表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒカリの戦士と召喚術師  作者: 神楽一斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/73

63 決断

 面談の締めくくり、十人目と十一人目はアラネスとリーネだ。

 二人に女神の正体に関する話はしていたが、歴史が変わることの意味はまだ伝えていなかった。


「つまり、この世界を救えば、わたしたちの知る歴史も大きく変わるということですね」

 アラネスは神妙な顔をしてわたしを見つめた。

「そういうことになるね。そして、もしあなたたちの先祖にあたる誰かが、アラネスに繋がる血を残さなかったら。その時点であなたたちの存在が無かったことになる」

 二人はお互いに顔を見合わせ、やがて不思議そうに首を傾げた。

「それが何か問題なのですか?」

 わたしは一瞬、聞き間違えたのかと思ったが、アラネスは至って真面目に言ったようだ。

「問題って、存在が無くなるんだよ? ある意味、死ぬのより辛いかも知れない……」

 わたしはもうひとつ忘れていた。召喚術師は死を特別なものとは考えない。魂は常に普遍なものとし、生に対して固執していないのだ。歴史が変わって生まれてこなかったとしても、大きな魂の一部として存在している。恐らくそういう考え方だ。


「じゃあ、二人は自分たちが生まれてこなくても構わないと言うんだね?」

「ひとつ、よろしいですか」

 わたしが質問すると、リーネが手を挙げた。

「戦士様が先程から気にされているのは、肉体的な〝個〟の事だと思うのですが」

「そうだよ。わたしはアラネスやリーネという人間の話をしているの」

「召喚術師は、この世界を一族全体で護ることが存在意義なのです。ですから、個人がどうとか、そういう部分にはあまり関心がありません」

「……うん、知ってるよ」

 思った通りだった。この子たちは自分たちそのものに価値を見出していない。

「わたしは戦士様や皆さんと旅をして、色々な事を学びました。今、戦士様のお顔を見て、わたしは正直戸惑っているのです」

「わたしの、顔?」

 反射的に自分の頬を触る。

「いつも楽しそうにわたしたちを引っ張って来られたのに、今日はとても寂しそうなお顔です。それが別れの寂しさなのですよね」

 顔に出ていても当然だろう。実際、この二人と会えなくなる事を想像したら、身を切るぐらいに寂しいし、辛い。

「わたしも、少しその気持ちがわかるようになったのです。自分が生きた証や、出会った人たちとの繋がりを無くしたくない。出来ることなら、ずっとこのままでいたいという気持ちですよね」

「リーネ、まさかあなたは、この星が壊れてもいいと言うの?」

 アラネスが少し厳しい顔をして、リーネに聞いた。

「違います。この選択に対しての答えは初めから決まっています。ですが、全てが終わった後、何もなかったように消えてしまうのは、少し寂しいと」

 そこでリーネの大きな目から涙がこぼれた。

「その気持ちは少しも間違ってないよ。それが、あなたやアラネスがこの世界に生きているって事だもの。寂しくないわけないじゃない」

 リーネがわたしに抱きついてきた。この子にしては珍しい事だ。一方のアラネスも、そんなリーネを見ながら、悲しげな顔をしている。

「アラネスはどう? わたしと旅をした記憶、無くしてもいいと思う?」

「……戦士様、意地悪です」

 そう言うと、アラネスは背中を向けてしまった。彼女もまた、泣いているのだろう。



「皆さんの意見をまとめた結果、全員一致で世界を救う作戦を決行します」

 わたしは十一人の仲間たちの前で宣言した。

「たった十人足らずで何が出来ると言うんだ」

 背後で女神が悪態をつくが、明らかに動揺しているのがわかる。

「召喚術師四名、召喚体二名、術師三名、マッドサイエンティスト一名、人工生命体一名、鬼神兼戦士兼賢者一名の我がパーティに、何か不足でも?」

「……フン」

 女神は苦虫を噛み潰したような顔をして、目を逸らした。


「戦士さん、わたしの二つ名だけ、ちょっと悪意が混じってません?」

 シルファがニヤニヤしながら言う。

「いいじゃない、ドスが利いてて。指揮はあなたに任せたからね」

「了解です」

 わたしは彼女とハイタッチした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