過去1
鬼ごっこや、木登り等で遊んでいると夕食の時間になったので、2人で家に戻る事にした。
因みに、俺は兄の家に遊びにと言うか、絶賛居候中である。
何故、この状態であるかは、説明すると話が少し長くなる。
俺の少年期はフィーバーしていた。
頭は今と変わらず良くは無いが、身体能力が高くケンカも負け無しで、12歳くらいになる頃には、鍛冶屋の子供連中を集め、遊びを含め、5人で街の自警団的な事をしてワイワイとつるんで暮らしていた。
それから2年…
成人の儀も近くなり、家業に専念しなければ無理な仲間も居て、集まりが減っていた。
ある日、ソード家の娘とアーチャー家の息子の3人で、いつものように街を巡回していた。
「カイル、カイルはいつも巡回してるみたいだけど、家の手伝いはしなくて大丈夫なの?」
と、アイーダが聞いてきた。
「まあ、俺には頭が良くて器用な兄貴が居るからねー。そんな後継者の兄貴の弟は気楽で良いのだ」
と、威張ってみる。
「何それ」と、アイーダが笑顔で答える。
(アイーダの笑顔を見ると、良くわからないが、たまにドキッと胸が苦しくなってしてしまう。勘弁願いたい…)
その話の間から、ロンが、
「そうだねぇー、お前の兄貴は凄いよなー。俺達より少し年が上なだけなのに、もう国の軍事補佐的な地位に就いてるから、本当に凄いねぇー」
「まあね、そんな出来る兄貴は煙たがられてるのか、今は鍛冶の修行として、他所の島国で生活を余儀なくされてるけどねー」
「マジか!国のお偉いさんって、怖ぇー」
「じゃあ、尚更、家の手伝いしないとダメじゃないっ!」
アイーダが、すかさずツッコミを入れてくる。
俺は笑って、華麗に受け流した。
そんな他愛も無い話をしていた時、
事件が起きたのだった…。
「人物紹介」
エンハンス家
兄:アイレム・エンハンス
弟:カイル・エンハンス
ソード家
娘:アイーダ・ソード
アーチャー家
息子:ロン・アーチャー