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8、振り返ってみると色々あった

それで何も無いようでいろいろな事があった20年が過ぎて、身長が伸び人間の14歳位には見えるようになった。今わたしは139歳になったところである。


そういえば人って区別は知的生命体って区別のようで、人間は人間ヒューマン種って括りらしい。人とは人間種も魔族も獣人種も妖精族も含めて人って呼ぶようだ。精霊は物理的肉体を持っていないと人の括りには入らないとの事。


話は変わるがムニ坊についての話もしよう。

実は要観察っていった時点から10年で報告はしなかったが変化があったんだ。どうみても、見たまんま過ぎたしね。ムニ坊の水色の透き通った体がオレンジ色の透き通った体にいつの間にか変わっていたんだ。いや変化を細かく報告しろって?最初は色が薄くなってきたかな?っていう些細過ぎる変化だったから気付くのが遅れて、それからオレンジ色になっていたんだと思う。それが今から20年前の話だね。

そして今から10年前の話になるが、ムニ坊のオレンジ色の透き通るからだが、半透明所か全く向こうが見えないオレンジ色に変わってしまったんだ。思念だけでなく言葉まで流暢にしゃべれるようになったりもした。ちなみに魔力は毎日少しずつあげていたよ。その頃にはムニ坊は色々なものに擬態をしたがる様になって、ついてきたがるようにもなった。体積も増えて米俵二つ分位はあったと思う。部屋でソファとかに擬態するのはまあ許せた。しかし普段退治している虫にだけはだめだ。どうしても許せんのだ。

「見てみて、こんなのがいたんだよ」

「……ぎゃぁあああ!!」

てな感じのやり取りもした。驚きすぎるととっさに動けないし叫べもしないものだ。しかも可愛く『きゃあ』と叫ぶのなんて無理だよ。あのあとはジェダイド様が来てムニ坊に説教をしてくれたよ。側仕えのマリーも心配して来てくれたんだけれど、米俵程の大きさの虫とかやっぱり女性にはキツイものだったのよね。

そんな事があってもムニ坊は擬態をしてついてきたがる。小精霊にイメージを伝えるように精神感応してムニ坊にもイメージを伝え、前世で好きだったぬいぐるみの様なきぐるみのリラックスした熊を推しておいた。

「そのなんとも言えない平面顔の…なんだ?猿かね?」

「熊です。ぬいぐるみのようなデフォルメされたきぐるみの熊ですよ」

ジェダイド様には熊に見えず、非常に残念なものを見る目で見られたが実害がないなら問題ないと、オレンジ色のリラックスした熊型で付いて回る事は認められた。

そして何故オレンジ色になったかは与えた魔力が私の地属性の為って説で落ち着いている。

それとこの熊ムニ坊、リナリア様に会いに行くときも連れて行く事になり、「どうみてもリラッ○マ。どうしたの?ぬいぐるみ型ゴーレム?ナニコレ?」と表情を崩して笑っていた。しかし、リナリア様は出身世界が違ってもリラッ○マを知ってるんだなあと、その事を尋ねる日になった。


リナリア様の話によればこの世界は数ある並行世界やパラレルワールド等、数多く存在する世界の一つで基本的に神様達が複数の世界を管理していたりするが、よその世界とはあまり干渉しないように管理されるものらしい。リナリア様がその事を知っている理由は、転生を繰り返して色々な世界で生きる事を修行とする精霊のような存在だからのようだ。

ここで新事実。リナリア様って精霊寄りの存在というより、実は精霊だった。この世界の精霊でなくても寿命という期限はないらしく、セレンディス様とも半永久的に一緒にいられるそうだ。ただ物理的に死ぬときは死ぬそうで、そうなったらまたどこか別の世界に転生するらしい。


再び話が変わるが、リナリア様と私の研究という扱いになった甘いイチゴの苗を作る計画の話をしよう。

普通は一年掛からず実るイチゴだが地属性の精霊と光属性の精霊の力でさらに早く、季節を無視して育てていたので品種改良も簡単なのではと思ったが現実ってやつは甘くなかった。

ずっと促成栽培をしていると妙な突然変異を引き起こし、イチゴと呼べるものか怪しいものを複数作る事となったりもした。例えば、成分を調べてみれば薬草扱いに含まれるマナポーションの材料になる実が半透明のイチゴとか、蔓を伸ばし根を引き抜いて勝手に移動する植物系モンスターのようなイチゴの苗など、前の世界では考えられないような突然変異を起こして庭を騒がしていた。調べるのも後処理もリナリア様がしてくれて色々と申し訳なかったが楽しくもあった。

