赤い閃光とひまわりちゃん
33「赤い閃光とひまわりちゃん」
俺の前には、俺を見て驚愕する女性職員がいる
いや、俺の方というよりも、俺の腕の中にいる赤ん坊を見て驚いているみたいだ
「な、なんでその子がこんなところに!?」
女性職員はすごい取り乱しようだ
あれ?この子この人が連れてきてるんじゃないのか?
なんか口ぶり的にここにいるのがおかしいみたいだ
俺は不思議に思いながらも、女性職員に声をかける
「えっと、この子あなたのお子さんですか?
待ってる間に、椅子の下からここに来たみたいなんですけど」
しかし女性はぶんぶんと激しく首を振り否定を表す
「ち、違いますよ
そのお子さんはあの有名な"赤い閃光"の・・・」
バン!!!
「ミラ!?どこだ!どこにいったんだ!」
女性職員が話し終わるよりも先に、職員用だと思われる通用口が乱暴に開けられ、赤毛の戦士風の女性が現れる
キョロキョロして、誰かを探しているみたいだ
するとギルドにいた冒険者達がざわめき出す
「なっ!?あいつは"赤い閃光"!」
「奴も今回の件で召集をかけられていたのか?」
「あれ?でもトレードマークの"ヒマワリ"ちゃんがいない?」
男女問わず誰もが、赤毛の戦士のことを知っているみたいだ
しかしなぜだろう、なんとなくであるが嫌な予感がする
特に最後の女性が言っていた、"ヒマワリ"ちゃんってのに覚えがある
そう、俺の腕の中にいる赤ん坊の頭に乗っているからだ
「大きなヒマワリ」が・・・
キョロキョロしていた赤毛の女性は、俺の方、いや正確には俺の腕の中を見てあっ!と声を上げる
そして
「な、なんでそんなとこにいるんだ!ミラ!」
と言いながら、俺のところに走って駆け寄ってくるのだった
「おい!お前!どうしてミラを抱いている!」
赤毛の子は完全に俺を疑っているのか、鋭い眼光で睨んでくる
しかし、どうしてと言われても
俺から抱いているわけではないんだが
俺は誤解を解くためにも、腕の中にいるミラと呼ばれている赤ん坊を赤毛の子に差し出すようにして答える
「いや、俺にもわかんないんだが
カウンターで受付を待っていた時に突然この子が現れてさ
誘拐なんて考えてないから、君に返すよ
君の子供なんでしょ?」
そのまま赤ん坊を赤毛の女性に返そうとすると
バタバタバタ!!
赤ん坊は俺の手から離れるのを嫌がるように、女性の元に帰るのを抵抗している
な、なんでだ!?
お前の親じゃないのか?
俺は想像していない赤ん坊の抵抗に困惑する
そして赤毛の女性も驚いたようで
「な!?おいどうしたんだミラ?
姉ちゃんだぞ?こっちにおいで?」
するとミラちゃんは一度赤毛の子を見たあと、俺の方に顔を戻して
「や!」
と言って、抱きつきやすいのか
右腕に移動し、コアラのように抱きついてくる
赤毛の子はガーンといった顔でわかりやすくショックを受けた様子だ
そして女性は顔を少しうつむかせて、ふるふると震える
あっこれは・・・
俺が嫌な予感がした
しかし俺の予想とは裏腹に、顔をばっと上げた赤毛の子の目には涙が浮かんでいて!
「うわーん!ミラ、あたしのこと嫌いになったんだ!
どうしてだよぉ!」
そう言って、マジ泣きしている
ええー
戦士風だから、俺に逆ギレするかと思って、身構えたのに・・・
泣かれると対処法がわかんないぞ・・・
俺は目の前でギャン泣きしている戦士風の赤毛の女性に呆然としながら、どうしたものかと考えるのだった




