命を大事に/どちらにしてもあなたを
17「命を大事に/どちらにしてもあなたを
「まあ、あなたの言いたいこともわかるけどね
あなたがいることでエルも存在できるのだから
あなたはちゃんと必要よ
それに私にとっても・・・」
「ん?私にとってもなんだ?」
「っ!、そこは聞こえてても聞き流すところよ!
・・・ま、まあいいわ
エルは普通の精霊に比べてもチョット特殊なの
だから、普通の下級精霊と比べたら能力値が高いかも」
やっぱりそうか、流石にこれが精霊の平均だったら
この世界の精霊強すぎてヤバイだろうからな
「おとーしゃん、えうえらい?
えうやくにたつ?」
エルが俺に上目遣いで問いかけてくる
役に立つどころか、俺が全く役に立たないからエル頼みになる可能性が非常に高い
「おう!エルはいい子だ!
偉いぞ!よしよし」
俺はエルを褒めながら、そのサラサラの髪を優しく撫でる
「ほんと!?
えうがんばうね!」
俺に撫でられてエルはご機嫌だ
「忘れてるかもしれないけど、私も精霊よ
ちゃんと役に立つんだから・・・」
エルニはちょっといじけた様子で呟く
なんだ、エルニも可愛いところあるな
俺は内心微笑みながら、もう片方の手でエルニの髪を撫でる
「いやいや、ちゃんと覚えてたぞ
勿論エルニにも期待してる
俺はホント、クソ弱いから、まともに戦えるようになるまで守って貰えたら助かるよ」
「ほんと? なら、私も頑張って守るから!
モンスター退治に行きましょうか!
危なくなったらちゃんと私の後ろに隠れるのよ?
ケガしそうになったらすぐ言ってね」
またしても、おかあさん風を漂わせるエルニ
まあ、これはこれで可愛いしいいかなって感じだ
実際問題俺がクソ弱いから守ってもらわないと、アッサリ死んでしまう
「ああ、エルニもエルもよろしくな
俺も俺の出来る範囲で頑張るから」
「ええ、よろしくね」
「うん!よーしく!
えうがんばう!」
とにかく俺が死んだらエルが危ないから、作戦は「命を大事に」だな
正直モンスターは怖いが頑張ろう
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なんで!?これは!
私はそれを見た瞬間に鳥肌がたった
それというのはレンのステータスのこと
ちなみに私の神眼で見えたのはこう
名前 佐藤 蓮
年齢 20歳
種族 人族/(隠蔽)???
職業 レジ店員
能力値
・体力F/(覚醒時)体力S+
・筋力E/(覚醒時)筋力S
・防御E/(覚醒時)防御S
・魔力C/(覚醒時)魔力EX
スキル
・反転
・鑑定眼(New!)
称号
・異世界転移者
・丁寧な接客者
・精霊の父親
・エルのパパ
・エレンを継ぐ者
隠されたステータスの高さについても驚いたが
1番驚いたのはそのスキルと称号だ
まずスキルの反転
そのスキルの一番の特徴は、その名の通り反転させるというものだ
魔力を多く使うものであるが、その反面とてつもない効果がある
それは、あらゆる事象について反転して効果を与えるというものだ
魔法であれば
火属性魔法に使えば、水属性魔法で
水属性魔法に使えば、木属性魔法になり相手に反転して攻撃を跳ね返すことが出来る
また、物理攻撃にも対応しており
大半の攻撃を跳ね返すことができる
そんな魔法がこの世に存在していたことは
あまり知られていない
なぜなら、その魔法がある男の固有のスキルだったからだ
話を戻すがスキルもそうだが
その称号を見た時に私は確信した
ある男、エレンを継ぐ者という称号だ
レンは何故かエレン唯一だった「反転」のスキルを隠し持ち、その称号を持っている
しかも、何故かエルが「お父さん」と呼んでいる
もしかしたら、エルは何かに気がついたのかもしれない
彼が、レンが実の父親、エレンの生き写しであるという事を
私は慌てて挙動不審であったが
それに気づいてもレンは追求しないでいてくれた
もしかしたら、そんな曖昧な状況でエルに中途半端な希望を与えて
もし間違っていたときあの子にまた悲しい思いをさせてしまう
そう考えて、今はこの事は黙っておこうと思う
でももし、もしレンが私達の「お父さん」であれば
そんなもしもに縋りたい自分にも自覚している
エル程ではないが私だって悲しいし寂しいのだ
姿は違えど、また「お父さん」に会いたい
もしお父さんでなくても、私はレンのことが気になっているのは事実だ
どちらであってもレンはレンだが
「お父さん」だったらとても嬉しい
私はエルを優しく撫でるレンを見て
懐かし家族の光景を思い出すのだった




