ギルド職員激おこ
35「ギルド職員激おこ」
泣いた女性の次は、プリプリ怒った女性が俺の目の前にいる
そしてその怒っている女性、ギルドの職員は一度赤毛の子と赤ん坊をみて、再び俺に視線を戻し話し出す
「ミラちゃんをあやしてくれた事や、レイラさんを慰めてくれた事には感謝しますけど・・・
私を無視して話を進めないでくれますかね?
私が声を掛けても、全然聞いてくれないから、寂しかったじゃないですか!」
などと言って、プリプリ怒った様子である
な、なんだこの人は・・・
いきなり席を立ってスタスタ行ってしまった事から、少し不安になっていたが、その不安は現実のものになったらしい
なんかもう言い分が子供のそれだ
無視してしまったという事は申し訳なく思うが、この怒られ方は中々に理不尽だ
怒った顔が可愛いことや赤毛の子とひまわりちゃんの名前をさりげなく知ることができたのはよかったが、この人どうしよう・・・
多少メンドくさかったが、レイラとミラちゃんに断りを入れてから女性の方に向かう
ま、まあとりあえず
「えっと、とりあえず落ち着いてくれ
今日俺は冒険者登録に来ただけなんだよ
今回はたまたまそのレイラさん?達と話す事になっただけで、別に君を無視しようとしてた訳じゃないんだよ」
と、女性ギルド職員に伝える
すると女性は疑わしげな目でホントですか?とでも言いたげな目で見てくる
「と、とりあえず冒険者登録してくれないか?
図らずとも無視してしまった事は謝るからさ」
形だけでも彼女に謝罪しておく
これ以上ギルドで目立ちたくはない
今でさえ、美女を連れているのですごい目立っているし、レイラや職員の人も中々の美人なのでその事も注目される事を助長している
女性職員はもう無視しちゃダメですよ?と言い、コホンと咳払いをしてから姿勢を正して話し出す
「はい、それでは冒険者登録致します
私はサルマ冒険者ギルドの受付嬢のリリナと申します
それでは、冒険者としての説明はお聞きになりますか?」
「ああ、お願いする
あと、俺の名前はレンだよろしく頼む」
まあ、何となく想像のできる話だろうが
ここで基礎知識などを得れたら助かる
リリナはこちらこそと言ってから、分かりましたと頷き説明を始める
「では始めますね
まず基本的な仕組みとして、冒険者はギルドにて依頼を受注し、それを達成する事で報酬を得る職種です
その中でも受注することのできる依頼のランクが分かれております」
リリナの話によると、ランクはGランクからSSSランクまでのランクが存在するらしい
新人はまずはGランクからのスタートだ、俺も例に漏れずGランクからのスタートだろう
すると、リリナはカウンターから木製のプレートを取り出す
「はい、こちらが冒険者プレートになります
恐れ入りますが、少し血をこのプレートに垂らして貰えますか?」
プレートに血?
なんでそんな必要が?
俺は疑問に思い尋ねる
「血を垂らしたらどうなるんだ?」
「このプレートに血を垂らしますと、その人個人のプレートに変化するんです
ですからそのプレートによってその人のポテンシャルが図られるのでギルドのランク分けが簡単になるんですよ」
ほー、便利なもんだな
ということは必ずしもスタートがGという訳でないのか・・・
なんか模擬戦とかするのかと思ってた
まあ、そんなこと出来ないんだが・・・
俺が自分の指先を軽く噛み、血を少し流す
「はい、これでだいじょ・・・」
俺が木製のプレートに血を垂らそうとすると
「ガァ!?ガウガァ!」
突然頭の上に乗っていたレイが俺の指先の傷口をパクっと咥え込む
はむはむはむ
レイは俺の傷口を口の中でペロペロ舐めている
ああ、なんか少し暖かくて気持ちいい
って違う違う
たぶん俺の血を止めるためにやってくれてるんだろうが、今は血を垂らさないといけないんだ
「ちょっとレイ?俺は大丈夫だからさ
今は血を垂らさないとダメんなんだよ
だから俺の頭の上でゆっくりしといてくれ」
俺はレイの頭を軽く撫でて、頭の上にレイを戻す
レイはガゥと頷いて、俺の頭の上に帰っていく
するとその様子を見ていたリリナが
「す、すごい!?
小さくてもドラゴンなのに・・・
レンさんもしかしてもの凄腕のテイマーですか?」
といった様子で驚愕している
すると後ろにいたレインがなぜか自慢気にリリナに語り出す
「もちろんですとも、レン様はテイマーではございませんが
ドラゴンを従えるなど造作もない事です
幼竜(この子)だってすぐ配下になったのですから」
レインは悪気がなく言っているがここは訂正しておかないと
レイも頭の上でキュウという少し寂しそうな声を上げる
「レイン、そうじゃないぞ
この子は配下である前に家族だろう
だから、従えるんじゃなく助け合うってもんだろ?」
俺は頭の上のレイの頭に手を乗せて、なっ?と聞くと、ガァ〜!と嬉しそうに声を上げる
やっぱり召喚獣である前にこの子は家族の一員だ
だからあんまり配下だとかは思いたくない
俺のその反応を見てレインは慌てて謝ってくる
「す、すみません!レン様
私、レイ様のお気持ちを考えずに!
レイにも傷つけるようなことを・・・」
俺の反応にレインはしょぼんとした様子である
それを見たレイは俺の頭の上から降りてきて、レインの方にパタパタと飛んでいく
「ガゥ、ガァ〜グ」
レイはレインを慰めるように頬をペロペロと舐めている
するとレインはありがとうございますと呟き
「ごめんなさいレイ、ダメな母を許してください
これからは親子共々、協力して旦那様をお守りしていきましょうね」
完全に母親の顔で、飛びついてきたレイを抱き上げ
2人で約束している
おお、微笑ましい光景だ
俺はその微笑ましい様子を見守っていると
隣の方から
「ぐす・・・
また、無視された・・・
私、人気受付嬢のはずなのに」
とすすり泣くリリナの泣き顔がそこにあったのだった




