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弱小魔族の冒険譚  作者: さわ
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長い夜③

 座り込んだまま愕然としているアリスの両肩を掴み揺すり声をかけた。

 さっきの野盗から聞いた事実が相当ショックだったのだろう。


「おいっ、アリス! しっかりしろ!」


 しばらく声をかけていたが、なかなか意識が帰ってこない。

 これは、最終手段しかないか。


 開いた手を振り上げ、アリスの頭頂を目掛けて振り下ろす。


 ガツン!!


「はぅわっっ!!」

 

 俺の攻撃対象から変な声が発せられた。

 アリスは頭を押さえながら小さなうめき声をあげてうずくまってしまった。

 そんなに力を入れていないつもりだったが、やり過ぎたか……?


「めっちゃ痛いです! うっっ……」

「いやー、全然返事しないから、スマン」

「あ、いえ、私もごめんなさい……」

「んー、まぁ、あれだ。色々さ、混乱してるかもしれないけど、取り敢えず色々確認しなきゃだし、あいつ逃したくないから縛っときたいんだよね」

「そうですね、中庭の小屋にロープがあったと思うので取って来ます」


 アリスは頭をさすりながら、とてとてと小屋に走って行く。

 さて、これからどうしたものか。

 アリスには俺が魔族だと知られてしまったし、この野盗の言う様に、王都と魔族、さらにアリスが身につけた魔法の正体について色々あいつに確認しないといけないな。

 それとも、こう言う時は、師匠に聞いた方がいいのだろうか。

 師匠のところに戻ろうにも歩くとほぼ三日はかかるか……ちょっと遠いな。


 アリスが持って来たロープで先程のした野盗を縛った。

 どこから話そうかと考えていたが、先にアリスが口を開いた。


「ライザさんと野盗さんは魔族だったんですね……ちょっとビックリしました」

「別に、騙すつもりはなかったんだが、魔族と人間ってあれだから言わない方がいいかなって」

「ライザさんが旅をされているのは、野盗さんが言われてた事と関係あるんですよね?」

「そう……だな……」


 今更隠せないし、多分、アリスにも関係ある事だろう。

 頭をかきながらアリスへ全てを話すことにした。


「俺はさ、しばらく修行の旅に出ていたんだけど、久しぶりに自分の故郷に帰ったら村が荒らされて人が誰もいなかったんだ。そこに、王都の旗が落ちていたから、王都と何か関係があると思って向かっているところなんだ」

「そうだったんですか……」

「多分、野盗の言ってた事が全てなんだと思う……でも、村には大切な幼馴染がいたんだ。その子を助ける為に俺は王都を目指すよ」

「そうなんですね。私もこの力がどうやって宿ったのか確かめたい事があります。私も同行させていただけないでしょうか?」


 その申し出にどうしようか悩んだが、覚悟を決めた顔をしていたので、承諾する事にした。

 多分、この事はアリスにも大事なことだと思った。


「それと、私からもライザさんに話さないといけないことがあるんです。多分、今後に関係あることだと思います」

「そうだな、あと、こいつからも聞くことがあるな」


 とりあえず、まだのびている野盗を起さないといけない。

 野盗に近づき腕を振りあげたところ、さっきの自分におこった事を思い出したのか、アリスが間に入った。


「あ、あの、水持ってきますので!」


 よっぽど俺のチョップが痛かったのか? アリスは慌てて中庭の井戸まで走って行った。


 あいつの中ではもうトラウマになっているのだろうか。

 ちょっと反省だな……。

 しばらくするとアリスが戻って来たので、桶に入った水を野盗に浴びせた。


「ぶふぁっ!!」


 冷水を掛けられた野盗が目を覚まし、身に起きた事を把握できずキョロキョロしていたが、縛られていることに気づき、状況を理解したようだった。

 さっき殺しあった時とは思えないほど大人しくしている。


「はぁ……私は負けたのか……」

「とりあえず……な。お前に聞きたいことがあるんだが?」

「そうだな、わかる範囲でなら答えてやる」

「随分素直だな? もっと、こう、暴れるとかするかと思ったんだけど」

「……ふん。今更暴れても意味はないし、別に殺すつもりもないのだろう?」

「まぁね。多分俺とお前は同じ境遇だし、王都から来たお前に聞きたいことが山ほどあるからな」


 まず、俺が一番に確認したかったことを聞くことにした。

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