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その声が地図になる

9「その声が地図になる」


「ふう、ここまでくれば大丈夫かな?

どこに宿屋があるのか教えてもらっていいかな?

エル二?」


俺は門番の女性から逃げるため早足に、エル二の手を引いて町の中心近くまで来てしまった

しかし、俺はどこに宿があるのかわからない

そのため、エル二に問いかけてみたんだが・・



「で、でもレンはエルの恩人だし

私にも触れられる唯一の人間で・・・

でもでも、こんな簡単に・・・」


何やらブツブツ呟いている

というより、ラノベに出てくるチョロインみたいになってるぞ

普段は綺麗で母性溢れる感じなのに、時々出てくるポンコツ感はなんなんだろう

少し可愛いが、今は現実に戻って貰わないと



「おーい、エルニさん?

さっきのはそういう意味じゃないから戻ってこーい

エルのためにも早く宿の場所教えてくれ

エルニが話してくれないと地図もないからたどり着けないぞ」


俺はエルニの前で手をひらひらさせながら再び問いかけると



エルの名前を出したからなのか、はっとした後

「そ、そうなのね・・・ごめんなさい ぼーっとしていたわ

宿屋は・・この角を曲がって右にあるはずよ」

といつもの冷静な美人さんモードに戻って答える



いつもこんな感じだったら、文句なしのクールビューティ―なのに・・・

まあ時折出る母性がお母さん感を滲ませるんだが

まあ今はそんなことはいい


「あ!あれかな?

(日の丸)ってところだ・・な?」

日の丸ってどういう事だ?

明らかに日本の国旗と思われる旗が掲げられている


これは一体どういうことだ?

ここは異世界じゃなかったのか?

俺がそんな疑問を抱えているうちに、照れ隠しにか速足に宿に入っていく



「こんばんは、いらしゃいませ

宿屋日の丸にようこそ、本日はお泊りになさいますか?

お泊りの場合、大人お二人様一泊でで銅貨4枚になります」

受付のそこそこ美人さん(恐らく二十歳前後)がエルニに尋ねる



エルニは先ほどのポンコツっぷりが嘘であったかのように

落ち着いた様子で受け答えしている



「はい、それではお二人様の食事付きで銅貨6枚になります」


それまでエルニに任せていた俺が少し口を挟む

「申し訳ありませんが、俺は人より多く食べますので

追加で銅貨を払いますのでもう一食分つけてもらえませんか?」


もちろん俺が多く食べるわけではなく、エルのための食事だ

この事は事前にエルニに了承済みだ

しかし会話を聞いていたところ、やはりエルニの姿は確認できてもエルは見えていないみたいだ



「はい、もちろん追加でいただけるのであれば構いません

お食事は食堂でいただきますか?それともお部屋にお持ちいたしましょうか?」


「ありがとうございます

それでしたら、お手数ですが部屋に持ってきてもらっていいですか?」

エルニが勧めた宿だけあって、なかなかサービスが行き届いているな



「畏まりました

それでは、お部屋205号室

お食事は今から1時間後にお持ちいたします」

そう言って、丁寧なお辞儀をしてくれる

俺はそれを見て気分よく205号室に向かうのであった


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