お姉さん?それともお母さん?
18「お姉さん?それともお母さん?
とりあえず、今後の方針は決まった
まず街の外に出て、モンスターを倒していく
そのまま大量発生の出所を突き止め、可能であれば問題解決に向かうというものだ
まあ、戦略面ではエルニやエルがとんでもないので
俺の出番はほとんどないだろう
始めから俺はエル達のサポートに徹するつもりだ
俺は自己完結して、2人に声をかける
「それじゃあ、街の外に出て行きますか」
「ええ、そこまで強いモンスターがいないはずだし
楽々いけるでしょうけど・・・
お父さんの事をよろしくねエル?」
「うん!えう、おとーしゃんまもう〜!」
あ、ありがたいが、3歳児に守ってもらう俺って・・・
多少自傷気味になったが、自分自信の身を守ることがエルの命に繋がるので、ここは出しゃばらず頑張ろう
「なんか一つでも攻撃スキルがあればなぁ・・・
まあ、まだ分かってないスキルに賭けてみるかぁ」
まだこっちに来て間もないけど
形だけでもエルの父親になったのだから
守られる立場じゃなくて、エル達を守れるようになりたい
「っと、ソロソロなんかモンスター来るかな?」
俺たちは街を出て、少し人気のない場所に来た
ここなら人目を心配する事なく、エル達の力を使える
するとタイミングよく緑色をした小鬼のようなモンスターが草むらの陰から現れる
ほー、これがこの世界のゴブリンか
まんま、某RPGから持ってきたような見た目だな
「ゴブリンが現れたわね
エル、初級木属性魔法で倒しちゃって」
「わかったお!
りーふかた〜」
エルが俺の肩からちょこんと顔を出し
右手をゴブリンに向かって伸ばし、魔法を放つ
なんとも気の抜けた掛け声と共に
草の風車のような物がゴブリンに飛んで行く
スパン!!
その草のような風車によって
ゴブリンを真っ二つになる
うえー、なんか緑色の液体出てるし気持ち悪いな・・・
まあ、俺はそういう系のゲームしてるから大丈夫だけど、エル達は大丈夫かな?
俺は少し心配になってエルの顔を伺うと
「うゆ?どたの?おとーしゃん?」
キョトンとした顔で小首を傾げている
小さくてもやっぱり精霊なのね・・・
まあ、それでも小さい子供にあんまこんな事やらせたくはないな
早く俺も戦えるようになろう
「いや、何でもない
偉いぞエル、流石はお父さんの子だ!
なんてな!ははは」
俺が冗談交じりにそう言うと
「うん!えうもっとおとーしゃんたすけう!
おとーしゃんのこだもん!」
と言って、輝くような笑顔を見せてくれるのだった
「あら?エルが頑張るなら
私も頑張って、「お父さん」に褒めて貰おうかしら?
ねっ?お父さん?」
と言ってエルニはニヤニヤしている
エルニが悪ノリしてきた
俺は少し苦笑しながら話しかける
「おいおい、エルニまで・・・
エルはともかく、流石に近い歳の女の子に「お父さん」は恥ずかしいぞ」
「ん?私は実際の年齢は35歳よ?
まあ、精霊はとても長い年月を生きるから、まだまだ子供扱いされるけれど」
な、なんだと?
エル二が俺の15歳も上?
そんな風には全然・・・
「えっ? そうなのか!?
って事は、俺からしたら娘というより、「お姉さん」?」
まじか!
見た目が若いから、俺よりちょっと上か同い年ぐらいだと思ってた
するとエル二はニヤっと微笑み
「うーん、人間の感覚でいう歳の離れ方だと
お姉さんと言うより、「お母さん」かしら?
お母さんって呼んでもいいのよ?「お父さん」?」
と、そんなことを言ってくる
もうなんか、お父さんとかお母さんとかわけわからん
ていうか・・・
「エルニをお母さんって呼んで、エルニが俺をお父さんって呼んだら、ふつうに「夫婦」みたいじゃね?
エルが俺の子供なら尚更さ・・」
するとエルニは急激に赤面して
「バ、バカじゃないの!?
ふ、夫婦なんてまだ・・・
そ、そこまで言うならお姉さんって呼んでも
よくってよ」
なんか色々テンパリ過ぎて口調までおかしくなっている
そもそもお姉さんって呼びたくないんだが・・・
俺はいやと首を振って
「いやいや、ふつうにエルニって呼ぶよ
ていうか、それよりもさ・・・
なんかゴブリン倒してから敵が全く出てきないけど
なんで何も出てこないんだ?」
エルニはアホ可愛いが
先程ゴブリンを倒してから全く敵が出てきていないし、なんならそれらしき姿も見当たらない
エル二はハッとした顔をして
「ご、ごほん! そ、そうね・・・
私も不思議に思っていた所なのよ
大量発生って言われていたはずなのに、辺りに敵の気配が1つもないのよ・・・」
エルニは少し悩んだような表情で呟く
うーん、やっぱりなんか異常が発生してるのかな?
流石にマンガみたいにめちゃくちゃヤバイヤツが来るなんてことは・・・
「・・・っ!?
何かが上から高速で来るわよ!
な、なんで!?レン!後ろに避けて!!」
突然エルニが上を見上げたと思ったら
悲鳴にも似た警告を発する
えっ!?なになに?
何が来るんだ!?
何やら想定外の何かが来るみたいだ




