冒険者登録
31「冒険者登録」
先程女騎士ことセシアが立ち去った後
俺たちは改めてご飯を食べ直した
あっ、補足するとセシアの言う通り、落ちた料理の分の会計は騎士団持ちみたいだ
俺は俺の膝に座ってもぐもぐ料理を食べているエルを眺める
「エル、美味しいか?」
「うん!おいし〜」
ニヘラとした笑顔で美味しそうに肉料理を頬張っている
そのエルの頭の上にはレイがエルとは別のお肉を食べている
こちらはどちらかというと骨つき肉だ
「レイも美味しいか?」
「ガァ〜!ガウガウ」
う、うん、きっと美味しいってことかな?
やっぱり言葉がわからないのは寂しいが、レイも擬似的ではあるが娘である事には変わりがない
そんな娘達にはしっかり食べて育ってもらいたい
思考が完全にお父さんだな・・・
せめて結婚してからそういう思考になりたかった・・・
ま、まあこれから誰かと結婚するかもしれないから、気にしない事にしよう・・そうしよう
するとおもむろにエルが俺の方を向き、フォークに刺した肉を俺に差し出す
「おとーしゃん、あーん」
あれ?
もしかしてエル、エル二達の真似してるのか?
大変可愛らしいが、エルの食べる分が少なくなってしまう
そう思った俺は、大丈夫エルがお食べというと
みるみるうちにエルの瞳に涙が滲む
「うー・・・
おとーしゃん、たべない?」
とても悲しげな瞳で俺をみてくる
俺は慌てて
「い、いや!
やっぱり貰おうかな!だから、泣かないで?」
ああ!エルもお姉さんの真似がしたかったのか!
やっぱり女の子はおままごとが好きだしな
すると俺の慰めが功を制したのか、エルが鼻を一度啜ってから
「ほんと?たべう?
えう、あーんすう」
エルは泣きやみ、俺にあーんしてくれる
うん、これからは娘のいう事には従う事にしよう
俺はエルが食べさせてくれた事によって、より美味しく感じる料理を食べながらそう思うのだった
「それじゃあ冒険者ギルドに行くか
そこで俺、冒険者登録するわ」
長かった食事も終わり、俺たちは再び部屋に戻った
そこでこの後の予定をみんなで確認していた
するとレインが首を傾げて俺に問いかける
「主人様が冒険者登録ですか?
そんな事しなくても、私たちが養って・・・」
「ああ、エル二にもいったけど
俺も何かしたいと思うんだよ、今のままじゃすぐ死んじゃうしさ
いざという時エルやレイを守れるようになりたい」
これは考えていた事だが、この異世界転移も何かしらの意味があるのかもしれない
その答えを知るためにも冒険者になるのはありだと考えたのだ
そして勿論、彼女達を守りたい
男としても・・・、「お父さん」としてもね
レインは感服しましたと呟き
「そうでしたか、差し出がましい真似をして申し訳ありませんでした
私もそのお手伝い致しますね」
と言い、俺の手をぎゅっと握ってくれる
うん、それは心強い
「ああ、よろしくな
頼りにしてるぞレイン」
と、お礼の意味も込めてレインの頭を撫でる
サラサラしてて触り心地がいい
俺は思わぬ感触に、時間を忘れて撫でていると
「あっ、あの!
そ、そろそろ行きませんと、で、ですので手を・・・」
と、レインが真っ赤になった顔で言ってくる
そこで不躾に触り過ぎたと気づき、慌てて手を離す
「ご、ごめん!
いきなり撫でて悪かった
触り心地があまりにも良かったものでつい・・」
「い、いえ、嫌というわけでは・・・
あの、出来ればもう少し時間のあるときに・・・」
と、 2人して気まづく沈黙する
「と、とにかくごめん
それじゃあ行こうか!冒険者ギルドへ!」
「は、はい!」
俺は気まづさを払拭するため、わざと大きな声でそう言うのであった




