事実確認①
「で、仮に操られていたとしてだ、なんでこんな事をしたんだ?」
ギドがそれなりに回復した所を見計らい、サラが口火を切る。
少し表情が曇ったが、ギドがこれまで説明を始めた。
「実はな、細かい理由は知らないんだが、急に王宮に呼ばれたんだが、そこで、王から教会にいる奴らとマリア姫を殺すように言われてな」
ギドの話によると、どうも王と謁見した時に何かの魔法をかけられたらしく、そこから自分が思ってもいないような狂気に駆られていったらしい。
それより、ある言葉に、その場にいるもの全員が疑問の表情になり、咄嗟に俺が聞き返した。
「なぁ、今なんて言ったんだ……?」
「ん? 細い事は知らないって事か?」
「違う! その後だ」
「教会にいる奴らとマリア姫を……か?」
「マリアが姫……?」
ギドを除いた視線がマリアへ注がれる
視線に気づき驚いたらしく、ゆっくり立ち上がりこちらへ歩み寄ってくる。
マリアが姫だったのは驚いた。
ただのドジなお姉さんとばかり……。
しかし、王ってマリアの父親ってことだよな?
娘を殺す利用なんてどんな理由があったのか疑問が膨らむ。
「アリスはマリアがお姫様って知らなかったのか?」
「いえ、一度も聞いたことなかったですけど……私も正直驚いてます」
その場にいる一番長い付き合いだろうアリスも知らなかったとなると、何か事情があるのだろう。
「すみません。隠すつもりはなかったのですが、普通に接して頂きたかったので、特に言いませんでした。恐縮されても困りますし……」
マリアは苦笑いを浮かべていた。
サラが来ていた服がちょっと高価に見えたのは、マリアが王宮から持ってきたものだからだろうか。
「で、王都にいる王様は実の親なんだろう? 何故、命が狙われるのか心当たりはあるのか?」
一呼吸空けてマリアが話し始めた。
「多分、私が神様とお話しをできる事が、父には不都合だったのかもしれません。先程ギドさんが言われていたのですが、父がどんな理由で過去の大戦を再現しようしていることは知りませんでしたが、また神様達に止められると思ったのではないでしょうか。私を教会に預けて遠ざけたのもその為かも知れません」
「神様って? 教会に預けたのに、殺しに来るのか?」
神様ってなんだ?
教会の中央に鎮座している像をふと見る。
その像は、見た感じ10歳そこそこの外見に見える。
長い髪を後頭部で一纏めにし、見慣れない服装をしているが、こんな少女が神様だと言うのだろうか。
大戦については前に師匠から少し聞いていたが、確か、魔族が人間の領土へ侵攻侵攻し、魔法が使える魔族が一方的だったのを神様が仲裁しただった……か。
魔族と人間は互いに協力しあって生活していた時代もあったらしいけど、何故魔族は人間を戦争を始めたのだろうか。
「ご存知かも知れませが、神様は過去の大戦で一方的に攻め込まれる人間側を助けて頂きました」
「そんな神様なんているんだな」
「もちろんです! 教会の祭壇やにも王都の広間にも像が飾ってあるんですよ!」
マリアは何故かふんすと得意げな表情をしていたが、彼女にとって二人のつながりは特別だったのだろう。
そういえば、あまり気にしていなかったが、教会の祭壇に飾ってある少女の像が神様なのか。
「失礼かも知れませんが、私がまだ幼い頃、神様の像が可愛いくて何度も話しかけていたんです。当時はお話し出来るような友人はいませんでしたので……そうしたら、突然、声が聞こえてきて……それから、ずっと神様とお話し出来るようになりました。神様からは、何かあったら相談するように言って頂いてたのですが」
「神様と話ができる事は誰かに話したのか?」
「いいえ、神様からは内緒にと言われてました」
王宮でマリアはボッチだったのか……。
しかし、マリアが誰にも話していないのに教会に隔離されたと言うことは、神様と話しをしているのを見られていたと言うことか。
そもそも、平穏になっていた世の中で王は何故魔族に戦いを挑むような準備をしていたのか謎である。
しかも、魔核を使った人体実験みたいなこともしているようだったし、犠牲を出してまで魔法に固執するのは裏がある気がする。




