魔物討伐の極意
40「魔物討伐の極意」
決戦当日、俺は約束の時間よりも少し早く冒険者ギルドに来ていた
「やっぱりどんな小さな事でも
情報収集は大切だよな・・・
迷いの森に出てくるモンスターとその特徴
をっと・・・」
俺はギルドの二階に内設してある
図書コーナーで今日の対戦場所の情報を
調べに来ていた
正直エルやレイがいるから負ける気は殆ど
しないのだが・・・
「やっぱり格好をつけちゃった以上
出来る限り自分の手で何とかしてみたいよな」
やはり女の子にはカッコいいとこ見せたい訳で
俺は迷いの森について時間いっぱい調べるのだった
「ふう、ざっとこんなもんか」
とりあえず、近いとか出てくるモンスターとかは
ひと通り調べることができた
この中でも有益だと思えた情報はこんな感じだ
①迷いの森はその名の通り、迷ってしまうものが多い
そのため木に目印をつけて進むと良いとのこと
②ここの森は奥に進むにつれ、モンスターの強さ
が増していくようなので、あまり奥に進むのは
おススメ出来ないとのこと
③ここには状態異常にしてくるモンスターが
多く存在するので、状態異常回復は多く持って
行くことがおススメとのこと
以上が大体必要で有益な情報ってところだ
どれも対策次第で対応可能なので、対戦前まで
に準備を済ますことが出来た
よし!いっちょやったりますか!
そうして俺とナンパ野郎との戦いが始まるのだった
それから俺とナンパ野郎は迷いの森の入り口まで
来ていた
観客としてエルニ、レイン、そしてレイラとミラ
がこちらを応援していた
そして一応正式な決闘としてギルドからは
リリナがこの試合の審判として派遣されていた
リリナは何も言わなかったが、どことなく
ナンパ野郎に冷たい視線を送っているような
気がする
もしかしたら昔ナンパされたのかな?
まあそんな事はいいとして、いよいよ時間
となりリリナがスタートの合図をくれる
「それでは両者準備はいいですか?
それではこれから2時間よーい、スタート!」
ようやく戦いの火蓋が切られた
俺は早速モンスターを探して森の中に進んでいった
しかしなんだろう?俺が行く間際に見た
男のニヤッとした顔が妙に頭に残ったのだった・・・
森を早足で歩き進める俺は、情報の通り、木に
目印を付けながら歩みを進めて行った
「おっ!最初の敵!」
俺が進む先に、少し大きめなイノシシのような
モンスター、確か「ブロス」だったか?
そいつが二匹で木の実を食べていた
俺はゆっくりと後ろから近づき
「お前たちに恨みはないが狩られてくれ
ちゃんと無駄にはしないからさ」
手に持っていたナイフで首筋あたりを
突き刺し、横に一閃するのだった
ウガァァ!?
そんな悲鳴のような鳴き声と共に、一匹のブロス
が絶命する
するともう一匹のブロスが、仲間の仇と言わんばかりに猛突進をしてくる!
「うぉ!?あぶねぇ!」
俺は紙一重でブロスの猛攻を躱し、何とか体勢を
立て直す
しかし、ブロスもこちらに気づいているため
首元に一閃を入れるのは難しい
そこで俺は、初めて自分から魔法を使うことにした
ちょうどそのタイミングでブロスがこちらに突進
を仕掛けてくる
今だ!
「反転!!」
俺は力一杯その力を使った
すると!
ウガァァ!!!
まるで何か見えない壁に吹き飛ばされたかのように
ブロスが反対方向に飛んでいき、近くの木に激突
して、まもなく動かなくなった
やった!成功だ!
俺が内心喜んでいると
「ガァーグ!ガァ、ガァ!」
頭の上にいたレイが突然てしてしと俺の頭を叩く
なんだ?と思っていると
「おとーしゃん!まえ!」
俺の背中、正確には俺の背負うバックの中から
顔と手だけを出していたエルが、俺の前方をその
小さな指で指し示す
そうして俺も顔を上げると
「Oh・・・」
ゲンナリするほどの数でブロスの大群が
憎々しげにこちらを睨んでいるのだった・・・




