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10、ミミック+クマ=ムニ坊

森に入り、草むらを越え、藪を越え、ムニ坊の言った魔力の多い洞窟を目指し進んだ。


「グレイボアは畑を荒らす事もある様なので、なるべく早く町に知らせたほうがいいんですがね。小さな群れも作る事が知られていますから、危険ではないかと思います」

マリーにはそんな忠告をもらったが、ムニ坊はまだ帰りたがらない。確かに帰る方が賢明だ。しかし今帰ると魔力の多い洞窟には当分行けそうになくなる。実家周辺の森でも害獣退治には私は足手まといだろうし、危険に自ら突っ込んでいくには色々と私は足り無すぎる。主に度胸とか体力とか覚悟などが。




そこは地面が斜面になっていて暗い土の中の穴という感じの洞窟だった。岩などはなく土でできていた。

「魔力、噴出してきてる」

「暗いですね。奥が見えません。光を」

ムニ坊が熊のぬいぐるみのような両手を口元にやって言う。私は洞窟の中が全く見えないので光の玉を複数だして洞窟に放り込む。

洞窟の斜面を進み、光の玉が奥へ進む。奥は光に照らされて洞窟がまだまだ奥へと続く様がみえる。

「魔物の巣の可能性もありますね。地の精霊魔法で閉じられませんか?」

マリーに言われて光を戻し、大地に干渉する。しかし弾かれた。力がどうもこの洞窟には浸透せず、イメージしても弾かれて何も起こらない。

「無理みたい。なんなんだろうこの穴…」

「魔力いっぱい。入りたい。この洞窟、は・い・り・た・いー」

ムニ坊が私の腰に抱きついて訴える。

正直にいうと私は入りたくない。小精霊もこの奥は危険と訴えてきている。しかし、実家のある町周辺にこんな正体不明の小精霊が危険と訴える洞窟なんて冗談じゃない。もう少し調べるしかないかな。

「この洞窟少し入って調べてから帰ろう。小精霊が奥は危険って言ってるから、深入りしないように気をつけて行こう」

「お嬢様…。私は反対です。が、何もわからないままでは危険性も図れないと言う事ですね…。仕方ありません。でも決して前には出ないでください。それとムニ坊、お嬢様から離れないように」


マリーを先頭に暗い洞窟を歩く私たちの周りを光の玉が周囲を照らしながら浮遊してついてくる。

それと探索ならばと思って風の小精霊に洞窟の中を調べてもらいながら進んだ。

「有害なガスとかも出てないみたい。…ただ、迷路みたいになってるって。あ、ここ右に行きましょう。この先は行き止まりらしいので」


歩いて進む相変わらずマリーを先頭にし私、私の後ろにムニ坊という順番で進む。周りの風景は変わらず土の壁という感じだ。

『この先、階段』

風の小精霊が伝えてきた。

「階段?この天然の洞窟に階段?階段なんて作る魔物いるのかしら?」

私が精霊の言葉を伝えると同時にマリーの意見を聞く。

「ゴブリン等人型の魔物が作る可能性はありますけど…この洞窟は町に近すぎるしもっと目撃例があってしかるべきですね。ダンジョンと言われたほうが納得できます」

「ダンジョンって魔力が溜まってできる、あの?定期的に魔物を間引かないとあふれる事もあるダンジョン?ここ、実家の近くでもあるから本当にやめて欲しいわ…」

この世界にダンジョンは存在する。魔物も主にダンジョンが生んだか、世界の魔力が強い地域に住む生き物が魔力で突然変異して子孫を残した結果、魔物と呼ばれる種がうまれたかして存在する。

ダンジョンは世界の魔力が凝ってできる魔石鉱山であり、魔物発生スポットでもある。発見したら国に報告して管理しなければ、魔物が大量に湧き出す危険地帯でもある。潰すにはダンジョンコアを破壊するかダンジョンから引き剥がして持ち去るかしないとならない。


そして目の前には土で出来た洞窟のなかの石で作られた階段がある。階段の先は暗く先を見通せない。

「…ダンジョンて判ったら証明できる魔石でも採取して報告…ですよね?」

「そうですね。ダンジョンは飼いならせるなら魔石鉱山で他の素材なども採れる、富を生むものですから」

本当はダンジョンに潰れて欲しい。国のためになるなら飼いならすという選択肢は、近くのライスの町がダンジョン都市になるだろうし、穏やかな町は荒くれ者の冒険者も世界各国からやってくる事で治安も悪くなるしで、急な変化がやってきてもおかしくない。私の故郷の静かで穏やかな田舎のライスの町がなくなってしまう気がした。

「とりあえず、降りて魔石とか他に採取できるものを採って報告に戻ります。それでは行きましょう」


石畳の階段を進む。周囲は岩でできた洞窟のようだ。

「風の小精霊に聞いた感じですが、有毒ガスの吹き出る所はなし、しかし魔物がいるそうです」

言葉少なに連絡事項を告げ進んでいく。

『危険、魔物いるよ』『次の角の向こうに魔物』

付いてきてくれている小精霊が魔物の位置を知らせてくれる。

「次の角の向こうに魔物がいます」

小さな声で知らせナイフを持ち準備する。


ギャッギャッと声が聞こえる角の向こう側にいたのはゴブリンの様だ。

洞窟の中で火を焚くのは空気が薄くなって危険そうだから風の小精霊に頼る事にした。地の精霊はダンジョンという場所ではあまり力をふるえないようで、ダンジョンの壁を変形させても直ぐに戻ってしまうし、石など無から生み出すことはできない。

