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怪異探偵とドジなメリー  作者: 日向 ゆい
5/7

メリーさん.chapter5

「__……見つけた。」

人々が驚き、喚き、騒ぎ、逃げ惑う。

「…やっと見つけたよ、メリー。」

メリーさんと全く同じ容姿の少女は、メリーさんを見つけられて安堵したような表情をした後、俺を睨みつけてきた。

「…ねぇ、メリー。この人は誰?」

「…この人は…殺しそびれた人だけど…助けてくれた人。」

殺意を澱ませて睨む少女の問いに、メリーさんは怯えながら答える。

「…こんにちは。私はメリー。妹がお世話になったわ。」

その説明を受けると、メリーと名乗る少女は俺の方を向き、満面の笑みで鎌を突きつけてきた。……こらそこ、デジャヴとか言わない。

「…初めましてメリー姉。俺は鳶赫 悠太だ。以後、お見知りおきを。」

「……そう。とりあえず__」

さほど興味が無いのか、今度は冷たい目を向けていた。

「__死になさい。」

「……っ!?」

メリー姉はそう言い切って鎌で首を刈ろうとしてきた。それを咄嗟に避けると驚いたような、感心したような表情をしていた。

「…へぇ…今のを避けるんだ…」

「危なかった……」

何があるかわからないが、明らかにメリーさんより実力は上だ。そう感じ取って距離を置く。

「…姉さん。私が帰るから……あの人を__」

「……何言ってるの、メリー?」

メリーさんが俺のことを助けようとしてくれたのだろう。その為の提案をメリー姉は嘲笑った。

「……殺しそびれたアナタに用はないの。」

「…そんな……嘘…」

メリー姉の言葉に唯一の希望が打ち砕かれたメリーさんは戦意喪失したのか床に座り込んでしまった。

「……逃がさないわ…来なさい、殺戮のみの世界(キルズ・ワールド)…!」

そう呟いた瞬間。メリー姉を中心に真っ黒な球体がフードコートを呑み込んだ。

「…さぁ、戦闘を再開しましょう?」

戦いを楽しんでいるような笑顔を浮かべるメリー姉。メリーさんが戦えない今、状況を変えるにはメリー姉の出方を伺わなければならない。

「……今度こそ仕留める。」

「…っ…速いっ!」

さっきより格段に速くなったメリー姉の攻撃を避ける事しか出来ない。だが鎌の方が重たいのか、メリー姉も一度鎌を振るうと動きが止まるまで振り回すようだ。

「…これで…どうだっ!」

「…ぅ…目くらまし…?」

改良した光を撒き散らして爆散するライトを投げて視界をくらまし、メリーさんをバレないように近場のカウンターに隠した。

「…ここに隠れてるんだ。いいな?」

「……わかった……」

虚ろな目をしているメリーさんに隠れてもらい、再度メリー姉の前に現れる。

「…姑息な手を使って…余程死にたいのね…」

「……生憎だが、メリーに死なれる訳にはいかないんだ。だから早々にここから去ってもらう。」

どちらかが死ぬまで終わらないデスマッチ。お互いがお互いの出方を伺っているが、同時に攻撃を仕掛け始める。

「……死になさいっ!」

「殺られるかっ……!」

相変わらず大振りな鎌を避けてガラ空きの腹に蹴りを食らわせる。上に飛んだが、すぐに体勢を立て直してもう一度鎌を振るう。今度は蹴られると読んでいると思って近場のテーブルをぶん投げた。

「…ぐっ…」

「…どうした…そんなもんか…?」

…可笑しい。どうも順調に事が運びすぎている。そう思い警戒していたら…コトンッ……という音がした。メリーさんがいる方から。

「……メリーが死ねば貴方を殺しやすくなる…この時を待っていた……っ!」

「…ちっ…させるかよッ!」

メリーさんに向けて鎌を振り下ろす。だが…

「…がっ…」

「…悠太…っ!!」

メリーさんをかばって鎌が刺さった。血が抜けていく感覚が痛みと共にわかりやすく伝わってくる。痛いし苦しいし早く楽になりたい……

「……メリー…さん…逃げるんだ…」

「……姉さん…アナタを、殺す。」

「…それでいいわ。さぁ、来なさい。」

二人のメリーの殺意に無力さを感じながら俺の意識は闇の中に落ちていった__

長らくお待たせいたしまして申し訳ございません…

あと1話…か2話でこのメリーさんのchapterは終わります。次のchapterは迷っていますが、すぐに上げたいと思いますので気長にお待ちください。

それでは、ここで読んでいただきありがとうございました。

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