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お父さんと呼ばして?

12「お父さんと呼ばして?」


「そろそろお腹が空かないか?

なんだか落ち着いたらお腹がすいたよ」


「そうね、そろそろ晩御飯にしましょうか

エルはどうするの?ごはんにする?まだ寝ている?」


エル二は了承しつつ、エルに問いかける

ていうか、エルは中々に寝てたから流石に寝ないんじゃ・・・



「うー、おとーしゃんはたべう?」


クリッとしたまん丸な瞳で俺に少しだけ顔を向けて聞いてくる

なんともプリティな姿だ



「そうだなぁ、俺は食べるよ

だからエルも一緒に食べよっか?」


俺がそう言うと、元気よく「うん!」と答える

それを聞いて俺はエルの髪を撫でて



「そうだエル、俺は佐藤 蓮って言うんだ

だからお父さんじゃなくて、レンって呼んでくれないか?」


小さい子供の呼び方だからそこまで気にしないが、先程のように夫婦に間違えられるのはエル二に悪い

エル二と俺じゃ美女と野獣みたいじゃないか

そんな風に自傷気味に考えていると



「うー?

おとーしゃんはおとーしゃんってやなの?」


エルは不思議そうな顔をしている

俺も嫌ではないがと言おうとすると



エル二が少し小声で

「レン、エルにお父さんって呼ばせてあげてくれない?

この子のお父さんはもう・・・、だからお願い」

そう言って少し寂しそうな顔でお願いしてくる



事情はまだわからないが、予想してたようにエルの親父さんはもういないという事だろう

そのエルが再びお父さんと呼びたいと言うのなら、俺の恥ずかしさなんて二の次だ



「大丈夫だ、そういう事ならエルのお父さん代わりになるよ

エルとは契約で繋がってる事だしな」


まあ、それだけではないのだが・・

こんな小さい子供に父親がいないというのは、やはり悲しい事だ


この子は小さくても、父親がいないということをちゃんと自覚している


それでも俺を父親の代わりとしてでも頼ってくれるなら、俺はこの子の父親がわりになろうと思う



「ありがとう、レンならそう言ってくれると思っていたわ

ふふ、この子の姉としてもありがたいわ

よろしくね!お父さん?」


お、お父さん・・・

同年代か少し上のお姉さんにそんな風に呼ばれるのはなんだか不思議な気分である



「流石にお父さんと呼ぶのはやめてくれ・・・

エル二相手だとなんだか落ち着かない」


俺はそう言い内心ドギマギしていると


エル二は蠱惑的な微笑みを浮かべて握手してくる


おいおい、それはそうとしてエル二はエルのお姉さんだったのかよ

年が離れてるから従姉妹なのかと思ってたよ

言われてみれば、髪の色や顔立ちが似ているし姉妹というのも頷ける


エルは将来エル二のような別嬪さんになるのだろう

今から将来が楽しみだ!

なんて、ホントの父親みたいなことを考えていると



ガチャ!

「お客様失礼いたします

ご夕食になさいますか?

ご夕食であれば今すぐにでもご用意致します」

そう言って、先程の受付のお姉さんが入ってくる



「はい、食事をお願いします

3人分を持ってきてください」


「かしこまりました

それでは後ほどお届け致します」


俺が返答すると丁寧に受け答えしてくれる

うーん、日本人としてはありがたいけど

他の宿もこうなるかはわからないから、ここは特別なのかもしれないし

その宿ごとに違うと考えておこう・・・


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