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二百七十八話 助平

 

「えっ!? タクみん、弱くなったのでござるかっ!!」

「うん、そうなんだよー、宇宙最強の力も文字の力も全部返しちゃったんだー」


 帰ってきたロッカに説明する。ちょっと棒読みになってしまったけど、大丈夫だよね?


「ほ、本当でござるか? 見た目はまったく変わってないでござるが」


 またファットスーツを着ることも考えたが、さすがに見抜かれてしまうだろう。

 ここはもう、今後一切、力を使わないことで押し切るしかない。


「カルちん、どうでござるか? 本当にタクみんは弱くなってるでござるか?」

『うーーん、わからへんなぁ。タッくん、器が空っぽすぎて探知できへんねん』


 うん、カルちんてなに?

 いつのまに2人、そんなに仲良くなったの?


『タッくんがロッカと一緒にうちのこと忘れて行ったからや。いつ爆発するかわからん宇宙と一緒にあんなとこおったら仇同士でも仲良くなるわっ』

「ご、ごめん」


 ちゃんとカルナも脱出させたはずなんだけど。

 メンテナンス後、最初にロッカが持っていたから、カルナの所有権が俺から移って戻ったんじゃないかな? そういえば、ソネリオンが生まれたばかりの魔装備は雛鳥が最初に見たものを親と間違えるみたいに、持ち主を間違えるって言ってたような気がする。


 まあ、前みたいにずっと側にいたら、カルナに力を感知されるかもしれないから、しばらくこのままにしておこう。


「でも弱くなったのでござったら、オデコにはもう何も書かれてないはずでござる。どうしてタクみんは、まだバンダナを巻いているのでござるか?」

「あ、ああ、これは単なるオシャレ、ですよ? ほ、ほら、似合ってるだろ? お、俺、かっこよくない?」

「た、確かに、超絶カッコいいでござるっ!」

『ロッちんっ、あかんっ、誤魔化されとるっ!』


 くっ、勢いだけでは騙せないか。

 これから全世界を股にかけて、俺が弱くなったと勘違いさせないといけないのに、最初からこんなチョロい二人でつまずくわけにはいかない。


「本当はヌルハチがかけた封印の魔法が再始動して取れなくなっちゃったんだ。触るとビリビリするから仕方なく……」

「そうなのでござるか。拙者、てっきりまた、本当は強いままなのに弱くなったと、みんなを騙すつもりだと思ってしまったでござったよ」


 よ、よくよくわかってるね、その通りだよ。

 バレてないよね? 知ってて知らんぷりしてるんじゃないよね? ロッちん。


『まあええわ。どうせタッくんのことやから、ほんまに騙しとっても、そんなうまいこと誤魔化されへんし。すぐボロがでてくるわ』


 だ、出さないよ。今回だけは、ずっと隠し通さないといけない。

 あれだけカッコつけて、アリスにも力を返してくるって決めてきたのに、出来ませんでしたなんて、あまりにもカッコ悪すぎる。


「でも確かに、タクみんはちょっと本気になりすぎたでござるな。世界中の人たちにずっと恐怖の破壊神と思われてたら、大変でござるからな」

『まあ、シリアスなタッくんも悪くなかったけどな。うちはやっぱり、のほほんとしてるタッくんのほうが好きやわ』


 うん。もう二度とあんなことにならないように、力を封印しておかないと。

 今までは本当は最弱なのに最強と勘違いされ続けていた。だからできるはずだ。最強なのに最弱と勘違いされることだって。


「さ、さあ、話はこれくらいにして、そろそろご飯でも作ろうかな。ロッカやカルナも帰ってきたし、今日はちょっと豪勢な晩御飯にしよう」


 タクミ村で食材を買い足しに行こうかな。この前あらごしヴィシソワーズを作ってモウ乳を切らしていたし。ついでにソネリオンのとこに新しい香辛料も見に行こう。


「ピンクなんとか……あっ」


 ほとんど無意識に、ピンクのドアを出しそうになる。ギリギリのところで止めることができたが、右手はすでにノブを回すための動作をはじめていた。


「ん? なんでござるか? それはピンクディメンションドアをだそうとしたでござるか?」

『タッくん、やっぱり力残ってるん?』


 おーまいがーっ。ずっと使ってた能力だから癖が抜けてない。少し前からなるべく歩いて移動してたんだけど。


「ち、ちがうよ。これは、なんだ、あれだ、手がなんとなく寂しくなって……」


 何もないところをにぎにぎする。


「も、もしかして、その手でっ、拙者の胸を揉みしだこうとしたのでござるかっ!?」

『ロッちんのっ!? 確かにめっちゃいやらしい動きやんっ! そのあと、うちのも揉むん? 揉みしだくんっ!?』


 うん、揉まないし、カルナの胸がどの部分にあるかもわからない。

 でも、力が無いと誤魔化すためには、とりあえず乗っておこう。


「ごめん、ちょっとムラムラして……」

『いやぁああーーーっ!!』「でござるぅーーーっ!!」


 2人の悲鳴が重なり、頬に二連打の衝撃が走る。


 その日、スケベ再猛省中のプレートを首から下げタクミ村で買い物する姿は、瞬く間に色狂いの破壊神という異名を村中に轟かせる事となった。※



※ タクミは何回かこのプレートをぶら下げてます。これらのエピソードは、第五部 一章 「百四十八話 タクミ反省中」「百四十九話 タクミ猛反省中」、さらに他にも載ってますので、よかったら探してみて下さい。


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