名前をつける
25「名前をつける」
「さて、話はまとまったことだし
サルマの街に帰りましょうか」
「そうだな、だいぶ話し込んじまったからな
行くとするか」
「はい、レン様! っと、そうでした・・・
歩きながらでいいのですが、その子の名前を与えていただいてよろしいですか?」
エル二に改めて言われて街に帰ろうとした矢先
中々ヘビーな事をサラッと言われた
えっと、名前? 俺が?
普通親であるレインが決めるんじゃ・・・
すいません、僕も親でした
頑張って考えます
「そうだな・・・
レイってのはどうだろう?
ほら、母親であるレインから名前を貰って」
少し安直な気もするが、エルやエル二のように
名前に同じものが入っていた方が
親と子らしくて良くないだろうか?
すると幼竜が嬉しそうにガウ!と声をあげる
なんとか気に入って貰えたようだ
レインもそれを見て笑顔になる
「この子、レイも喜んでるみたいです
レイ?レン様の命令にはしっかり従うのです
母との約束ですよ?」
「ガァ〜」
レイはわかったというように答えるのだった
「ふう、なんとか宿屋日の丸まで戻れたな
夜だったおかげか、冒険者があまりいなくて助かったな・・・」
俺たちは森を抜けてサルマの街に戻って来ていた
俺はエルとレイを片方ずつ肩に乗せて歩いて来たんだが
不思議な事に2人ともあまり重さを感じることはなく、特に苦労する事なく運ぶことが出来た
もしかしたら、エルニかレインが気を使ってくれたのかな?魔法で軽くなっていたのかも知れない
まあ、そんな感じで街に変えて来たんだが・・・
「それにしても何やらジロジロ見られましたね
あまり人族の視線など気にしませんが
あれ程であれば、多少の不快感がありますね」
「ええ、私も感じたわ
レンに害をなすようなものも多少含まれていたし、
もしかしたら、危険があるかも知れないし
私達も警戒しときましょう」
レインとエルニが少々的外れなことを言っている
2人が注目を集めるのは当然だ
何故なら彼女達が人外の美貌の持ち主だからだ
目立たない方がおかしい
ていうか、俺に対しての視線は
なんでお前みたいなのが的な視線だがら
別に俺の命をどうこうとかではない気がする
まあ、嫉妬があまりにもすごかったらそういうこともあるかも知れないが・・・
「ま、まあそれはいいとして
モンスターの大量発生が止まったみたいだな?
なんか街の人たちもそう言って喜んでたし」
街に帰ってくると、人々が口々に良かったなど
これでしばらくは安泰など言っていた
モンスターが止んだから喜んでたのだろうが
今考えると、安泰ってどういうことだろう?
俺が若干の疑問が思い浮かべていると
「そうね、原因は・・・
やっぱり、レインとレイでしょうね・・」
「あ、やっぱりそう思う? 俺もそんな気はしたんだよ
レインが冒険者に囲まれてた時、不思議と他のモンスターがいなかったし」
エルニの言う通り、レイを探したレインが現れた事によってそれから逃げて来たモンスター達が大量発生したのだろう
するとレインは
「も、申し訳ありません・・・
主人様を失って自暴自棄になっていた時に、レイまで居なくなって・・・
そんな私の荒々しいオーラが漏れだして・・・
それを怖がったモンスター達が逃げてきたのかも知れません」
と言って、申し訳なさそうにしている
そこで俺は空気を変えるためにも、先程疑問に思ったことを口にしてみる
「そういえばさ、さっき街の人たちがこの街は安泰だとか言ってたんだけどさ・・・
どう言う意味なのかな?」
「それは、私、ドラゴンがいなくなって
モンスターの発生が止んだから良かったという意味ではないでしょうか?」
俺の問いに対し、レインがすかさず答えてくれる
しかしそれに対してエルニは反論する
「うーん、ホントにそうかしら?
もしそうであれば、安泰ではなく安心だと言わないかしら?
だって、安泰はこれからも安心だという意味でしょう?
今回レインを討伐した訳じゃないし、普通次もあるのでは?と考えるのが妥当じゃないかしら
それならば、尚更安泰ではなく、少しは安心したとかを言うんじゃないかしら?」
そうだ、俺もそこが気になっていた
あそこにいた冒険者ならわかるが、冒険者達は束になってもレインには勝てないと言っていた
今回は奇跡的にレインが去って、それと共にモンスターの大量発生が止まったが、またそれがこないとは限らない
そうであれば、今回はひとまず安心だとかそういう言い方になるのじゃないのだろうか?
あれそこで安泰を使うのはおかしい筈だ
次もドラゴンを追い返せるほどの実力者が現れたとでも言うのだろうか?
俺たちはそんな僅かな疑問を残したが、夜も更けてきたと言うことで眠りにつくのであった
あっ、補足すると今日もエル、俺エルニで寝る事になりました
勿論エルニと手を繋いで・・・今日もいい日だ




