エル可愛い(語彙力)
28「エル可愛い(語彙力)
ステータスを確認し終わって、俺たちは食堂に向かった、そして例のごとくエル二とレインは野郎どもの視線を集めている
「おい!スゲー美人だぞ!」
「うわ!ホントだすごい美人・・・」
「でもあれ・・・・・」
朝の食堂に2人が入った事で、俺たちは多数の視線を集めている
うう・・
なんか俺に恨めしげな目線を送ってるやつが沢山いる
俺より2人の方が居心地が悪いのはわかってはいるが、慣れていない俺は正直うんざりした気分だ
しかし、なんだか嫉妬とは別の視線も何やら感じる
「ねえ、あれが噂の・・・」
「じゃああの人達が!」
何やら嫉妬の視線に混じって、興味の入り混じったような視線も感じる
なんだ?何でこんなに注目されてるんだ?
エルニやレインならともかく、何で俺にも注目が?
って、ん?
なんか俺を見てるかと思ったが、俺の頭の辺りを見ている?
「ガゥ?」
何?と言った表情でレイが俺の顔を見下ろしてくる
そ、そうかみんなにとっては幼竜であってもドラゴンなのか
それが頭に乗ってたらイヤでも目に付くだろう
そっか!それで俺にも注目が集まってたのか
と、勝手に納得していると・・・
「おとーしゃん?ごはんたべない?」
そんな俺を心配したのか、俺の腕に抱かれているエルが俺の顔色を伺っている
いかんいかん
こんな様子じゃ、エルに心配をかけてしまう
仮にもお父さんなんだからしっかりしないと!
「ん?いや、大丈夫だ
ちょっと考え事してただけだよ
それより、何か食べたい物はあるか?」
俺は気を取り直して、テーブルの上にある料理の数々をエルに指差す
すると
「えうね〜、おにくたべたいの〜」
と言って、俺から見て一番遠い肉料理を物欲しそうに
見ている
あー、まあまだまだ子供だしな
俺のいう事を理解してるから忘れそうになるが、まだまだ舌足らずで、甘えたい盛りだ
まあ、見た目も幼女だし当たり前なんだけどね
俺はそんなエルを微笑ましく思い、逆テーブル、ちょうどエル二の目の前にある料理を取るため箸を伸ばす
「エル二、ちょっとその料理の皿寄せてくれないか?」
「ん?この肉料理のことかしら?」
エル二は自身の目の前の料理を俺の方に寄せようとする
すると
「主人様?
お肉ばかりを食べてはダメですよ?
ご病気に亡くなったりしたら・・・私
ですから!私が食べさせてあげますので
はい、あーん」
レインがエル二を止めて、俺に野菜を食べさせようとしてくる
いやいやいや
俺じゃなくてエルが食べたいだけなんだが
しかし俺がそう言うよりも先にレインが俺に野菜を食べさせてくる
むしゃむしゃむしゃ
「どうですか? 食べれますか?
主人様さえ良ければ、毎日食べさせて・・・」
レインが俺に提案しようと、顔を寄せようとしていると
「よお!ねえちゃん いいことしてんな!
そんなやつ放っておいて、俺たちの相手をしてくれよ」
ガハハと汚らしい笑い方の男達が、俺たちのテーブルを囲んで来た
あー
ついに来ちゃったかー
エル二とレインの正体を知っていれば、こんな馬鹿な真似しないんだろうが、なんも知らなければ絶世の美女だし
どうしよっかなぁ
とりあえず守らないと、なんて考えていると
「そこまでだ!
おい!その子達が怖がっているだろう!
そこの召使いも、従者ならボーとしてないで止めなさい!」
なんか違う意味でめんどくさそうなのが来ちゃったなぁ
俺は目の前で怒鳴っている女の子を見てため息をつくのだった