そして色々な副産物を作りながらも大体10年前に甘いいちごの苗は完成した。これからも気が向いたら更に甘くなるように研究は続けるつもりだが、10年前から今までは甘いスイカを作る研究を新しくしている。

だって砂糖は普通に売られて一般人でも買えるが果物に砂糖かけて食べるのは何か違和感が強くて抵抗ある食べ方だったんだもの。


この国の季節の話もしてなかったね。基本的に一年を通して温暖だが冬は稀に雪が降る事もある。そして森の中のせいか結構、湿度が高めだ。まあ文明は魔法道具を作るなど進んでいる所も多いのでエアコン代わりになるものも、ストーブのようなものもある。コタツは見かけたことが無いが、靴で室内を歩き回る文化だから仕方ないのかもしれない。そしてエアコンの様な魔法道具は材料が高いのか富豪向けなようで、実家にはない。ジェダイド様の家にはあるけどね。買ったのではなく先生の課題で作ったような話をきいた事がある。森の賢者って魔法道具も作れないといけないのだろうか?




「精霊術もおおよその所は習得したな。後は小精霊に頼らず自分の力だけで力を行使できるよう、自身の属性を増やす事か。まぁ焦らず気長にするように」

「ジェダイド様も属性を増やしている途中なんですよね?闇属性の追加おめでとうございます」

最近の目に見える変化と言えばこんな感じだ。師匠であるジェダイド様の精霊の光に変化があった。

基本的に青緑色なのだが時に青紫色に変化して見えるときがある。属性が増えるとずっと見える色が変わるのかと思ったがそうでもないようで、色が切り替わって様々な色で見えるらしい。ぱっと見では判断が付かないからよく観察したほうが良いという事のようだ。


「ありがとう。闇属性は空間系の魔法が小精霊に頼らずに使えるようになるからね。大昔の勇者が発案した何でも入れられるアイテムボックスの魔法も使用可能になったよ。この魔法ばかりは小精霊に頼る訳にもいかないからね」

「小精霊に頼れないの?違いってなあに?」

横で話を聞いていたムニ坊が熊の頭を傾げて問いかける。

「アイテムボックスは個人倉庫みたいで、魂一つにつき一つという感じで小精霊に頼むとその小精霊の倉庫につながってしまうから個人倉庫として適さないのよね。私もそれで闇属性は自力で使えるようになりたいと思いましたもの」

ジェダイド様の家の庭で精霊魔法についての試験をしていた。精霊に頼りイメージは正確に規模も小さくと周囲に被害が出ないように注意してやりとげた。

「意外だな。君がアイテムボックスを使ってみたいだなんて。どこか旅行にでも行きたいのかい?」

「見てみたい景色は色々ありますが、現実的に無理かなって思っております。…たとえでかけても旅行先で人が怖くて出かけたがらなくなったら意味がないでしょうし、長旅に耐える体力があるのかも気掛かりですしね。転移魔法はどこでも自由に行ける訳ではありませんもの」

「いつか君と二人で旅行に行けたらいいと思うな。淑女としての勉強が終わったら行くと言うのを目標にするのも良いかも知れないよ。人が怖くても目的地がしっかり定まっていれば君は大丈夫だろう。行過ぎる他人とは関わらなければ、いつも通りの表情でたっていられるよ」


旅行というと少し違うかもしれないが家族とジェダイド様と日帰りで対人訓練として国内をすこし歩いた事を思い出す。ある程度の道は舗装されていたが街から町は馬車で移動な世の中なので旅行はかなり体力がいる。転移魔法が国内なら王都以外使えるこの国でも移動は結構大変なのだ。

「行って見たいというのは、国外の多種族がいる景色なので現実的じゃないですよ」

少し耳が下がってしまった気がする。旅行を面倒と思う気持ちと一生に一度位行ってみたいという気持ちを両方持つが自身はどちらを強く思うか自分でもわかっていない感じがする。

「国外は難しいが、結婚後なら新婚旅行と言い張れなくも無い。まあ、楽しみにしていなさい」

ジェダイド様が薄く微笑んで言う。

これは新婚旅行に国外へ行くが決まったあれなのだろうか。できれば非公式の旅行であってほしい。

傍系とはいえ王族の仲間入りして公式訪問とか無理な気がしてならない。

ちなみに新婚旅行にはムニ坊は必ず連れて行く。馬車の旅行は色々大変だからね。

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