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巨乳の快楽に負けて人生を捨てた男


「おい貴様! 動くな!」



 テロリストの一人に銃口を向けられると、鈴木の混乱はさらに加速する。



「いぎゃああああああああああ殺されるぅううううう!」



 それを引き金に、200人以上の生徒たちが、一斉に集団ヒステリー起こした。



「あああああああああああああああああああああ!」

「いやぁあああああああああああああああああああ!」

「助けてぇえええええええええええええええええええええええ!」

「あぎゅぐぐぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ!」

「くぁwせdrftgyふじこlp!」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」

「おいこら貴様、うわっ」

「あばばばばばばばばあばっばあばばあ!」



 テロリストの腕を振りほどいて、鈴木はそのまま非常ドアに体当たりをかまして、解放レバーを回した。



 高度7000メートルで解放される非常ドア、機内の空気が一気に外へと吸い出されて、鈴木は雲の中に消えた。



「鈴木ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」



 俺の叫びも空しく、外からは颶風の轟音だけが虚しく響いた。



 気圧の変化で機内のものが片っ端から外に吸い出される中、パニックはさらに加速していく。



 うちの生徒たちを中心に、乗客たちは仲間につられて海へ跳びこむペンギンの群れのように、非常ドアへと殺到した。



「待て! 貴様ら!」

「おい! 止まれ!」

「本当に撃つぞ!」



 テロリストたちは、天井に向かって発砲するが無駄だった。



 一度決壊したダムの水を止められないように、集団ヒステリーを起こして大移動をする人の群れを止める方法なんて、ありはしない。



 事前にパラシュートを配られていた乗客たちは滝に落ちる急流の勢いで、空に身を投げ出していく。



「ナナミさん! このままだと人質が全員逃げてしまいます!」

「どうしますか!?」

「くっ!」



 ナナミと呼ばれた少女が、悔しそうに歯噛みした。ストロベリーブロンド、いわゆるピンク髪をツーサイドアップにまとめた可愛らしい少女だ。本来なら是非ともお近づきになりたい。



 が、両手に握るのは拳銃とサブマシンガンだ。



 あれが俺に向けられたらと思うとぞっとしない。



 ——ちょっと危険だけど、俺もこの流れに乗って逃げるとしよう。



 素人がパラシュート降下するのは危ないと思う。でも、テロリストたちが、銃で実力行使してきたら、そっちのほうがよっぽど危険だ。



 将棋倒しにならないよう、タイミングを見計らって、俺は座席から立って駆け出した。



「させないのです!」

 人の流れに跳びこもうとする俺に、ナナミと呼ばれた少女がアメフトタックルで飛びついて来た。

「ぐべぁ!」

 胸板に頭突きをかまされて、俺は仰向けに転倒した。



 ナナミは、両腕で俺の体をガッチリとホールドして離さない。



「くそ、離せ! 俺もみんなと一緒に逃げるんだ!」

 テロリストと言っても相手は小柄な女の子。もがけば振りほどけるだろうと、俺は手足をバタつかせる。



「ええい、おとなしくするのです!」

 声を荒立てながら、ナナミが上半身を上ってきて、俺の上にのしかかってくる。



 次の瞬間、パチン、という音と同時に、俺の胸に衝撃が走った。



「はうっ」



 突然、尋常ではない快楽が体を襲う。



 見れば、ナナミの胸が俺の胸板に押し付けられ、浮きあがったノースリーブのシャツから、深い谷間が見えていた。



 ——おっぱいデケェエエエエエエエエエエ!



 サイズが倍増しだ。どうやら、さっきの音はブラのホックが外れた音らしい。

 封印されていたナナミの巨乳が解放され、その暴力性を欲しいがままにしていた。



 ——ほぉおおおぁああああああああ!



「お前は人質なのです。自由は許しません!」



 ——きもちぃきもちぃきもちぃきもちぃきもちぃきもちぃきもちぃきもちぃ。



「よし、おとなしくなりましたね。いいですか、次、暴れたら撃ちますからね」



 ——なにこれなにこれマジでなにこれ凄いんだけど! 尋常じゃないんだけど!



 ナナミのノーブラおっぱいは、本当に、モチモチのぽよんぽよんだった。



 大きくずっしりとした心地よい重み。

 ぐんにゅりと圧し潰れるやわらかさ。

 けれど左右の中央部を中心に広がる低反発力。

 他にたとえるものがない、おっぱいにだけ許された感触がそこにはあった。

 そうか、おっぱいは、幸せ発生器だったんだ。



 文明人としての理性や判断力を手放して、俺は彼女のおっぱいに身を任せた。



「うおおおお逃げろ逃げろぉ!」

「早く飛び降りるんだぁ!」



 乗客たちは、次々逃げていく。



 俺も、早くこの流れに乗らなければならないのはわかる。でも、この快楽を手放したくない。

 あと五秒、あと五秒だけ堪能したら、ナナミを振りほどいて、ドアから飛び降りよう。



 それにしても、ナナミって本当に可愛いな。

 ストロベリーブロンドの髪に金色の瞳。

 トップコスプレイヤーみたいな顔立ちで、一言で言えば、2・5次元美少女だ。

 小柄で可愛いけど手足は長くて、腰はくびれているのにお尻とおっぱいは大きくて、エロいなぁ。



 バタン ガチャ カチン

「え?」

 非常ドアは閉じていた。

 テロリストが解放レバーを握り締め、ロックをかけていた。



「そんなぁあああああああああああああ!」



 ——うぉおおおおおお! 一時の快楽のために俺はなんということを!



 後悔の念が、津波のように押し寄せてくる。



 だが、どれだけ悔やんでも後の祭りだ。



 俺一人VS武装テロリスト十数人。

 逃げる隙なんて、あるわけもない。



「人質は逃げてしまいましたがまぁいいでしょう。一人いれば十分です。このまま、パシク国へ向かいましょう」

『了解!』



 ナナミの指示で、女性テロリストたちは、一斉に敬礼をキメた。



 こうして、俺は太平洋上の海洋国家、パシク王国へと拉致されることになった。



 俺はこれから、どうなってしまうんだ。

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