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百八十五話 ボルト山とタクミファミリー

 

「ん? ちゃくみ、どしたの? どっかいくの?」

「うん、ちょっとね。探しものを、ね」


 アリスとの修行が終わってから夕飯までの数時間は、『彼女』のペット探しにあてることにした。


「ありしゅもてつだうっ、どんなペット?」

「いや、それがよくわからないんだ」

「??? ちゃくみ、なにをさがすか、わかんないの?」

「うん、わかんないの」


 アリスと二人、仲良く首をかしげながら、見つめ合った。


『彼女』からのお願いであるペット探し。

 しかし、それがどんなペットなのか、『彼女』は完全には思い出せなかったのだ。



「向こうの世界にいた時に、ずっとそばにいてくれたの。こっちに来るときにもついて来てくれたはずなのに、はぐれてしまったわ。そして離れた時から、その存在を認識できなくなってしまったの」


 完璧な『彼女』でさえ、認識できないのか。

 どう考えても普通のペットじゃない。


 まあ、かなり厄介なミッションだが、カルナを魔剣に戻してくれたし、やるだけのことはやってみよう。


「アリスはこの辺で、他では見たことないような怪しい動物を見なかったか?」

「みたよっ、まいにち、みてゆっ!」

「えっ!?」


 ダメ元で聞いたのに意外な返事が返ってくる。


「ど、どこで見たんだ? どんなやつだ?」

「ん〜と、ね。あ、あそこにいりゅっ!」

「っ!!」


 アリスがびしっ、と指刺した方を見ると、確かにそこには他では見たことないような怪しい動物がいた。


「もきゅ?」

「うん、ちがうよ、ベビモ。まだご飯じゃないよ」

「もきゅーん」


 ちがうのかぁ、とがっかりうなだれて、トコトコと去って行くベビモ。


「ベビモちなうの?」

「あれはうちのペットだからね」

「そかあ」


 存在を認識できなくどころか、たまにでかくなるし、これでもか、とばかりに主張している。


「さすがに、すぐ近くにはいないだろうなぁ」


 かといってあてもなく探しに行くわけにもいかないし、まずはなんでもいいから取っ掛かりを見つけるしかない。


『いや、タッくん、案外近くにいるかもしれへんで』

「え? そうなの?」


 魔剣に戻ってから、カルナはずっと周囲の気配を探ってくれている。


「もしかして、なにか感じたのか? カルナ」

『ちゃうで、逆やタッくん。あまりにも何も感じひん。まるで見つけられたくない誰かが妨害してるみたいや』

「それ本当に誰もいないだけじゃないの?」

『うーん、ちゃうとおもうねんけどな。上手いこと言われへんけど、なんか違和感あるねん。いないけど気配があるような、そんな感じやねん』


 魔剣になったカルナは、他者の力を吸い取れるため、誰よりも力の流れに敏感だ。

 そのカルナが違和感を感じるなら、本当に近くにいるのかもしれない。


「わかった。ヌルハチやレイアにも頼んでみよう。カルナはそのまま気配を探っててくれ」

『まかしとき、探索範囲広げて絶対みつけたる。タッくんは修行で疲れやろ、ちょっと休んどき』


 たしかにカルナの気配察知にヌルハチの魔法とレイアの神降しが加われば、俺なんてかえって足手まといだろう。


「いや、俺も一緒に探すよ」


 それでもペット探しをサボる気にはならなかった。

『彼女』は誰にでもなく、わざわざ俺に頼んできた。

 彼女がお願いと言って持ちかけたこの課題は、俺にだからできることなのかもしれない。彼女の無機質ではない笑顔を見た時、なぜだかそう思ってしまったのだ。


「ありしゅもっ、ありしゅもいっしょさがすっ」

「ありがとうな、アリス。よし、今日はちょっと奥のほうまで行ってみようか」


 ぐりぐりとアリスの頭をなでると、にへー、と嬉しそうに笑う。


『タッくん、うちもっ、うちも頭ぐりぐりしてっ! めっちゃ頑張るからっ』


 ど、どこが頭なんだろうか。

 聞いたら怒られそうなので、とりあえず握っている柄の先をぐりぐりしてみる。


『にへー』


 おっ、どうやらちゃんと頭を撫でられたみたいだ。



 ヌルハチとレイア、ついでにベビモにもお願いして大規模なペット探しを開始する。

 俺とカルナとアリスは山を登り、ヌルハチとレイアとベビモは山を下り、ボルト山全域を隅々まで探索することになった。


「あ、タクミさん、ついでに麓の村に探索グッズを買いに行きましょうか。網とか籠とかあった方がいいと思いませんか?」

「うん、一切なんにもいらないから。当分お使いシリーズいいから。これ以上ややこしくしないでね」

「が、がーーん」


 がっかりとうなだれるレイア。


「タクミは頂上付近まで登ったことないじゃろう。大きい獣もでるし、ヌルハチが変わろうか?」

「大丈夫だよ。神降しや魔法も使えるし。体力だってけっこうついてきたから」


 10年以上前、この山に来た時は、ベアに襲われたら逃げるしかなかった。今なら戦ってもたぶん勝てると思う。ちょっと怖いけど。


「それじゃあ、みんな、日が暮れるまで探索しよう。発見しても危険を感じたら、捕獲せずに一旦戻ってきてほしい」


 ただのペットではなく、『彼女』のペットだ。

 どんな力を持っているのか想像もつかない。


『大丈夫やで。タッくんはうちが守ったるからな』

「ありしゅがいるからだいじょぶだよ」


 誰も油断はしていなかった。

 しかし、万全の体制で挑んだにも関わらず、日が暮れても、誰一人として戻る者はいなかった。


 


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どうか、よろしくお願い致します!


挿絵(By みてみん)


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超絶に面白いので、みんな見てねー!


次回公開は5月31日火曜日予定です!


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かなり素敵で面白い漫画になってますので、ぜひぜひ、ご覧になってみてください!!


第7回ネット小説大賞受賞作「うちの弟子がいつのまにか人類最強になっていて、なんの才能もない師匠の俺が、それを超える宇宙最強に誤認定されている件について」


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WEB版で興味を持って頂いた方、よかったら漫画版もご覧になってみて下さい!


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タクミ視点では書き切れなかったお話を裏章として、五話ほど追加しており、レイアやアリス、ヌルハチやカルナの前日譚など書き下ろし満載でございます。


二巻は全編がかなり変更されており、さらに裏章も追加されてます!

WEB版では活躍が少なかったマキナや、出番のなかった古代龍エンシェントドラゴンの活躍が増えたり、タクミとリンデンの幼い頃のお話や、本編でいつもカットされているレイアの活躍が書かれています。


書籍版も是非、よろしくお願い致します!



挿絵(By みてみん)

⬇︎下の方にある書報から二巻の購入も出来ます。⬇︎


これから応援してみよう、という優しいお方、下のほうにあるブックマークと「☆☆☆☆☆」での応援よろしくお願いします!

すでにされている方、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.


茄子炒め 様から素敵なレビューを頂きました。

いつも応援ありがとうございます!

言葉にならないほど感謝しています!


感想も、どしどしお待ちしています!

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