ママのいうことを聞きなさい!
15「ママのいうことを聞きなさい!」
俺たちは朝ごはんを食べに来た訳だが
予想通りというかエル二がすごい目立っている
「なんだよ・・あれ!」
「スゲー美人じゃん!」
「・・・、横のやつはあの人の使用人か?
なんで、使用人が同じ食事を・・・」
といった具合だ
最後のやつ、シンプルに俺を使用人扱いしてやがる
同席者とは思わなかったのかよ・・・
内心傷つく俺を他所に
「ここのお米はとても美味しいわね
エル、しっかり食べてる?
欲しいものがあればお父さんにいいなさい?」
「うん!えういっぱいたべう!
おとーしゃん、きいろとって〜」
ぜ、全然気にしてないな・・・
俺が気にし過ぎ? いやでも、こんな美人と食事とか前の世界でもこんな反応になるだろう
「あ、ああスクランブルエッグな
少し熱いから冷ましてから食べるんだぞ?」
俺はスプーンで少量すくって、エルに食べさせる
ふぅー、ふぅー
小さな口でふぅふぅしながら、パクパク食べている
メチャクチャ可愛い!
そんな風に自分そっちのけでエルに食事を与えていたら
「ちょっとレン!あなた全然食べてないじゃない!
あっ、もしかして野菜が嫌いで食べられないの?
好き嫌いはダメよ!大きくなれないわ!」
エル二は俺の食事の順番的に残っていたサラダを見て
小さい子供を叱るお母さんのように注意してくる
「い、いやそうじゃないんだ
エルを先に食べさせようと・・・」
「言い訳無用よ!
食べさせてあげるからあーんしなさい!あーん」
エル二はそう言うと、俺のサラダから数キレのキャベツをフォークに刺し
あろうことか俺にあーんしてくる
「べ、別に一人で食べれるって!
みんな見てて恥ずかしから!」
「ほら口を開けなさい
言うことがきけないの?
ほら、あーん」
周りの視線が集まっていることに気づいていないのか
先程よりも強めに言ってくる
ああもう、このままじゃ永遠とこんなことの繰り返しだ
ええい、ままよ!
俺は開き直ってエル二に食べさせてもらう
むしゃむしゃ・・・・・
俺が無心で完食すると
「うん!よろしい
ちゃんと残さず食べるのよ?」
エル二はそう言って、満足げな様子で笑顔を見せる
うっ!?
その笑顔は反則だ・・・
こんな笑顔もし俺が野菜嫌いでも全力で食べちゃうレベル
「おー!えうも!えうもおとーしゃんといっしょ!」
何を思ったのか
エルも俺と同じように野菜を食べたいと言ってくる
ええっと、野菜は大丈夫だよな?
森の精霊って言ってたし
そこまで拒否感がないと思うんだが・・・
俺はそう思い、エル二にキャベツを食べさせると
「うえぇ、えうこれいやぁ」
と言って涙目になっている
ええー?森の精霊なのに野菜ダメなの?
まあ、子供だから仕方ないかなんて考えていると
「お、おい!
それは本当か!?
まずい!早くやれる奴を集めに行くぞ!」
突然俺らの近くで食事をしていた騎士風の男が
何やら慌てた様子で店を飛び出していく
なんだ?何やら慌ててたようだけど・・・
なんかあったのかな?
すると次の瞬間
バン!
大きな音を立てて扉が開く
冒険者風の男が現れ
「ヤバイぞ!今から一時間も経たないうちに
迷いの森からモンスターが溢れてくるみたいだ!
女子供は避難を!戦える男どもは一旦冒険者ギルドに集合だ!」
と、切羽詰まった声で伝える
何やら緊急事態みたいだ・・・




