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11、冒険より後処理が大変

139歳になって初めて洞窟探検をした。洞窟はダンジョンの様だったが。

そんな初体験だったが、お腹がすいた。洞窟探検で暗い中、襲ってくる魔物を小精霊に知らせてもらえるが警戒しっぱなしで、お昼ご飯を食べるタイミングを逃してしまった。森林浴の為にライスボールとよばれるお結びを持ってきていたのに。まあ、海苔がないから葉物野菜で包んであるのだけれどね。


洞窟の外は少し日が傾きはじめていた。

「まず知らせるべきは、どこからかしら?町周辺のグレイボア?それともダンジョン?ライスの町には冒険者ギルドの支部がないのだけれど…」

「支部がなのですか?グレイボアの件はこの町の狩人でもいいので、まずそこからでしょうね。ダンジョンは国に知らせるのが良いのですが、冒険者ギルドでも構わないので近場のギルド支部に知らせておきたいですね。両方知らせておくほうがベストかと」

「ライスの町は町って呼ばれるけど殆ど農村ですから。近場の冒険者ギルドは隣町ね。荷馬車で7時間半位の距離の町よ」

まじめな話をしていたらお腹がぐーと鳴った。

「行儀は悪いけど日も傾いているし、歩きながら食べちゃいましょう」

そう言って鞄からライスボールを二つだし、片方をマリー渡す。中身の具はどちらも同じねぎ味噌握りだ。

「ムニ坊、警戒と護衛よろしくね」

マリーが物言いたげにこっちを見ている。注意を受ける前に言い訳をしておく。

「今日は休日なので淑女はお休みですよ」

顔色を読めるなんて私も成長したものだ。











1時間とかからずにライスの町に戻って来れれた。というか、森で採取をしないのならば転移魔法で帰った方が早いと気付いたからだ。運動にはならないけれど急ぎだからね。

「グレイボアの件は父にしらせて現物を渡し、狩人に知らせてもらうでいいですか?」

父さんは昔、冒険者をしていた話はしたね。今は引退して、米農家をしながら害獣駆除の為、狩人もしているから仲間に知らせてもらうほうが早い気がする。というかこの町の他の狩人と私は面識ないし。

「お父様が町の狩人なのでしたよね?そちらは任せて問題ないでしょう。ボアのお肉はお土産でいいでしょうし」

「ちょっと多すぎる気もするので、買い取ってもらう事にします」

そう言ってまず家に父が帰ってきているかを確認しにいった。




「クレソンはまだ帰ってないわよ。畑の方にいるんじゃないかしら?そこにもいないなら森かな?」

時間的に中途半端な時間なのでしょうがないと言えばしょうがない。ついでだから念ために聞いておく。

「お母さん、お父さんの知り合いの狩人って誰かわかります?森にムニ坊達といったらわりと近場でグレイボアに遭遇しました。狩人の方にとりあえず知らせておきたくて…ついでにダンジョンらしい洞窟も見つけてしまって注意喚起しておきたいです」

「ついでにダンジョンって…?えーと…狩人はネレアの所の夫がそうだったはず…。覚えてない?学校で一緒だったエリカちゃん。あの子のお父さんが狩人だったはずよ」

とりあえず、畑に行く事は確定した。父よ畑にいてくれ。学校の友達とかいないが、元の参加人数が少人数だから覚えてはいる。しかし、会いたいとかはない。基本ぼっちだからね。

「あっ、そうだこれお土産です」

そう言って森で採取した野草や木の実を母に渡す。

「あら、ありがとう。ソルトの実もあるのね。塩がそろそろ切れそうだったからうれしいわ」

ソルトの実は森の中にあるエルフの郷で、塩を得る手段であり他国を頼らずにいられる結構重要な木の実だ。昔ソルトの実と米のお結びで味噌を作るための麹が発生したとか、色々この国の食文化を発展させたりもしている。森に普通に自生しているが、地方によっては植林して生産している木だ。ちなみに、シュガーの木も存在しているし、やはり地方では植林している。そういう所がとってもファンタジーな感じがした。


