深い森
2「深い森」
「とりあえずここは俺の知ってる場所じゃないけど、異世界に来ちゃったかはわからないよな?」
俺は多少呆然としていたが、それも一瞬だ、今はこの現実を受け入れるしかない
見慣れない場所ではあるが、まだ帰れないと決まった訳じゃない
諦めたら試合終了だと、某先生も言っていたし
「今日昼飯食わずに寝たから、腹減ったな・・・
肉とは言わないが、木の実とか何が食べれるものが欲しいな」
ここがどこなのか知ることも大切だが、今はとりあえず腹が減った
俺はその場から立ち上がり、近くに見えていたなかなかにでかくて暗い森の中に歩みを進めた
「ん?この木ってもしかして?」
俺の目の前には実のなる木ではないが、キノコの生えた赤色っぽい木が生えていた
「これはもしかしなくても・・・松茸だよな」
俺も人生で2、3度しか見たことないが、この見た目は間違いなくそれだろう
流石にこの見た目で似たような毒キノコであれば笑えないが、腹が減ってるので背に腹はかえられない
「焼いたら、菌が死んでくれるよな?焼いたら大概食えるってママンが言ってたし、きっと大丈夫」
俺は少しドキドキしながらも、松茸(?)を数本採取した
そして、それを食べるべく、小さい木々を集め手作業で火を起こした
「うーん、意外にやれるもんだなぁ
校外学習とかでまじめにやっててよかったなぁ」
意外にも作業が捗り、ほんの数分で火を起こすことが出来た
まあ、風を遮るものがないから消えてしまわないうちに早めにキノコ焼かないとな
俺はたまたまポケットに入っていた針金を薄く伸ばし、キノコを数本串刺しにしてキノコを炙る
「うーん、芳醇な匂い ちょうどよさげな焦げ目
これは最高に美味しそうだな・・」
醤油がないのは惜しいところだが、まだたべれるだけマシだろう
こんな美味しそうな匂いのキノコが毒キノコなら、食べ物全般食えないだろう
そう思って、串刺しのキノコを食べようとしたそのとき
「ん〜、いいにおい〜なになに〜」
突然後ろの草むらから女の子の声が聞こえた
「うっ!うわ!?」
俺は驚いて、勢いよく振り返ると・・・
「よ、幼女?・・・」
振り抜けばそこには宙に浮いている、幼稚園児サイズの美幼女が浮いていた