「一人でいるのが寂しいからって女を侍らせているあなたに聞くことなんかないです!」


おい、こんなの実質一択じゃないか!

一番下はありえないし、しかも長い。真ん中もおかしいよ容姿を褒めてる場合か!

さっきといい、喧嘩を売る選択肢があるのはなんなんだ!私をどうしたいんだこの選択肢!


そういえばこのウィンドウが出ている間は時間は止まっているんだよな。

さっきは動揺していて考える暇がなかったから、時間が止まっている隙にこれからどうするか考えておくか…

などど思っていると、急に指が動き一番下をを選択していた。


はああ!?もしかしてこれ制限時間あり!?しかも何勝手に選んでるんだこの選択肢!


「一人でいるのが寂しいからって女を侍らせているあなたに聞くことなんかないです!」

あああ!口が勝手にいい!!

口を閉じようといくら力を入れても私の口からは選択肢と同じ言葉が出てきてしまう。


「え!なんで知って…」

ほら!先輩もやっぱり固まっているじゃん!

初対面の女にずけずけと言われるのなんて恐怖でしかない。本当に申し訳ない。

すみません!全ての責任は選択肢(?)にあるんです!本当です信じてください!

先ほどと同じようにいたたまれなくなったので、同じようにそそくさとその場所を逃げ出した。



「はあ…本当なんなんだ…」

まだ入学式すら始まってすらいないのにだいぶ疲れた…

これもきっと選択肢のせいだ。


ちなみに体育館はすぐそこにありました。なんだよもう私ったらうっかりさん!(遠い目)

入学式には何とかまにあった。最初はあのウィンドウが出てこないかびくびくしていたが、それからウィンドウは出てくることもなく予定通り式は終わった。

どうやら攻略対象との会話でのみ出てくるらしい。


ちなみに入学式にはカイン王子が先輩を代表してのスピーチだったわけだが(王子だから当たり前かもしれない)

途中目が合って微笑まれたのは気のせいだと思いたい。


さて、入学式終了!放課後です。今は何しているかって?

正解は~裏庭で決闘!しかも攻略対象の一人である、アッレクス君とだ!

どうしてこうなった…


入学式が終わり、各自教室で担任の先生からの挨拶や各自の自己紹介まで滞りなく終わったところまでよかったんだ。何も無さ過ぎて夢を見ていたんじゃないかと疑うレベルだ。


だが、そうは問屋が卸さない。私の隣の席は攻略対象のアレックス君だったのだ。

そういえばそうだった。そりゃあクラスメイトにもいるよね攻略対象。


彼は騎士の家系とかで将来の夢は騎士になることなんだそうだ。そう自己紹介で喋っていた。

「俺騎士になりたいんだ~!」

そう言う彼との会話で、問題のウィンドウさんが出てきたわけですよ。


・「ふふっ雑魚が騎士になりたいなんて何をほざいているの?」

・「あら、その程度の腕で?」


ちょっと選択肢さん?

とうとう選択肢が喧嘩売るものしかないじゃないですか!