そして畑に行ったら父はいた。

「お父さん、畑仕事はまだかかります?森のことで知らせたい事があるのだけれど…」

畑にいる父に手をふり呼びかける。

「むっ、オランジュか。畑は…まぁいいか…。珍しく森に行ったのかい?どうしたんだ?」

「森の浅いところでグレイボアが出たんです。他にもいるかもしてないから狩人達に知らせて欲しくてね。それとムニ坊が魔力の吹き出る洞窟を見つけて、それがダンジョンだったって事も伝えておきたくて…」

「グレイボアの事はわかった。知らせておく。しかしダンジョン?そんな危険地帯に入ったのか!?あぶないだろう!本当になにを考えているんだ!」

父は驚いて、叫ぶように叱ってくる。

「最初はダンジョンとか気付かなかったんです。様子見に入って階段を見つけて魔物の巣じゃないかってなって、ゴブリンが出て倒したと思ったら死体が消えて魔石が残った。そこでダンジョンだって気付いたの。後は証拠になる魔石とか採掘できる鉱石とか手に入れてから知らせようって…」

「気付かなかったとしても、怪しい場所に立ち入ってはいかんぞ。どんな危険があるか判らないんだ。ゴブリンも強い魔物ではないが女子供には十分危険な魔物だよ。しかし、ダンジョンか…大変な事になるな」

この世界のゴブリンについてだが、人型の魔物だが人間の子供位の大きさで緑の肌をしている。知能が低く言葉も喋れず魔族という分類には入らない。魔族にはホブゴブリンって種族がいるがゴブリンとは別物って認識で問題ない。

「とりあえず、グレイボアを渡しておきたいの。私たちが持っていても処理に困るし…。マリーが倒したから代金も欲しいので、お父さんが引き換えてくれませんか?」

「まあ、そうだな。いいだろう。グレイボアは1匹だいたい6000ゴルだな」

そういって代金を渡された。

この世界の通過は基本ゴルである。1ゴルが鉄貨一枚、100ゴルが銅貨一枚、1000ゴルで大銅貨1枚、10000ゴルは銀貨一枚、十万ゴルは大銀貨一枚と上がっていく。金貨や大金貨なども存在するが町の日常のなかではあまり使用されず見かけた事がない。

「これから隣町の冒険者ギルドにダンジョンの事を知らせてきます。国に対してはジェダイド様に相談するつもりです。とりあえず、町周辺のグレイボアの事よろしくお願いします」

父にグレイボアの事をよくよく頼んで、鞄からグレイボアを出して渡し、マリーとムニ坊を連れ転移する。隣町の門へ意識を集中させて移動。問題なく3人の移動が完了した。


隣のラディシュの町の門の側に転移完了。あとは冒険者ギルドへ向かうだけ、なのだが気が重い。あまり馴染みのない町に、これから知らない大人と話さなければならないプレッシャーを感じる。できればマリーに代わりに言いに行って欲しいくらいだが、淑女教育による女主人編でしなければならない事は分かっている。こういう時は矢面に立つ事も大事だという事だ。と、同時に人を上手く使う事も求められている。

ファンタジーの定番、冒険者ギルドに行くっていうイベントを楽しむ心など私には持てなかったよ。とりあえず熊型のムニ坊に抱きつき、撫で回して心を落ち着ける。

なにも冒険者登録に行く訳じゃないんだ。メイド服を着ているマリーも一緒だし、依頼人くらいには思われるはず…。多分ね。テンプレよろしく絡まれないといいな…。

冒険者ギルドは各国にまたがる存在で色々な種族が在籍している。地方の寂れた地区などはそこまで多種族がいたりしないが王都などはそれなりに多種族が行き来していた。鎖国している訳ではないエルフの郷でも王都では他種族がみかける事があるが、地方ではあまり他種族をみかけないものだ。


「冒険者ギルドがあっても、ライスの町よりちょっと栄えてる位の田舎だと他種族は見かけないものだね…」

私のぼやきにに対してマリーが突っ込む。

「お嬢様は対人恐怖症を患っていても、他種族などには好奇心旺盛ですよね。その調子でギルドでも頑張って下さいませ。ちなみにギルドの位置はご存知ですか?」

「冒険者ギルドとか一度も行った事がないし、ちょっとわかりませんね。大通りを歩いて看板を探せば見つかるんじゃないかと思っているのですけど…、どうかしら?」

「見つからなければ、人に尋ねましょうね」

そんな話でギルドの場所を探す事に決まった。できれば他人に尋ねる事が必要になりませんように…。

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