謎の赤子H
32「謎の赤子H」
さて、俺は冒険者ギルドに来たわけであるが
これはどういう事だろう
俺たちは情報を得るため冒険者ギルドに来たわけだが・・・
「なんで・・・
赤ん坊がカウンターにいるんだ?」
そう、俺の目の前には紛う事なき赤ん坊が鎮座していた
頭についている大きなヒマワリの髪飾りからして、女の子か?
そして、クリッとした目が可愛い
でもなんで赤ん坊が?
話は数分巻き戻る
・・・・
・・・
・・
・
ギルドの案内所に来た俺は、案内をしてもらう為
キョロキョロと空いてる場所を探していた
しかしカウンターが混んでたため、偶然空いている隅に座っていた女性職員の所に行った
しかしそこにいた女性は
「少々お待ちくださいませ」
と言って、早々に席を立ってしまった
あまりにもあっさり行ってしまったため声をかけることも出来なかった
そのため仕方なくその席で座っていると
「だあ?」
と聞こえたかと思うと、机の下から赤ん坊が現れた!
そして、おもむろに立ち上がり、机の端を支えによじ登り、俺の目の前に鎮座しているというわけだ
そして現在に至るという訳だ
「えっと・・・
こ、こんにちは?」
俺はどうしたものか迷ったが、さっきの職員の子供かな?と思い
とりあえずコミュニケーションをとる事にした
すると赤ん坊は
「だあ?たぶばぷぱ?」
と、赤ちゃん言葉をしゃべり、俺の方に手を伸ばしてくる
まあ、赤ん坊ならよくするような事だろう
人見知りしないとは感心だと思いつつ、俺は優しくその子の手に触れる
うん、赤ん坊らしいぷにぷにした手だ
赤ん坊は俺に触られた右手を眺めつつ、だあ〜と気持ち良さそうな声を出している
あー、なんか和むなぁ
俺は当初の目的を忘れて赤ん坊と戯れる
すると後ろにいたエル二が俺の肩を叩く
「レン何してるのよ、その子のことは置いといて
早く情報を集めないと」
俺はその言葉で我に帰る
そ、そうだった
別にここで待たなくても他のところで聞きに行けばいいだけじゃないか!
そう思い席を立ち上がろうとすると
「だっ!ぶ〜だ!」
赤ん坊が、俺の服の袖をぎゅっと引っ張る
さながらどこに行くんだと言っているかのようだ
「え、えーと
俺用事あるからさ、手を離してくれないかな?」
なるべく優しい声を意識して、赤ん坊に声をかける
しかし赤ん坊はいや!という様子でこちらの袖だけではなく腕にしがみついてくる
「うー!やっ!やっ!」
そしてあろうかとか俺の腕の中に収まってしまった
ええ・・・
なんだこの執念は、そしてエルもなぜかその赤ん坊の隣で大人しくしている
そしてその赤ん坊は俺の腕の中にいた、先客に気がつく
「だっ!?ぶーだぶだ?」
「お〜、う〜?
うっ!えうのおとーしゃんだお」
なんと2人で話し出してしまった!
ええ!?エル見えないんじゃなかったの?
またしてもエルの姿が人に見えているみたいだ
前回は門番だったが、今度は赤ん坊かよ!
だが赤ん坊であれば問題ないかな?
なんて考えていたとき職員が戻ってきた
「はい、大変お待たせいたしたました
それでは、今日はどういったご・・よう・・件で・・・!? えっ!?」
現れた職員の悲鳴にも似た声がギルド内に響いたのだった




