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炎上、ロサンゼルス2

ロサンゼルスにドラゴンが出現して20分後、ロサンゼルスから最も近い場所に位置するエドワーズ空軍基地からドラゴン出現の第一報を聞いた戦闘機パイロットたちに緊急出撃スクランブルの命令が下された。


訓練で週に三回以上はスクランブル発進の訓練を行うが、今回は訓練や演習でもない。

ロサンゼルスが敵対的生物の攻撃を受けて壊滅寸前の状態になっているというものであった。

北朝鮮が弾道ミサイル攻撃をしてきたとか、中国やロシアが宣戦布告してきたと言われたほうがまだ現実感はあるが、敵対的生物…それもドラゴンが襲っていると報告されたら信じるだろうか?


「なんだね…そんなファンタジーのような話を信じろというのかね?」


当然、基地司令官は最初報告が二か月ほど遅いエープリルフールネタかと思ったが、報告をしてきた兵士が真っ青な顔をして基地司令官に「今すぐにテレビをつけてください」と迫ったのだ。

深夜2時まで書類の書き終えてから朝6時まで暫しの仮眠を取っている時に起こされたのだからいささか機嫌が悪かった。


しかし、報告してきた兵士の顔があまりにも絶望したような顔をしていたので、仕方なく眠たい目をこすりながらテレビをつけると、そこには巨大なドラゴンがロサンゼルスの上空を旋回しながら地上に向けて炎を噴き上げる光景が映し出されていた。


『こちらはABCD放送です!現在私はロサンゼルス国際空港のターミナルにいます、後ろをご覧ください!現在のロサンゼルスの様子です!ロサンゼルス中心部のダウンタウンやチャイナタウンが大きな炎に包まれています!上空を巨大なドラゴンのような生物が炎を噴き上げながら街に向けて何発も巨大な炎の塊を噴きつけて燃やし尽くしています!』


その光景を見て絶句した基地司令官はもう一度兵士に尋ねた。


「なんだこれは………何かの間違いではないのかね?」


「いえ、先ほどから警察や市民からの緊急電話が殺到している状態です。中心部は壊滅…郊外に避難する人々でハイウェイは大渋滞を起こしているそうです」


「…あのドラゴンにミサイルは効くのかね…と、とにかくパイロットたちを叩き起こして稼働できる機体はすぐに出撃させるんだ!早期警戒管制機(AWACS)も空に上げろ!」


基地司令官の一声で、エドワーズ空軍基地から続々と戦闘機が上がっていく。

真っ先に滑走路から離陸していくのはエドワーズ空軍基地に配備しているのは第四世代ジェット戦闘機でも世界各国への輸出や配備に成功しているF-16戦闘機である。


航空自衛隊に配備されているF-2支援戦闘機のベースになった機体でもある。

エンジンやレーダー機能などに近代化改修を施したC型が28機。

機体に機関砲弾とミサイルを満載して空に飛び立った。


パイロットたちは命令の内容に半信半疑のままであった。

『ドラゴンがロサンゼルスで大暴れしているから倒してこい』

こんな命令文は訓練でもやったことがない。

これなら北朝鮮が無人航空機ドローンで攻撃をしてきていると言われたほうが信じやすいものだ。


そう疑問に思いながら空に飛び立ったのだ。

パイロットたちは月に100時間以上は飛んでいる訓練された兵士だ。

そう易々と撃墜されるはずがない。

パイロットの一人が仲間に愚痴を言いながら呟く。


「俺はなぁ…ドラゴンがロサンゼルスで暴れているなんてこの目で見ない限り信じないぞ…」


「まったく、とうとう司令官も日頃の激務で頭をやられてしまったらしいな…戦闘機だけじゃなくて攻撃機部隊まで全機離陸せよと命令を出すとはな…」


「とにかく、地上のレーダー基地からの情報をもらいながら先に俺たちがドラゴンを倒せばいいんだろ?最寄りの地上レーダー基地からの情報は常にアクティブだ。問題ない…後続のA-10と合流してからロサンゼルスに向かうぞ」


F-16戦闘機の後を追うように、後続の攻撃機が滑走路から離陸していく。

劣化ウラン弾を使用する30ミリバルカン砲を搭載し、無誘導のロケット弾を発射できる機体でありインターネット上で何かともてはやされているA-10攻撃機だ。

A-10攻撃機は8機…修理や整備中であった機体を除いているので、真っ先にロサンゼルスに到着するのはこの36機となる。


部隊の先頭を行くのは、アメリカ空軍第950航空戦闘軍団…”オアシス隊”の隊長であるオアシス1ことフレデリック大佐であった。

アメリカ軍の中でも精鋭部隊が多いことで知られているアグレッサー部隊出身の彼は、後続のA-10が追いつくようにF-16の飛行速度を控えめにして合流すると、ロサンゼルスへと向かっていく。

そして、フレデリック大佐はロサンゼルスに到着するより前に空が異様に赤いことに気が付くのであった。


「なんだ…ロサンゼルスの方向が異様に赤いぞ…」


「山火事よりもひどく燃えているような感じだな…見た限りは…まさか本当にドラゴンが?」


「仮にドラゴンが現れたんなら俺たちはさながらドラゴン退治を任された伝説の勇者にでもなった気分だな…聖剣エクスカリバーでも抜いてくるべきだったか?」


「お喋りはそこまでにしておけお前達…こちら早期警戒管制機「カタルシス」…前方に巨大な機影を確認…ロサンゼルスを襲っている敵対的生物だと思われる。各機に位置情報と攻撃目標の識別データを転送する…」


レーダーに表示されてるのは通常の戦闘機や爆撃機の機影では考えられないような巨大な機影であった。

この機影がドラゴンなのだろうか?

だが、少なくとも早期警戒管制が送ってきてくれたデータだ。


地上レーダー基地からの情報と照らし合わせているのでほぼ間違いないだろう。

そして、目視でも確認できる距離まで近づくとドラゴンの大きさにパイロットたちは言葉を失ってしまう。

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