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弱小魔族の冒険譚  作者: さわ
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宴会の後

 色々隠して来た事を洗いざらい話した事で開き直ったのか、嫌に師匠が可愛い反応を見せる様になった。

 今でこそ可憐? な少女となっているが、前は爺さんだった事を考えると少しゾッとしてしまう。


 つまるところ、俺は200年前の大戦で人間を救った人物の生まれ変わりで、魔族に生まれ変わったが魔法が使えなかった為、力を求めた結果、師匠の知らずの手招きで今に至ったと言うわけだ。

 魔族に生まれなければ師匠の思惑通りに平穏な生活ができていたのだろうか。

 でも、過去や出生がどうであれ、当時の記憶なんてないし、やらないといけない事がある。そのために王都へ向かっているわけで、決して忘れてはいけない事だ。

 改めて、自分の目的を再確認したところで、ふと師匠達を見ると、いつの間にか野盗達と打ち解けており、酒を交わしていた。

 本当に自由で何よりだが、あの格好で酒を飲んでいると犯罪だな……。


 いつのまにか馬鹿騒ぎになった会場から逃げたくなった俺は席を立ち、外へ出ることにした。

 外に出るとあたりはすっかり夜になっており、空には眩いばかりの星空が一面に広がっていた。


 物思いにふけていると、扉の開く音が聞こえた。

 音のした方を見ると、アリスが姿を現し、おもむろに俺の隣に座った。


「ライザさんの姿が見えなくて探しちゃいました」

「いやぁ、なんか考える事がいっぱいあってさ。ちょっとついていけなくなってね」

「そうですね。私もびっくりしちゃってます!」

「……だよなぁ」

「ライザさんと出会っていなければ、真相なんて知らずにこんな夜を迎えられる事もなかったんですよね。魔法が使える様になって少しはしゃいでいた頃が馬鹿みたいです」

「ん、まぁ、それはしょうがないだろ。俺だって魔法が使える様になって凄い嬉しかったし。でも、使える限界はあるみたいだけどな」

「ライザさんに出会わせてくれたディーナ様に感謝です!」


 確かに、アリスの言う様に今の状況を作ったのは師匠の考えなのかもしれない。

 しばらくアリスと星空を見上げ談笑していたが、肌寒くなってきたため、アリスは先に小屋に戻っていったが、すれ違いに師匠が現れた。


 師匠はしこたま飲んだのか、真っ赤な顔でこちらへフラフラと歩いてきた。

 こんなにはしゃいでいる師匠は初めて見たが、他のやつらはどうなったんだろうか。


「よう、ライザ! あの娘と仲が良いみたいじゃな」

「なんだよ、酒飲みすぎじゃないか? マリア達はどうしたんだ?」

「マリアはとっくに酔いつぶれて寝てしまってな。野盗野盗達もぐっすりじゃ」


 師匠は少しムスッとした顔をしていたが、一体なんなんだ。

 他の奴らが寝るぐらい飲んでたのか……ってか、マリアはお姫様じゃないのか……。

 ちょっと呆れ顔をしていると、師匠が真面目な表情に戻り話しかけてきた。


「お前に直接謝っていなかったなと思ってな」

「もう良いって。悪気があってやったわけじゃないんだろ?」

「まぁ、確かにそうなんじゃが。巻き込んで、死なせて、また転生させて、また巻き込んで……なんとも申し訳なくてな」

「そうは言っても俺に記憶なんてないしなぁ……」

「その記憶もな……もしかしたら戻るんじゃないかって、一人旅の無茶をさせてしまってな……」


 俺のことを師匠が物凄く心配をしてくれている事は伝わってきたが、ちょっと過保護すぎるんじゃないか。

 師匠は少し俯いて俺の様子をうかがっているようだった。

 何か言葉をかけないといけないとは思ったが、昔の俺に行為を寄せてくれているのは凄く嬉しいが、何かもどかしく、言葉に詰まってしまった。

