天使のキッス
26「天使のキッス」
「・・・、おはようございますレン様
朝になりましたよ・・・
そろそろ起きてください、レイがお腹を空かせて待ってますよ」
俺を起こそうとする声が聞こえる
昨日は色々あって疲れたからすぐ寝たが、もう朝なのか・・・
「おー、今起きるぅ」
寝ぼけ眼で返事すると
「おとーしゃん、おきて〜、おきて〜」
ぺちぺちぺち
なにやらエルが俺の頬をぺちぺちしている
小ちゃな手が可愛らしい
「おとーしゃん、ごはんたべお〜」
俺が起きているのに気づいていないエルは
無邪気に俺を起こそうとしている
「エル?お父さんを起こすなら・・・」
エル二がエルに呟いたかと思うと
ちゅっ
俺の頬に柔らかい感触が・・・
「っ!?」
俺が慌てて飛び起きると!
「う?おとーしゃんおきた?」
俺が目を開けると、ドアップでエルの顔があった
あ、あれ?
エル二の唇が俺の頬に当たったと思ったのに
なんで目の前にエルが?
俺が不思議そうな顔をしていると
「ふふ、おはようレン
お目覚めのキスはエルに任せたのだけど
どうしたの?エルより私の方が良かったかしら?」
エル二は余裕の表情で俺をからかってくる
くそぉ
童貞を弄んで!
このままやられたままなのはなんか悔しい!
ここは敢えて!
「うーん、エルのキスもありがたいけど
やっぱり大人の、エル二のキスが欲しいな?」
俺は敢えてエル二の提案にのり
エル二の頬に手を添えて
キスを迫るフリをする
するとエル二は期待通り動揺してくれる
「え、ええ!?
そ、そのあの、じょ、冗談で言っただけで!
あの、その・・・ホントにするの?」
エル二はすごく動揺したのち
少し涙目の上目遣いで俺を見つめてくる
うっ・・・
その顔は反則だ
ホントはするフリなのに本気にしてしまいそうだ
俺は少し反省してエル二に謝る
「ご、ごめん
なんかエル二にからかわれたのに逆襲したくて・・・
キスはしなくていいからさ?」
俺は慌ててエル二に弁解すると
「え?そ、そうなの・・
よかった・・・わ」
エル二は驚いた顔をし、そして少し残念そうな顔をする
なんだよその反応!
いろんな意味で心臓に悪い
俺はエル二のそんな反応にドギマギしながら
朝からエル二に振り回されるのだった




