僕の向かう場所
30分チャレンジです。±5分の誤差を含みます。
(追記)改行だけ加えました…
僕はどこから来たのだろう?
拓也が僕にそれを尋ねたのは彼の好奇心からだ。
拓哉は5歳の純粋無垢な男の子だ、様々な事に興味を持つ。そして、その興味は時々刻々転々と遷ろう。
「ニシグチロボティクスB286工場です。」
僕は事実を答えた。
違う。拓也が興味を抱いた疑問はそこじゃない。
しかし、僕には事実しか話すことが出来ない。
あれから20年3ヶ月16日9時間35分28秒が過ぎた。
今や僕の皮膚は所々が破れ、銀色の骨格がその隙間から光を反射する。
体はもう動かす事が出来ない。どれだけ制御系統から指示を送っても僕のアクチュエータは無反応だ。横たわった体は鉛の様に重い。辛うじて、右手を閉じる事は出来るが。閉じた手を開く事もかなわない。
拓也が僕の閉じた手を開かせてくれた。
その眼には、食塩水と組成の近い液体が溢れている。
拓也が言葉を発する。
❲あ…ザザズ…G…と…ジジ…❳
マイクロフォンが読み取った信号には余りにもノイズが多い。
僕の信号処理機能も[読取り不可]を出力する。
しかし、僕には彼の言いたかった事が理解出来る。
僕は、口角に繋がるモータを回転させ、「表情3」を作ろうとする。
拓也は、僕の顔を見て目を力強く閉じ、頭部を僕の胸に押し当てた。
僕の感情アルゴリズムが混乱する。
自動ドアが開き、白衣を着た人物が入ってきた。
その人物は拓也の肩にゆっくりと手を置き、何か言葉を発した。
拓也は僕の胸の上で3度頷くと、頭を上げた。
白衣の人物が台車を押して僕を運ぶ。
僕はどこへ向かうのだろう。