 俺が考えを巡らせていると、師匠が何か思いついた様に顔を上げた。


「後、言い忘れていたことがあってな。お前の魔法じゃが、まともに相手と撃ち合いとか考えたらだめじゃぞ」

「え、なんでだよ?」

「転生したからと言う訳じゃないんじゃが、お前の魔法はな、言ってしまうと最弱なんじゃ」

「え、最弱ってなんだよ? 全然意味がわからないんだけど……」

「ライザが転生前の頃に色々調べたんじゃがな、多分、利用者の身体に対して魔法の出力が変わる様なんじゃが、お前は特にそれが著しく弱い」

「前は人間だったからとか?」

「そうかもしれん。今は魔族として生まれているから多少変わったかもしれんが、今までの戦いを聞いているとそうは思えないのじゃ」

「いや、意味が全くわからないんだけど……?」

「つまり、サラとギドと戦った時にトドメは魔法を使ったんじゃろ? どちらも加減なしに放ったのに命を奪うまでの威力が出なかったと言うことじゃ。前のお前も同様な威力じゃったんじゃが」


 最弱、だと? 折角魔法を覚えたのに、そんなんでこの先戦えるのか、凄い不安に駆られていた。

 つまるところ、俺の最大出力は相手が動けなくなるぐらいのダメージしか与えられないと言うことか?

 大戦時の俺は魔族の軍勢に大立ち回りしたんだろ? いったいどうやって師匠と同クラスのインフィア勢と戦っていたんだ……。

 考えれば考えるほど、どうやって戦っていたのか謎めいてくる。


「なんか、今の話でこの先不安になってきたよ……」

「ん? そうか?」

「ってか、前の俺はどうやってインフィア達と戦ってたんだよ?」


 師匠は腕を組み考えていたが、とんでも無い言葉を口にした。


「それは! 努力と、知恵と、根性じゃな!」

「なんだよそれ!」


 師匠の言葉が精神論でしか無くなってきてる気がする。

 そんなんで戦えたら苦労せんのだが……。


「あ、そういえば、野盗と戦ってた時に固有スキルとかなんとか言ってなかったっけ?」

「あぁ、そのはなしか」

「魔法が弱いと言われたら、なんかそれも理解しとかないといけない気がしてね」

「んー、そうじゃなぁ。前も言ったが、魔核の持ち主は固有スキルという、魔法以外の力を身につけることができる。因みにわしは、一目みるとその物の構造などが理解できる一目全知というスキルじゃな。全知の魔女の由来でもあるが」

「へぇ、それは便利そうだなぁ。因みに俺も何かあるのかわからないかな?」

「今のライザと昔のライザが同じスキルかどうかはちょっとわからんが、前のライザは多重詠唱じゃったな、後もう一つあったが、忘れてしまった」

「あれ、固有スキルって一人で何個もみにつけられるんだっけ?」

「いや、お主だけ特別じゃと思う。通常は一人一つじゃ」

「へぇ、多重詠唱って、要は魔法を一度に複数使えるとかそんな感じか?」

「そうじゃな、通常は魔法は一つずつしか唱えられんからな」


 多重詠唱か……もし今の俺も同じスキルを持ってたとしても、弱いんだったら一度に複数の魔法を使っても意味がないんじゃないか……。

 本当にどうやって戦ってたんだよ……昔の俺……。

 

 師匠は、期待してるぞと言わんばかりな笑顔でこちらを見ている。

 そんな顔されても困るんだが、生前の記憶が戻ればそれも解決するのか謎ではある。

 記憶が戻ったら、今の俺でいられるのか、アイツの事も忘れてしまわないだろうか、と不安がよぎる。

 ひとしきり話したのか、師匠は小屋に戻ろうと身体を翻した。が、こちらを見て一言発した。


「なぁ、アリスという娘じゃが、この旅で本当に初めて会ったのか?」


 俺は、師匠の言葉が何を意味するのかわからないが、前にも誰かから聞いたことがある様なフレーズだった。

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