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閑話 actresses

 

「あー、そこでござるっ、そこをもっとグリグリと押すのでござるよっ」

「こ、こう? こんなに押して大丈夫?」

「生ヌルいでござるっ、タクみんは文字の力で穴があくほど押してくれたでござるよっ!」

「わ、わかった、僕、頑張るよっ」


 嘘でござる。タクみんに肩を揉まれたことはないでござるよ。おでこに穴は開けられたでござるが……


「ちょっと、ロッカっ、いつまであのタクミに肩を揉ませてるのっ、いい加減にしなさいっ、彼はこのあと洗濯や掃除が残っているのよっ」

「サシャはうるさいでござるな、拙者、最近、頑張ってるので肩こりがひどいのでござるよ」

「何を頑張ってるのよっ、ゴロゴロしながら漫画読んでるだけじゃないっ、ほら、あのタクミも、こんなの、いいから私と洗濯しましょっ」

「あ、う、うん、ごめんね、ロッカ」


 ああっ、拙者のマッサージ機が行ってしまうでござるよ……なーんて、でござる。


 ふふふ、みんな拙者があのタクみんに完落ちしていると思ってるでござるな。甘いでござるよ、拙者、そんな尻軽ではござらんよ。


 全ては演技フェイク。あのタクみんの秘密を暴くため、デレデレなフリをしているのでござる。そう、全部はタクみんを想う拙者の果てしない愛なのでござる。



『それはさすがにあかんのとちゃうかなぁ、どんだけズボラでも、うちらのタッくんは出て行ったほうのタッくんやで』


 あの時も実はカルちんの声は聞こえていたのでござるよ。しかし、あのタクみん側についたと見せかけるため、仕方なく聞こえないふりをしたのでござる。

 カルちんたちも、あのタクみんを疑ってるみたいでござるが、心を許したフリをしなければ、あのタクみんも本性を現さないでござるよ。

 それができるのは拙者だけでござる。行き遅れ王女も大賢者も、あのタクみんに呆気なく落ちてしまったでござるよ。


「カルちんやレイア様は探りをいれているのを、あのタクみんが気づいていないと思ってるでござるが、甘いでござるな」


 1番近くにずっといるからわかるでござる。あのタクみんは、2人が見張っていることに気づいていて、本当の部分は見せていないのでござるよ。


「敵を(あざむ)くにはまず味方から。タクみんのために、あえて敵の懐に飛び込む拙者。なんて健気でござるか。タクみんが戻ってきた時には、もう拙者にメロメロでござるよ」

「そんなにうまくいくかのぅ」


 びくんっ、と背後を振り向くが誰もいない。バカなっ、確かに今、大賢者の声がっ。


「ここじゃ、ここ。お主の足元じゃ」

「ぬわっ、ミクロサイズの大賢者っ、ヌルハちぃではござらんかっ!?」


 いつのまに、そのサイズにっ、さっきまで普通にご飯を食べていたではござらんか?


「あっちの大きいほうが偽物じゃ。ゴブリン王のように脱皮して、中に魔力を詰めて遠隔操作で操っておる。そして本体の小さいほうで、あのタクミを探っとるんじゃ」

「なっ、あのタクみんに落ちたのではなかったのでござるかっ!?」

「当たり前じゃろ。ヌルハチのタクミは1人しかおらん」


 ヌ、ヌルハチも拙者と同じだったのでござったか。

 これでは拙者だけに満票入ると思っていたタクみんポイントが、分割されてしまうでござるよ。


「ま、まあ、ヌルハちぃも頑張るといいでござる。拙者のタクみん愛は誰にも負けないでござるがな」


 や、やばいでござるよ。大幅に計画が狂ってきたでござる。拙者だけ、あのタクみんに惑わされていないつもりが、思わぬライバルの出現でござるよ。


「ん? 洗濯物に魔力の流れが…… あのタクみんの服に付着しているのでござるか?」


 ひょい、と掴むと慌ててサシャがやってくる。


「ちょっと、ロッカ、それ触らないで。追跡(トレース)の魔法かけてるんだから」

「へ? なんでそんなことをしてるのでござる?」

「決まってるじゃない。あのタクミがどこにいるか常に把握するためよ」


 ええっ!?


「そんなにあのタクみんことが好きでござったのかっ!?」

「ちがうわよっ、あのタクミの行動パターンを解析して、なにか弱点がないか探ってるのよ、タクミのために」

「へ?」


 ど、どういうことでござるかっ!? もしかして、みんなあのタクみんに落ちたフリをしてるだけで、全員、タクみんを愛したままだったのでござるかっ!?


「演技上手かったでしょ。タクミもすっかり騙されてたし。でもロッカの演技はちょっとあからさますぎだから、バレないように気をつけてね」

「は、はい、でござるよ」


 がーーん、でござるよ。拙者、穴があったら入りたいでござる。


「あ、おでこにあったでござる」


 空いた穴から、タクみんの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。やはり、この穴は離れていてもタクみんと連結しているのでござるよ。


『バカだなぁ、アリス。それはこうじゃなくて、こうやるんだよ』


 そして圧倒的史上最強のライバルと2人きりという現実をまざまざと見せつけられた、のでござる。









コミックス4巻が2025年12月25日に少年チャンピオンコミックスから発売されました! 小説版とはまた違ったオリジナル展開になりますので、ぜひぜひお手に取ってみて下さい。よろしくお願い致します。

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