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弱小魔族の冒険譚  作者: さわ
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師匠の家

 馬車での旅は何事もなく順調に進み、日が落ちるギリギリの所で目的地に着いた。

 馬車の速さもあるが、思ったより教会と近いんだな……。

 教会でもらったお弁当を食べながらの馬車移動は快適で素敵だった。


 確か、師匠の屋敷までは馬車が通れない様な細い道だったので、大通りで御者のおっちゃんとは別れる事にした。

 また何かあれば声を掛けてくれと言ってくれたが、結局世話になりっぱなしだったな。

 約束通り、次は護衛役を引き受けよう。


 大通りから少し歩くと屋敷へと続く道に辿り着いた。


「確かこの道を通ると師匠の屋敷が見えてくるんだったかな」

「ライザさん? どこに道があるんですか?」

「まさか、この草むらを抜けようとしてるのか?」


 草むら? 別に草なんてないんだが。

 二人は不思議な顔をしながら俺に問いかけて来る。

 なんだ、何かの冗談か?


「え、ここに道があるんだけど、もしかして二人は見えてないとか?」

「いや、全然わからん」


 やはり見えてないらしく2人は首を振っていた。

 あまり人が好きじゃない爺さんだ。

 もしかすると、認識阻害するような魔法を使ってたりするのだろうか。

 取り敢えず二人についてくるように言い、先行して歩き出す。

 一本道が終わると、長い石段があり、登った先に師匠の住む建物があった。


「ほら、あっただろう?」

「ごめんなさい、私には全く道が見えてなかったので……」

「あぁ、アリスのいう通り、道なんて見えてなかった」


 どうも俺の後ろを通ると道を覆う草が勝手に避けて行き、道ができたのだと言う。

 まぁ、やっぱり師匠が何かしてるんだろう。

 アリスには道のりが辛かったのか、少し息を荒げていた。

 サラは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回している。

 師匠の屋敷は一般的に石などで作られる魔族の建物とは違い、主に木で作られた家になっている。

 建物はいくつかに分かれており、一人暮らしにしては広すぎると感じていたが、誰か師匠以外にも住人がいたのだろうか。 

 とりあえず、世話になっていた時はいつも母屋の方に住んでいたので、そっちに向かった。

 入り口の扉を開けると待ち構えていたかの様に師匠が立っていた。


「なんじゃ、もう帰ってきたのか? 」

「あー、ちょっと師匠に聞きたい事があってさ」

「ふ〜ん……女連れで帰ってくるとは……」


 師匠はアリスとサラの二人をじろりと見て、何かを警戒しているようだった。

 息巻いて王都へ向かったのに、すぐに帰って来たことを呆れてるのだろうか。


「ちょっと師匠に聞きたいことがあって、戻って来たんだ」

「ふむ、そうか。こんなところで立ち話もなんじゃし、奥に案内してやったらどうじゃ」

「ああ、そうするよ」


 俺たち三人は入り口で靴を脱ぎ、勝手知ったる屋敷に入って行った。

 普通は、靴なんて脱がないが、ここでは入り口で履き物を脱ぐのがルールだった。

 二人を案内した部屋は畳というものを敷いた部屋で、ここも土足は厳禁で、そのまま床に座るスタイルとなっている。


「して、聞きたいこととは?」

「どうも魔族が王都へ連れて行かれた理由がわかったんだけど、師匠は魔核って知ってるか?」

「あぁ、もちろん。魔法を使うために必要な源みたいなものじゃな」

「魔族に魔核があることも?」

「あぁ、知っておるよ」

「なんでも、王都では魔族を捉え、その魔核を奪っていたらしい」

「そんなものどうするんじゃ?」

「人間に移植して魔法を使える様にしてたらしいけど……そんなことができるって師匠は知ってるのか?」

「……ああ、知っておる。じゃが、但し適合しなかった場合は、命を落とすがな」


 魔核を移植して適合しなければ命を落とす……?

 何か最近、師匠から聞いた言葉を思い出した。


「それって、俺が魔法を使えるようになった時も同じ事を聞いたぞ?!」

「あぁ、そうじゃな」


 師匠は淡々と答えているが、俺は言葉を荒げた。


「これって、もしかして俺にも他の魔族の魔核を使ったのか?!」

「それは違う」


 師匠は否定をするが、条件が同じすぎるため、何回も師匠に詰め寄った。


「あーー、もう! 違うと言っておるじゃろう! 大体、それは元々……」


 師匠も声を荒げて何か言おうとしたが、何でもないと言い、途中で踏みとどまった。

 一体何なんだ……。


 師匠が一旦深呼吸し、落ち着いて答える。


「……兎に角、お前のは違うんじゃ。魔族の魔核を使った物じゃない。詳しくは言えんが安心しろ」


 なんか強引に話を切られたが、これ以上聞く事は難しそうだ。

 師匠がサラと話がしたいと言うので、二人を残し、アリスと共に客間がある離れに向かった。


「サラとか言ったか、あいつと一戦交えたんじゃろう?」

「ああ、誰から聞いたんだ?」

「まぁ、大体わかる。手加減してくれたんじゃろ? やっぱり同胞を殺すのは抵抗があったか?」

「……なんでもお見通しか。その通りだ」

「同じ魔法が使えても、急に術者と同じ出力で使えるわけじゃないし、お前の方が格段に強いはずじゃ」

「……あんた一体何なんだ?」

「いいじゃろ。ライザの面倒も頼みたいし、お前だけには少し話をしようかのぅ」

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