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反乱組織「KIBIDAMGO」

まずは読んでいただきありがとうございます。

短編で収まるようにして行きます、なるべく早い更新を心がけて行きますのでよろしくお願いします。


 朝の日差しを浴びて青年は目覚める、埃がキラキラと舞う中で部屋は無機物の機械とこれまでの敵の資料が適当にぶん投げられていた。


「……夢か」


 悪い夢をまた見ていたようだ、10年前少年だった頃自分の育ての親『翁』と『嫗』が悪の秘密結社によって惨殺された記憶。


「全く、今日は朝からついてねぇ」


 ベットから起き上がり無造作に置かれていたタバコとライターを拾い火を灯す、悪夢がそれで消える訳ではない、だが肺を煙で満たし嫌な記憶とともに吐き出してしまいたかった。


「やっと、やっと敵のアジトが分かった、後もう少しで俺は復讐を遂げる」


 青年はこの十年間敵のアジトを仲間と共に探し続けていた。

12日前にやっと敵の本拠地を突き止めたのだ。


 それは世界のあちこちに点在し、悪虐の限りを尽くしている秘密結社が存在した。

人身売買、麻薬取引、武器密輸、数え切れない程の犯罪を犯し世界警察からもその存在を危険視されていた。


 名を『ONIGASHIMA』と言う。


 育ての親を殺されて復讐にもえる男は、同じ過去をもつ三人の男達と共に反乱の狼煙を挙げた。

それは、翁と嫗がいつも作ってくれた素朴な料理だった、彼らはその旗の下に集まり遂に反撃を仕掛けようとしていた。


 反乱組織『KIBIDAMGO』


 今や看過出来ないほどの戦力を持ったこの組織は、たった一人の男から始まった。

反乱軍総司令部司令長官そんな肩書きを持つ男の名は。


 『桃太郎』と言う。



「桃太郎様ご準備が整っております、我ら一同この念願の時心よりお待ち申し上げておりました」


「あぁ、今いくよ」


 軋むベットから体を起こし、桃太郎は壁にナイフで突き立てられた写真の男を睨んだ。


「……温羅」


 その男は翁と嫗を殺した張本人にして秘密結社『ONIGASHIMA』の頭目『温羅』だった。

まだ吸い始めたばかりのタバコを無造作に消して桃太郎は部屋を出る。


 ほの暗い地下の世界、パイプやコードの張り巡らされた通路を歩き続ける。

この秘密の地下アジトを使うのがもう無くなるのかと思うと感慨深いものがあった。

やがて豆電球の灯された部屋に入る、その部屋では真ん中にテーブルがあり何やら人が集まって作戦会議をしていた。


 桃太郎にはこの集まっていた三人をよく知っていた、反乱組織を立ち上げた時に一緒について来てくれた掛け替えのない義兄弟たち。


「犬」


「猿」


「雉」である。


「兄貴、やっとこの時が来ましたね」


「遅いぞ兄者、今日が決行日だってのにマイペースな奴だ」


「……我らの成就の時」


 三人がそれぞれ声をかけてくる、忠臣の犬、お調子者の猿、無口な雉、三者三様で変わり者な奴等だが桃太郎はそんな彼等を気に入っていた。


「すまんな猿、さて作戦を開始しようか」


 三人はおう! と声を張り上げ所定の場所へ移動を開始した。

彼らはこの十年間で二つ名が出来るほどこの界隈では有名人だった。


 曰く。


『爆弾魔の犬』


『全身暗器の猿』


『鷹の目を持つ雉』


 そして、『鬼の桃太郎』である。


 彼らは敵の本拠地である秘密結社の名にもなった島『鬼ヶ島』に向けて準備を進めていた。


「兄貴、拠点への爆撃および罠の設置完了しています」


 そう話すのは一番家来の『犬』だ、彼はその界隈では知らぬ者はいない程の爆発物のスペシャリストだった。


「兄者! こっちは武器の調達と傘下の部下どもを目的地で待機中でさぁ」


 二番目は『猿』だ、その人懐っこい顔と巧みな人心掌握によって彼の元には万を超える傘下の部下が存在している、彼自身も先陣に立ち全身から相手を瞬時に殺す「暗殺術」において右に出る者はいない。


「……任務を遂行するのみだ」


 やはり口数少ない男は『雉』、彼は射程2000Mを超える距離から相手を一撃にて殺すスナイパーだ。

 あまりの正確さと厳重な警備を掻い潜りいくつもの幹部を射殺してきた彼を敵味方問わず「鷹の目」と恐れられている。


「我ら生まれたる時は違えども」


「死ぬ時は一緒だ」


「兄弟達よ、復讐の時は来た」


 そうして四人は暗がりから地上の世界へと歩いていく。

三人をして最強と言わしめる男、反乱軍の中で誰もが憧れを抱かずにはいられない。


 彼の歩いた後には綺麗な血の花が咲き誇る、たった一人にして千の相手を屠る無双の男。


『鬼の桃太郎』



「さぁ、今宵は最高に長い夜になりそうだ」



桃太郎たちの復讐が始まる。

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