これは・・・Bランク?
36「これは・・・Bランク?」
またもやリリナが泣いている
なんかこのキャラが定着しそうである
リリナはしくしく泣きながら
「もうヤダ・・・
レンさん、絶対わざと私を無視してるんだ
こんな扱いされた事なんて・・・」
と言ってカウンターを立ち、仕切りを乗り越え、なぜか俺の方に寄ってくる
すると俺の肩を揺すってくる
「レンさん!どうして私を無視するんですか!
ギルドカードあげませんよ!
いいんですか!?それでも!」
なんかレインを挟んで揺すっているせいか、なぜか浮気亭主の浮気を問い詰める奥さんみたいになっている
するとその様子を見ていたギルドにいた人達がざわめきだす
「おい!あれ見ろよ・・・」
「リリナちゃんに彼氏!?」
「誰だあいつ!リリナちゃんがいるのに浮気なんて!」
何やらすごい誤解されている気がする
どうにかリリナには静まってもらわないと
俺は慌てて、リリナを宥める
「ご、ごめんな!
さっきのもわざとじゃないんだ
ほ、ほら何でも一つ言うことを聞くからさ!
な?泣き止んでくれ!」
もう何とかして泣き止んでもらわないと
俺の冒険者人生が文字通り始まる前から終わってしまう
そんな思いを込めてリリナを見つめると
「本当ですか?
・・・ぐす、そう言う事なら、もう一度レンさんを信じてあげます
もう私を無視しちゃダメですからね?」
と言い、少し上目づかいでこちらを見てくる
「っ!」
不覚にもその表情がとても可愛いと感じてしまった
しかし俺は動揺を悟られまいと話を進める
「と、とにかくさ
血を垂らしたらいいだよな?このプレートに」
俺はリリナが持っているプレートを指差してそう言うと
リリナは頷き
「はい一滴だけでも大丈夫ですよ
今度はドラゴンちゃんを抑えておいてくださいね?」
リリナは俺の頭の上に目を向ける
俺は頷きレイの頭を撫でる
レイはわかってると言った様子でガウと一鳴きする
俺は再び指先を少し切り、少量の血をプレートの上に垂らす
すると垂らした部分から白色に似た銀色にドンドン色を変えていき、最終的には色だけではなくホントの金属のように変化してしまった!
「おお!なんかすごいなこれ!
硬くなってるし、ホントの銀みたいだな」
触ると元木材だったとは思えないほど硬くなっている
異世界の技術はすごいなぁと感心していると
「ええ!?そんな事は!
あれぇ?ホントに銀みたいになってる?
こ、これはBランクの冒険者カードなの?」
俺の冒険者カードをヒョイと奪い
リリナは不思議そうに触ったり、振ったりしている
おいおい、一応俺のカードだから乱暴しないでくれよと思いながらも
「俺はBランクなのか?
これでちゃんと冒険者になれたんだよな?」
確認の意味も込めてリリナに尋ねると
「はい・・・、多分ですけど銀色に見えるのでBランクなのではと思います
こんな事は起きたことがないので、ギルド長に尋ねる事になると思いますが、ちゃんと冒険者としてレンさんは登録されましたよ」
リリナは少しこのプレートは預かりますねと言い、そのプレートをカウンター下にしまう
明日までには返せるとの事だ
俺はリリナに頭を下げて
「じゃあ、俺はもう行くよ
それじゃあまた明日」
と言い、ギルドをあとにする
後方から「はい、また明日」と、リリナの声が聞こえた
うーん、なんとか冒険者になれたし
これから頑張って冒険していきますかね
俺はそんな未来を想像して、少し胸を弾ませるのだった
「・・・、・・・?
なんか忘れてるような?」
色々あったせいか、昨日考えていた違和感の正体について聞くことを忘れているのだった
それに気づいたのはその日の夜、宿に帰ってからであった




