危なくなったらみんなでトンズラだぁ!
37「危なくなったらみんなでトンズラだぁ!」
ギルドを出た俺たちはその後一泊して明日に備えることにした
そして朝ごはんも食べて、再び冒険者ギルドに向かっていた
「なんか昨日はドタバタしたし
今日は依頼受けるだけですぐ帰りたいな」
すると隣に歩いていたエル二とレインは
「うーん、昨日のことから考えてそんなことにはならないと思うわよ?」
「私もレン様は目立ちますので、昨日のように
いえ、昨日以上に注目の的でしょうか」
と、冷静に告げてくる
で、ですよねー
そもそもレイを頭の上に乗せている時点で注目は集まっているのだ
それにプラスして2人も美人を引き連れていれば目立たないわけがない
まあ、それはいいとしても
「昨日は忘れていた聞き込みしないとな
この街にいるとするなら、レインの正体がバレないとも限らないしな」
その冒険者が凄腕でレインの正体がバレてしまう可能性がないわけではない
その為そいつにバレないようにする必要があるからだ
エル二も頷き、レインの方を向く
「そうね、普通の冒険者ぐらいならあなたの存在を感づく事はないでしょうけど
力を持ったものであれば、感づくとまでは言わなくても、違和感は覚えるかもしれないわ」
「そう・・、ですね
レン様達に迷惑をかけるわけにはいかないのでバレないように致します」
エル二に言われたレインは少ししゅんとしてしまう
「まあ、もし見つかったとしても俺たちもちゃんと助けるし
いざとなったらみんなで逃げちゃえばいいしさ」
少しレインを安心させるためにそう言い、優しくレインの頭を撫でる
艶のある黒髪は枝毛一つなく、絹のような手触りで病みつきになる
しかしエル二が何やらジロジロこちらを見てくるのでここら辺でやめておこう
俺は撫でる手を止めて歩みを進めると、冒険者ギルドが見えてくる
するとギルド前がガヤガヤしている
「おっ、着いたな
って、ん?なんか野次馬が出来てる?」
「はい、何やら人族が多く群れていますね
いかが致しますか?」
何やらレインが物騒な事を言っている
俺はなぜか特別らしいが、基本他の人間は物と同じように考えているみたいだ
今後のことを考えてそこは抑えてもらわないと
「レイン、一応俺も人間だからさ言うけど
好きになれとは言わないけど、少しは抑えてな?」
流石に訳もなく他の人をレインが攻撃しているのは見たくないし、させたくない
そんな思いを察してか、レインは頷き
「はい、レン様がおっしゃるなら
ですがレン様やエル二達に危険が及ぶようでしたら
・・・よろしいですよね?」
うーんまあそこぐらいが妥協点だろう
そもそも命令する権利なんてないんだし
「ああ、そうしてもらえると助かる
俺もエルニ達が怪我するなんてのは嫌だしな」
俺がそう言うとレインはかしこまりましたと頷く
って、そうじゃなかった
俺は入り口の近くにいた男に声をかける
「なぁ、なんの騒ぎなんだ?」
すると男はいきなり後ろからに驚きながらも答えてくれた
「おわ!ビックリした
ん?ああ、なんか揉め事があったみたいだぞ
男と女の争いらしいけど・・・」
ん?痴情のもつれって奴か?
聞いた事はあったが、実際に見た事はなかった
少し興味を持った俺は人垣をかき分けて進んでいく
何とか前の方に行くと
するとそこには、見たことのない冒険者風のムキムキな男とその男をキッと睨みつけるレイラ、そしてその男を嫌そうな表情で見るミラがいたのだった




