ある受付嬢の興味
閑話「ある受付嬢の興味」
私は先程対応した男性のことを考えていた
その男性、レンさんは2人の美女を連れて、頭に幼いながらもドラゴンを乗せていた
何もしなくてもとても目立つ人達だった
初めギルド長に呼ばれた疲労から、対応せずに席を立ってしまった事は申し訳なく思う
でも!
「私が無視される事なんて一度もなかったのに
レンさん私の事をすぐ無視しちゃうんだから」
そう、レンさんは私の事を二回も無視したのだ!
自分で言うのも何だが、私は美人の部類だと思う
男性経験は無いにしても、よく声かけられることがある
客観的に見ても、このギルドの女性の中で私が一番、そういう誘いが多いと思う
そんな誘いがあっても私は付き合いたいと思った事は一度もない
全員が全員そうと言うわけではないが、大半の男性は欲望に満ちた目で私を見てくるのだ
体を舐めるように見つめ、その後顔を見て
私に声をかけてくるような男性が大半だ
そんな事が昔から多かったため、私は男性にそういう感情モテた事がなかった
そのため男性に声をかけられる事はあっても、無視されるなんて事今まで一度もなかったのだ
「レンさんは私の体を眺めたりしなかったな・・・」
顔を見てくる事はあっても、ジロジロと見てくる事はなかった
というより頭の上のドラゴンの方を気にしていた・・・
「女の人に興味がないのかしら?」
いや、確かに私を見つめていた時もあったし
そして何より2人も美女を連れていたのでその可能性は低いだろう
はっ!?
どうしてこんなに彼の事を考えているのかしら
自分でも不思議だが彼に興味を持ったのかもしれない
「レンさん優しかったな・・・」
私が少し涙ぐんだ時もすぐに慰めようと動いてくれた
連れの女性がドラゴンの扱いのことで失言した時もすぐに対応していた
そして失言を受けたドラゴンにも優しかった
あんなに懐いたドラゴンは初めて見た、レンさんの言葉通り家族のように彼のことを慕っていたし
彼の仲間はテイマーではないと言っていたが、きっと彼は素質のあるテイマーなのだろう
じゃら
私は手元にある白色に似た銀色の冒険者カードを眺める
「いきなりBランクかぁ」
まあ、ドラゴンを使役出来るほどの素質ならBランクもあり得る話だ
でも・・・
「こんな冒険者カード見たことないなぁ」
レンさんが登録した際、なんと木製のプレートが鉄のように硬くなって、本当の銀のようになったのだ
同じBランクの冒険者カードは木製なのでレンさんのものは普通ではないのだ
しかし、色から判断すると銀色なのでBランクということになったのだった
「ギルド長も見たことないって言っていたし
何かの不具合なのかなぁ?」
私は色んな意味で気になるレンさんを思い
明日も会えることに少しだけ胸が踊っている自分を自覚するのだった
先程リリナが持ってきた冒険者カードの事について儂、オルガは考えていた
「うーむ、鉄のプレートか・・・」
様々な冒険者のプレートを見てきたが、あのようなプレートは初めて見た
見た目が銀色に似ていた為Bランクにする判断を出してしまったが・・・
「本部に一度問い合わせた方がいいかのぉ」
あまりこういう事をする事はないが、本部にいる奴ならば何かわかる事があるだろう
「でも、あの女狐
儂苦手だしのぉ」
王都にいる奴のことを浮かべゲンナリした儂は部下の男に王都に赴く準備を呼びかけるのだった




