可愛い襲撃者
19「可愛い襲撃者」
ドシン!!!!!
そんな轟音と共に砂埃が舞い上がる
その上空から来た何かは、とんでもないスピードで俺の上に落ちて来た
しかしその姿は未だ立ち込める砂煙によって隠されている
そんな状況で現在、俺は背中から後ろに倒れ
なんとか咄嗟に肩にいたエルを胸に抱きしめて
後ろに飛び退いた
痛ってぇ
なんとかエルニに言われた通りに後ろに流れたが・・・
一体何が来たっていうんだ!?
「い、一体何が・・・」
エルニは呆然とした様子で呟く
すると
「ガァ?ガァウガ?」
突然もやの中から何かの鳴き声が聞こえる
なんだ!?何が来るんだ!
俺のそんな不安を抱いているうちに、そのもやが晴れて行き、その姿を現わす!
「っ!!!、・・・?、っえ?」
俺は突然現れたそれに呆然としてしまった
最初はその姿に
それは紅蓮に燃えるような真紅の翼を持ち
そして、その体は翼と同じ真紅に輝く
鋭く尖った牙、彫刻のように美しいツノ
それらを兼ね備えた紛うことなきドラゴン
ただただ、その神々しい姿に俺は呆然としていた
しかし次に俺が感じたのは、とんでもない衝撃だった
普通の異世界転移者は、ドラゴンに遭遇し、そのドラゴンを倒して冒険者達に賞賛されるみたいのが定番ではなかろうか?
しかし、俺はその姿を見た瞬間
俺にはそんな偉業を達成する事は出来ないと感じた
ドラゴンが怖い?
自分のようなスキルが使えないものではどうしようもない?
そんな事ではない
なぜなら・・・
なぜならそのドラゴンが!!
「っ!、なにこれ!?スゲー可愛い!!!」
目のクリクリな小物可愛い幼竜だったからであった・・・
「えっと、レンは初めてそのドラゴンにあったのよね?」
エルニは額を押さえて
頭痛を堪えるような仕草をする
そしてエルはというと・・・
「このこかわい〜!
えう、おとだちになう!」
「えっと、うん・・・
その・・筈なんだけど・・・
これは一体?」
うん、エルは相変わらず可愛い反応だ
だが今はそんなことを気にしている場合ではない
何故だか突然上から降ってきたドラゴンは
もやが晴れて目があったと思ったら
すごい勢いで俺の腹に突撃してきたのだ
地味に痛かった・・
まあ、そのあと俺の胸に頬づりしてたのが可愛いかったから許すが
しっかしコイツは何故俺にこんなに懐いているんだろうか?
そもそも、ドラゴンを見るのが初めてだから
前に知り合ったなんて線はないし
なら一体コイツは何者なんだ?
俺はそんな疑問を抱えながら、エル同様に俺の胸に頬づりしているドラゴンの頭を眺める
とても可愛らしくはあるが・・・
せめて何かコイツの情報を知れたら・・・
そこで俺は思い出した
鑑定スキルあるじゃん!
それならコイツを調べられる!
それでは早速
「鑑定!」
さてさてどんな奴なのかな?
名前 (まだありません)♀
年齢 2歳
種族 エンシェント・ドラゴン
職業 甘えん坊
能力値
・体力C
・筋力C
・防御A
・魔力S
スキル
・???
・???
・???
・飛翔
・体当たり
称号
・親を探して三千里
・寂しがりやの甘えん坊
・親子の絆(New!)
・当たり屋(New!)
「っえ?」
俺はその幼竜のステータスに驚愕するのだった




