大切にしたい気持ち/目覚めの時
14「大切にしたい気持ち/目覚めの時」
私は隣に眠る人の顔を眺めていた
昨日はじめてこの世界に来たらしく、疲れていたのか彼はグッスリ眠っている
「・・・、・・可愛い寝顔ね
それにしても・・、隣で男の人が寝てるのも新鮮だわ」
「・・・zzz、・・・うーん
ふぅ、・・・zzz・・・」
「び、ビックリした
起きちゃったのかと思ったわ
もう少しだけここのまま・・・」
そう思ったのもつかの間
「ううー、おとーしゃ・・
おとーしゃん?」
エルがレンを呼びながら目を覚ましてしまった
うう、もうちょっと見てたかったのに・・
「え、エル、起きたのね
お父さんはまだ寝てるから、静かにしてね」
よ、予定は狂ったけどレンはまだ寝てるし
エルが静かにしてくれればまだ寝顔を堪能できる
しかしエルはまだ寝ぼけているのか
笑顔を浮かべてレンに抱きつく!
「ああ!おとーしゃんだぁ!
おとーしゃん、えうといっしょ!」
エルはレンの胸に顔を擦り付けている
これではレンが起きてしまうかもしれないが
私は止めるのをやめることにした
エルは幼いながらに父親を亡くしてしまっている
姉妹だから私もそうだがエルまだまだ幼い
しかし、幼いながらも父親が亡くなったことを確かに認識している
だからだろうか、エルは時々急に泣き出し、お父さんを呼んで手がつけられなくなる事がある
だから、昨日のあれは驚いた
エルが泣き出してしまい、レンがあやそうとすると
あろうことかレンの事をお父さんと呼んだのだ!
なぜそう思ったのかは分からないが、エルにとってお父さんと思えるかもしれない存在が出来たのだ!
まあ、エルがそれだけ懐いて、レンと一緒にいてくれるのはいい事だ
契約もしてしまったのだから、仲が良くなるのはとてもいいことだ
まだレンには不思議な事が多いけれど、その優しさには感謝してもしきれない
レンに感じる優しさ以上の何かを言葉では言い表せないけれど、今はこの気持ちを大切にしたいと私は思うのだった
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「・・・、しゃん!えうといっしょ!」
何やら俺の上に柔らかいものがのっている
ううん、昨日はエルたちと一緒に寝て
最後にエル二と手を繋いで寝たんだ・・・
な、なんかホントの家族になったみたいだ
俺は内心ドキドキしながら目を開けた
「おはよう、エル、エル二」
俺は俺の胸にのるエルを抱き抱えながら2人に呼びかける
「ええ、おはよう
エルは少し前に起きたのよ
うるさかったのならごめんなさいね」
エル二は少し微笑んで返してくれる
「おはよ!おとーしゃん!
いっしょにあそぼーね!」
エルはニコニコ笑顔で元気に答える
可愛い!
娘にしたいぐらいだ
・・・ああ!もう娘(仮)だった!
「おう!まずは朝ごはんだけどな
お昼にギルドに行くからその後遊ぼうか!」
抱き上げたエルに頬づりする
プニプニで気持ちいい・・
「ほらほら、戯れてないで朝ごはん行くよ
昨日は運んでもらったけど
ずっとこもってると変でしょうし」
エル二が若干苦笑いしながら促す
仕方ないこの感触は惜しいが
腹が減っては何とやらだろう
「よし、なら食堂に行こうか!
エル、みんなはお前が見えないから
俺の膝で大人しくな?
みんなに見えないように、俺が食べさせてあげるから」
「そうね、それがいいわ
エルも大人しくするのよ?いいわね?」
「うん!おとなしくしゅるー」
とご機嫌な様子だ
では行くとしますか!