というか初対面の私が何で彼の剣の腕前をしっているんですかねえ…

たしかに彼はまだまだ未熟なところがあるけど…

私の本当の敵は実は選択肢さんではなかろうか。魔王よりこいつを先に成敗したいくらいなんだが。


選択肢を選ばないと先に進まないので、個人的にまだマシかなと思う一番下を泣く泣く選択した。

そして、彼の機嫌を損ねてしまい(当たり前だと思う)じゃあお前はどうなんだよ!とのことで、こうして放課後に無事に(?)裏庭で剣の勝負することになったのである。

ほとんど人が寄り付かない裏庭を選んだことで、負けても恥はかかないだろうという女の私に対する譲歩だったので彼はだいぶ優しいなと思う。


ここはあっさりと負けて謝罪しよう。ウィンドウが出てこなければいいが…と思った矢先


・足払いをかける

・砂をかけて目くらましする


でっ出た~!選択肢~!負けるのは許さないと。しかも剣で攻撃する系の選択が無い!せこい…

仕方ない、砂をかけるのは最悪目を傷つけるかもしれないから、足払いにしよう。

鍛えているらしいから受け身はとれるはず。しかし選択肢に慣れかけている自分がいるのが嫌だな…


「どっせい!」

「おわっ!」

きれいに足払いが決まって、アレックス君は受け身こそとったものの、態勢を崩してしまい私が一本取ることになってしまった。


「くそっ剣の戦いに卑怯だぞ!」

そうだねそう思う。本当に巻き込んですまぬ。


「…いや勝負に卑怯もないか。これが戦いだったら俺は死んでいたな。それを教えてくれてサンキュな。」


うん?そう解釈します!?なんと彼はやっぱりいい子だった。

せこいマネして申し訳ない。選択肢に抗うすべのない私なんかに敬意を払う必要なんかないのに。

(これ以上、会話でウィンドウを出したくないから)早めに切り上げたくて軽く握手をかわして帰路についた。


-----


「あっ君探していたんだよ。」

…わぁ、カイン王子のご登場だ。神よ私が何をしたというのですか…

ただ、さっきの非礼を詫びなければいけないし無視するわけにもいかない。


ここで謝罪しようとしたその瞬間、いつものあいつが現れた。


・「そういえば先ほど勝手に触れた謝礼を受けていませんわね?」


一択しかないんですけど!?

もはや選択肢ですらないわけだ。これただの選択という名の強制ですやん。

しかも私は何目線でものを言ってるのだ!王子様より偉そうってどういうことなの!?


「そういえば先ほど勝手に触れた謝礼を受けていませんわね?」

これしか選べないのでどうしてもこう言うしかないわけだ。

ああ、不敬罪で処刑かな…今世のお父さん、お母さん先行く私をお許しください(まだ記憶を思い出してから会ったことないけど)


「ああ、先ほどのことは女性に気軽に触れるもんじゃなかったね。しかも怪我させてしまうところだった大変申し訳なかった。」


ん?


「あそこは校門前の道なのに予算の都合できちんと整備されていなくてね…これを機にちゃんと道を舗装するよう私の方から手を回しておいたよ。ちゃんと言ってくれてありがとう。」


王子様あなたもいい人過ぎんか…やばい泣きそう。

さっきからいい方向に解釈されとるではないか、受け止めてくれなかったら私は怪我していたというのにあんなの八つ当たりに近いところだぞ。アレックス君といい、もっと怒ってもいいと思う。


「王子という立場ゆえああやって、私に直接意見してくる人はなかなかいなくてね…。よかったら今後も君の気付きとかを聞かせてほしいんだ。だからよかったら生徒会に入ってくれないかな?」


はい!?何を言い出すのだこのお人は!?と驚いているところに


・はい

・保留にする


!!!始めてまともな選択肢が出てきたぞ!やるやん(?)

"いいえ"がないのがつらいが、ここは保留にさせてもらおう!


「保留にさせて」とだけ言い残しその場を退散したのであった…

後ろから「期待しているよ」と王子の声が聞こえたが知らん。



教室に鞄を置いたのを忘れて戻った際チャラ男の先輩と遭遇した。

なんなんだ今回遭遇しすぎじゃないか、

まだ初日なんだが!?ガチャのSSRもこれくらい出てほしかったんだが!?


「君はアリシアちゃんっていうんだね?」


なぜ私の名前を…と思っていたら

「ふふ、先生に聞いたら名前を教えてくれたんだ。」


さすが先輩、女性のことに関しては行動が早いですね。


「そうだ、ついでに聞こうかな。さっき会った時に君が言っていたことなんだけどね。"一人でいるのが寂しい"ってなぜわかったんだい?」


あっその話に触れちゃいますか…

そうだよね。いきなり確信の部分触れられたらびっくりするよね。


たしか、フェリクス先輩は父親と母親に愛されず寂しい幼少期を過ごしていた過去から、一人でいることに恐怖を感じているという設定だった気がする。

特に女性を中心にして誰彼構わず広く浅い交友関係を築いてきているはずだ。だが女性関係とのトラブルも多くてその分敵も多いと聞く。

などと先輩の設定を思い出していると信頼と安心(?)の選択肢さんが現れた


・「勘です」

・「そんなこと、あなたの"たくさんいるお友達"に聞いたら?」


いや、だから下の選択肢ぃぃ!

