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2・まずは基礎から始めてみる

 幻覚を見てしまったからさっさと寝ようと思ったのだが、気が付くと訳の分からない場所にいた。


 しばらく様子を窺っていると、どうやらはるか昔の東京大学、この時代でいう帝国大学に居るんだと理解が出来た。

 そうだよ、あの老人が言った通りに藤本喜久雄だよ。どうなってるんだ?


 これはどんな夢や催眠なのかと疑ったが、解ける兆しも無く月日が流れていく。そして、どうやら藤本喜久雄本人もしっかり同居しているらしく、体は勝手に動いているから恐ろしい。

 そんな訳なので、色々考えてみることにした。


 日本艦の何が問題であるか。まあ、実際の戦果や戦績ウンヌンはこのさい関係ない。そうしたものはその時の状況であったり練度であったりも大きく作用するので、それらをゲームの為にウンヌンしようとは思っていない。


 何だか、乗り気になってしまったな。どうも帰るにはこの状況を終わらせる必要があるように感じるのだから仕方がない。説明しようにも明確に確信はないが、そう囁くんだよ、何がとは言わないがな。


 さて、改めて日本艦のゲームにおける問題点だが、駆逐艦の主砲発射速度が遅い。ミドルクラス以後にそれはさすがにデメリットでしかないわ。かと言って、秋月型のソレというのも正直違う気がする。もちろん、アレを好む層も居るんだろうが、「俺のとは違うなぁ~」である。もっと撃ち合える駆逐艦が欲しい。


 そして、米国艦ほどレパートリーが欲しいとは言わん。しかぁし、重巡に偏り過ぎる巡洋艦ツリーもどうにかしたいものだ。


 ついでに言えば、あまり使えない人間が言うのもなんだが、空母に関してはもっと驚きが欲しい所だな。これはゲームというか、架空戦記的な意味でなのだが。


 もっと早くに隼鷹な島型艦橋の空母が出てきて欲しいし、史実におけるレーダーの性能を引き上げることが出来れば、それがゲームにも反映されるので、空母ももっと使いやすくなればいいなぁ~、きっと使わんけども。


 さて、そんなこんなであれこれ考えた結果、やはり、この藤本喜久雄という人物に焦点を当てるならば、溶接がキーワードになりそうだ。もちろん、機会があればレーダーにも関わってみたいが、第四艦隊事件頃に亡くなるんだっけ?

 そうなると、陽炎型など、高ランク帯の駆逐艦には直接関われない。それ以前に何らかの道筋をつけるには、やはり吹雪型や初春型の段階でどうにかしないといけない。

 そうなると、メインは溶接の早期実用化によって、溶接技術を第四艦隊事件の責任逃れに利用されない事が最善となるんだろう。

 そして、重心上昇傾向にあった事も早期にどうにかした方が良いのかもしれない。が、まずは溶接か。


 さて、溶接について調べてみたところ、すでに国内にアーク溶接機が入っており、国産機まで製作されていることが分かった。

 そして、溶接に興味を持つ学生が他にも居たのだが、この頃からその様な事に興味を持つならさぞ高名な人物だろうと神さま印の検索エンジンで調べてみたのだが、残念ながら存在していなかった。更に、その人物の父親は海軍軍人らしいのだが、そちらもヒットしなかった。

 大西倫太郎って誰?その子息である健太郎氏は航空機にも興味があるらしい。が、どうやら今は溶接を研究し、三菱を目指すとの事だった。


「藤本君、フランスの企業が神戸で溶接機材の販売や講習を始めたのは知っているかな?」


 と、聞かれたが初耳であると伝えた。


「だろうね。つい最近の事で、どうやら鉄道院から参加があったそうだよ」


 などと聞いて、調べてみると、三景艦の設計者を社長に据えた企業であるらしく、フランス神戸領事館に居を構えているらしい。


 さっそく接触して色々教えてもらう事が出来たが、21世紀の溶接においては基本中の基本である被覆溶接棒はまだ出現したばかりで非常に高価であるらしい。さらに、ちょっと溶接に関して耳かじりすれば得意気に語りたくなる炭酸ガス溶接やアルゴン溶接と言ったシールドガス溶接機についてはまだその概念すら確立されていないという事が分かった。


 その事について、先の健太郎氏と語らった結果、


「海軍へ行くのであれば、技官となる君が研究すればどうだい?」


 との事だったので、在学中は二人で溶接について勉強することが多かった。


 そして、明治ももうすぐ終わるという頃に海軍へと入り、横須賀において在学中の事もあって溶接に関する技術研究を行う事と相成った。


 あれ?船の設計するんちゃうかったんか?


 と思ったが、設計が主、溶接に関してはまだまだ分からないことだらけなので工廠を挙げての勉強会レベルからスタートする事と相成った。


 そして、まだ第一次大戦がはじまる以前の段階で早くもまずは艀の溶接建造実験を行い、悪戦苦闘しているうちに戦争が始まった。


 戦争がはじまると英仏では溶接が造船で盛んに採用されているという話を聞き、海軍や三菱などの造船メーカーがこぞってその情報収集に当たり、1916年にはとうとう100トン積み石炭運搬船の建造に扱ぎつけることが出来た。

 どうやら史実より4年早い快挙であるらしい。 



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