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鍛冶屋の息子  作者: まぼろしおう
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過去3

俺は何をしている…


何があった…


俺は何故、こうなった…


俺は死んだのか…


死んだか…



誰かが俺を呼んでいる?


誰だ?


「カイル!カイル!」


誰なんだ…


「カイル!カイル!」


何か、生暖かい水滴が顔に当たる感覚がある。


何かと思い、右手で拭こうとするが右手が動かない。


そうか、俺はガドを…。


「ッ!?」



意識が戻る。


左目が多少開け辛いが、ゆっくりだが目を開ける事が出来た。


そして、視界が広がった先にアイーダが居た。


泣いていた。


………。


「何故、泣いてる?」


アイーダは涙を脱ぐって、俺に抱きついてきた。


「痛ッ!」


「ゴメン!」


咄嗟に、アイーダは離れた。


「いや、悪く無い…」


「え?」


(ほんのりアイーダの顔が赤く見えるのは気のせいか?まあ、いい…。)


「ところで、ガドは?」


「ガドは見つかって無いわ…」


「マジか…」


「うん、マジ」

「でも、まだ燃えた後の処理が終わって無いし、その時に見つかるか、実はその場に居なくて、何処かに行ってるだけで、ひょっこり私達の集まりに来るかもだし!」


「そうか…、俺もあの時、咄嗟に家へ突っ込んで、探してみたけど、今思うと人が居るような様子が無かった気もするなぁ。」


「うん!前向きに考えましょ!」


「何か成人前に、背伸びして損した気分だよ」


お互い顔を合わせて笑った。



「ところで、俺はどうなってる?包帯ぐるぐる何だけど?」


アイーダの顔が、一瞬曇った。


「どうって?何?」


「俺の怪我の状態」

もう1度聞き直した。



暫くの沈黙の後、アイーダはゆっくり事故の説明をしてくれた。


まず、アイーダが着いたと同時に俺が突っ込んで行くのが見えたらしい。


そして、突入して30分過ぎたくらいに、家の壁から燃えた木が急に突き出してきて、熱で弱った壁が、燃えた木の影響で大きな穴をあけ、消化活動にあたっていた指揮官が、その大きな穴を突破口にすると決めて、集中的に放水する指示をし、内部からの消化も可能にし、そのかいあって、火の沈下も早く終わったようだ。


そして、その木の側で、倒れてる俺を兵が見つけて、病院に搬送したらしい。


お陰で、俺も生きれてるみたいだ。


「で、何で顔が曇ってる?」


アイーダは、更に間をおいて泣きそうな顔で教えてくれた。


「カイル…、まず、身体全身に火傷をおってるの。身体の左側は大した事は無いんだけど、問題が右手。腕の辺りが極度に火傷を追ってしまい、右手が無くなる訳じゃないんだけど、多分、回復しても、右手で上手く物を掴んだり動かす事は出来ないみたい…」


「後、これを言うのは抵抗があるんだけど、倒れていた状態が悪くて、倒れた拍子に顔が床についていたんだと思う。

それで、左側の目の辺りから頬にかけて酷い火傷を追ってしまってる…」

「けど!けど!生きてるのが奇跡だし!しかも幸い骨には異常ないから、リハビリすれば腕の筋力の回復とか出来るみたい!」


「………。」

「そっか…」

だから、左目が開きにくかったのか…


「取り敢えずは理解したよ」


「手の力はどうしようも無いけど、目も両目で見えない訳じゃないし、これで済んで良かったと思う!言いづらい事、言わせてごめんな。教えてくれて、ありがと!」

心配させないよう、出来る範囲の笑顔で答えた。

(包帯のせいで、きっとこの笑顔は見れたもんじゃ無いだろうとも、ふと思った)


それから、アイーダと少し違う話をしてると、ロンが来た。


「よぉ!」


「よぉ!じゃねぇよ」

「まったく、お前は何をしてたんだ?」


「アイーダが側にいるから、間に入るのは悪いかなぁって思ってねぇ」


「はぁ?」「エッ?」


「ハモったな!ハハハッ」


と、言うのを始まりに3人で火事の事やガドの事を話をした。


「まあ、あれだ。人助け的な自警団をやってるけど、結局は成人に満たない子供のお遊びだったのかもしれないなぁー」

ロンはズバリ言う。


今になって胸に刺さる言葉だった。


今まで、自警団として皆と上手くやっていた。

窃盗・恐喝などで、悪い事をする奴は大体、倒して捕まえて警備兵に渡していた。

仲間と協力して悪い奴を退治出来ると言う楽しみもあった。

多少なりとも国の治安的な貢献は出来てたと思う。

一石二鳥だ!


だが、今回どうだろう…

勝手に突っ走って、勝手に怪我をして…。


自警団が単なるお遊び…。


そうかもしれない…。

皆で協力するのが自警団にも関わらず今回の行動…。


「そうだなー。調子にのってたなー。自分1人の力なんてそんなもんだよなー。反省だ!」


「お?珍しくリーダーが反省だ」


「うるせぇ!」


この後、ひとしきり他愛もない話をして2人は帰って行った。



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