もういいよ選択肢さんが喧嘩を吹っかけていくスタイルが好きなのはわかったよ!

選択肢は敵だはっきりわかんだね。

…まてよ?無難に返答するより、いっそのこと喧嘩を売って好感度を下げた方がこの先関わらなくてすむんじゃ?私天才か!?期待して下を選択した。


「そんなこと、あなたのたくさんいる"お友達"に聞いたら?」

思ったよりも"お友達"の部分がだいぶ嫌味ぽくなってしまった。


「っ…!そうかそれもそうだね。」


おお、これで好感度下がったかな(好感度下がって喜ぶってなんかおかしいけど)


「よく考えたら自分は、浅い交友関係を築いていたのかもしれない。よく考えると友人と呼べるものは一人もいない気がする。」


あれ?雲行きが…


「幸運なことに君と僕は今日会ったばかりの初対面だ。だから友人という関係になってくれないかな?相手のことを思いやれるようになっていきたいんだ。」


おおい!そういう思考になります?急展開だよまじか。

私にとっては幸運じゃないよアンラッキーだよ。


・はい

・YES


あああ…ほら選択肢さんが仕事してない。どっちでも一緒じゃん。


「ではお友達からよろしくお願いします…」

「!ああ、よろしく」


ああ…ちょっと嬉しそうにするのやめて罪悪感がわく…

まあ、お友達からだし大丈夫かな…

(なお、この時私は先輩とのルートが友人から恋人関係になるという展開だったのを完全に忘れていたのだ)


翌日から私の生活は慌ただしくなった。


「それで生徒会にいつ入ってくれるんだい?」

「生徒会に入る前に見学でもしていくかい?今は生徒会室私しかいないけど…」

「今度このイベントを企画しようと思うのだが、意見を聞かせてくれないかい?」

カイン王子が生徒会の勧誘やら意見を聞きに度々訪れたり…


「友人になったからね。今度お出かけしない?」

「今度一緒に勉強会しようか。友人としてね」

友人という言葉を巧みに使い。私を誘うフェリクス先輩…


「今度もう一度剣の勝負をしようぜ!」

「今度試合があるんだ。よかったら見に来てくれない?そしたら俺頑張れる気がするからさ!」

あの一件以来なぜか私に懐いてしまった。クラスメイトのアレックス君…



それから他にも、気難しいという噂の先生(攻略対象)に対して喧嘩を売ってしまうが、分からないところがあったら見てやろうと言われたり、

数か月後転入してくる少し俺様気質な転校生(攻略対象)に対しても同じく喧嘩腰に言ってしまっておもしれー女認定されて気に入られたり…


平穏に学園生活を過ごしたかったのに!これも選択肢のせいだ!

どうやら私の敵は選択肢だったようです。

だれか!この選択肢を消す方法知りませんか!?


アリシア・リリル

主人公。前世のことはあまりよく覚えていない。

あまり深く考えない性格ゆえ失敗も多い。

実は「マジキュン☆学園ラブストーリー」をプレイし終わったあと、ゲームを借りた友人へ"いますぐ返しに行く"か"翌日返す"か悩んだ末に今すぐ返しに行くと行動した結果、居眠り運転をしていたトラックに引かれて死んでしまった。("翌日返す"としていれば生きていた。)


攻略対象者たち

現在アリシアは気になる存在。今後(選択肢のせいで)物怖じせずはっきり言う彼女に惹かれていく予定。


死んだ主人公を少し哀れに思い乙女ゲームの世界に転生させた。

選択肢となって主人公をからかいつつも見守っている。ただしほぼ愉快犯。挑発的な選択肢はだいたいこいつのせい。


マジキュン☆学園ラブストーリー

逆に王道展開が売りとした乙女ゲーム。

主人公の死んだ日に逆ハールートがアップデートにより追加された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