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ヒカリの戦士と召喚術師  作者: 神楽一斗


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67 世界防衛作戦④

 わたしが大陸一つ分のエネルギーを持つ巨獣を倒してしまったことで、残りの巨獣たちの動きが変化した。残った全世界の巨獣が一箇所に集まり始めたのだ。


 わたしの帰りを待ち受けていたシルファは、モニターの前で神妙な顔をして腕を組んだ。


「仮に、戦士さんの力が残りの巨獣をも凌駕していたとして、そんなエネルギー同士で戦ったら世界がどうなるか。下手をすれば戦士さんが世界を滅ぼしかねませんよ」


 シルファが言うのは、さっきの巨竜を倒した時の大爆発で、大陸の形が変わってしまったからだ。


「たまたま生き物もほとんどいない地域だったからよかったですが。残りの巨獣のエネルギーはさっきの五倍。戦士さんがそれ以上だとすると、単純計算でも十倍以上のエネルギーがぶつかることになるわけです。流石にタダでは済まない」

「どうしろって言うのよ。放っておくわけにもいかないでしょ」


「ふふふ、こいつはいい。世界を救うはずの戦士さんが、最後に世界を滅ぼすわけだ」

 女神が突っかかってくるが、負け惜しみだとしても、うざったい。眠らせようかとも思ったが、こいつにはこの世界が完全に救われるところを見せ付けてやるつもりなのだ。その上で、相応の罰を受けてもらう。


「いけないですねえ、そういう意地悪を言っては」


 わたしが女神を睨んでいると、ラフィスが視線に割って入ってきた。女神の前に立って、鼻先に人差し指を突きつける。

「な、なんだよ」

「悪いのはこのお口かな?」

 ラフィスの指先がふっと光り、怯えた女神が目を瞑る。

「怖がらなくても大丈夫ですよ。罪を憎んで人を憎まず、ですから」

 そう言うと、彼女はにこやかに微笑む。恐る恐る目を開けた女神は、キョロキョロしながら何事もないことを確かめている。


「おっ、お前さん、何をしやがったんだい、チクショウめ」


 場違いなセリフに一同唖然とする。啖呵を切った女神本人が一番驚いているようだが。


「悪いお口に、少しだけ愛嬌を足してみました」

「うわ、めっちゃムカつくんだけど! もう勘弁してよ〜!」


 今度はギャルみたいな口調で怒ったかと思うと、顔を赤らめて恥ずかしがっている。ちょっと情緒が不安定な人にしか見えない。


「なんでも出来るんだね、ラフィス」

 ラフィスはニコニコ笑っている。女神のお仕置きは、この子に任せるのが適任かも知れない。


「戦士さん、呑気にしている場合では無さそうですよ」


 シルファの言葉を聞いて我に返る。モニターに点在していた各大陸の巨獣たちが、既に一箇所に集まっていたのだ。


「どうします? 現在地点で戦闘になった場合、今度は確実に被害が出ますよ。市街地が近すぎます」

 エネルギーが集中している地点のすぐ近くに大きめの都市が複数存在している。

「かといって、今から移動させている時間もない、と。それなら、結界を張って、中でやっちゃえばいいわけでしょ」

「流石にそれは危険過ぎます。戦士さんの身も無事じゃ済まないかも知れませんよ」

「四の五の言ってられないでしょ。鬼神にお任せあれだよ」


 巨獣は今にも都市を攻撃するかも知れない。止められるのは、もうわたししかいないのだ。わたしはポーチの中に入ったままのアラネスとリーネをそっと手に乗せると、テーブルに置いた。

「アラネスたちは、ここで待っていてね」

「どうしてですか、わたしも行きます」

「聞いてたでしょ。危ないからだよ」

 予想通りの反応だが、今度ばかりは巻き込めない。

「嫌ですっ、ずっと一緒だったじゃないですか」

「今日ばかりはダメ。二人はここで見守ってて」

「戦士様……」

 泣きそうな顔をしているリーネの頭をそっと指で撫でる。

「リーネ、アラネスをよろしくね」


 時間がないのもあった。でもそれ以上に二人の顔を見ていられなかった。


『紡がれし記憶の糸、我らが身を彼方へ導かん』


 わたしは転送の術法の呪文を唱え、巨獣のいる場所へ直接向かった。

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