角を曲がったらマリーに少し下がってもらって直ぐに風の刃を一面に叩きつける。グギャァッと悲鳴が聞こえた。

魔法が発動したら私はマリーの後ろに下がり、ムニ坊が前に出る。

「…魔物いないよ?小さい魔石落ちてる」

私とマリーは暗くてよく見えていなかったがムニ坊には明るさに関係なく空間を認識しているようだ。

「ダンジョンでは死んだものをダンジョン自体が吸収する特性もありますから、間違いなくここはダンジョンですね。何故か魔石は吸収され辛い特性もあり死体がなくなっても魔石は残る事が多いですね」

「このゴブリンの魔石、ダンジョンの証明になります?」

ムニ坊が落ちている魔石を拾って私に6個手渡してきた。私は鞄にいれながら尋ねる。

「難しいと思います。壁の中の鉱石とか魔石ならまだしも、ゴブリンの魔石では…」

「ではもう少し進んでみましょう」


それからゴブリンのグループには5,6回遭遇した。毎回、小精霊が知らせてくれるので先制攻撃の精霊魔法で難なく倒せていた。

「この先、小部屋があるそうです」

「小部屋ですか…、ダンジョンだと宝箱があったり、強い魔物がいたりする所ですが…、危険だと思いますが調べますか?」

「小部屋に入ろう。魔力そっちから流れてくる」

ムニ坊が行きたがるので、入ってみることにした。魔力が流れてくるって言うのも気になるしね。

小部屋の中には今まで見かけたゴブリンより一回り大きいゴブリンが8匹いた。が、先制攻撃で6体倒し、生き残った2体も手傷を負って暴れたが、マリーが風の魔法で強化したナイフで1体倒し、最後の1体はムニ坊が熊型で体当たりしてからスライム状になり飲み込んでしまった。

ダンジョンの外と違って血とかはダンジョンに直ぐ吸収されるようだ。しかし、小部屋のなかは篭ったような匂いがする。ちょっと臭いので風の小精霊に通路の空気と混ぜて拡散してもらった。

「ご主人、箱があるよ」

ムニ坊に呼ばれて振り返る。そこには黒いもやのかたまりがあった。

「箱ですね。ダンジョンの宝箱でしょう」

マリーも箱について言う。しかし私には箱に見えない。全体的に黒いもやの塊にみえる。

マリーにもムニ坊にも薄い灰色のもやの検証の時に見える事は話してあるので黒いもやが見える事を伝える。

「その箱、黒いもやで悪意があるように感じます。あまり近づかない方がいいと思うわ」

「箱がトラップなのか、箱にトラップを仕込んでいるかですね」

マリーが応える。ムニ坊は私の側に来て箱に対し、スライムの酸を泥玉状にしてぶつけた。

その瞬間、箱がスライム状になりムニ坊に襲い掛かってきた。

「ムニ坊!」

ムニ坊もスライム状になり応戦。物量的にはムニ坊の方が有利だが、心配はする。

スライム達はは不定形を保ったままぐねぐねと形を変え、しばらくするといつものオレンジ色のぬいぐるみの様な熊の状態になった。

「勝った。あと体の中にこんなのあったよ」

そう言って魔石と透明な石を手から出して渡してきた。

「ミミックスライムの魔石と箱の中の宝物でしょうか」

「あの箱に擬態していたのがミミックか…」

「お嬢様のムニ坊もミミックスライムと呼ばれる種類ですよ。常に擬態して活動していますもの」

「つまり、ムニ坊は『ミミックマ』…」

ミミックで熊だからミミックマ。リナリア様位しか共感してくれないだろうけどなんか楽しい。

「僕はミミックマの…ムニ坊?」

ムニ坊が熊の頭を傾げて言う。

イイじゃないかミミックマ。語呂もいいし可愛い。


壁に光の玉を近づける。辺りを見回しても黒いもやは見えない。

壁の岩は赤茶けた色をしている。魔力はここから流れているようだ。

「通路の灰色の岩と比べて色が違いますね」

「ダンジョンにある採取ポイントという奴でしょうか?」

赤茶けた壁の岩に手を付き魔力を集中させてまず探る。今度は弾かれずに力が浸透するように感じれれた。鉄の成分が多そうなので抜き出してみる。

綱引きの綱を引くような感覚の後、カツンと足元に鉄の塊が落ちた。

「…っ、これ結構疲れますね…。鉄はこれ位とれたら報告用にできますか?」

「お嬢様、無理はなさらないで下さい。報告はそれで十分だと思います。魔石も大きめですしミミックスライムのものでいいでしょう」

「では、帰る?」

鉄の塊を鞄に入れて光の玉を身の回りに戻し帰り支度をすませた。

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