case1.メリーさん
__怪異や怪談に出てくる妖や化物が実際に居る。と言ったら信じるだろうか?…例えば『こっくりさん』や『メリーさん』などだ。そんな者達が人知れず生活していたとしたら…
「……起きろ、起きろ少年」
少し大人びた少女は青年と呼ぶべき男性を『少年』と呼んで起こしている。
「…もう少し寝かせてくれ…後、少年って呼ぶな」
「いいじゃないか。君が小さい時から一緒に居たんだから」
「なおさら良くねぇよ。だいたい、それいつの話だよ玉藻」
「いつだったかな…千年くらいは前だったよね、酒呑童子くん?」
完全に目を覚ましたのか、角がなければ好青年と呼ぶに相応しい鬼とその鬼をからかう9本の尻尾を揺らす狐。異常としか表現出来ないが、そんな狐と鬼が。その他大勢の『怪異』が普通に存在してる世界がどこかにあるとしたらどうだろうか…。…少し楽しそうではないだろうか__
__人々は『こっくりさん』や『ひとりかくれんぼ』などの一種の降霊術を楽しんで行うが、『妖怪』などの昔からの言い伝えがあるものや『都市伝説』等の有象無象なものを信じていない。まぁ、見たことがないからというのが一番なんだろうが…だが、俺はそういうのが居ると信じている。何故なら__
『__私メリーさん。今、貴方の家の前に居るの』
__…現在進行形でことに当たってるからだ。
メリーさん。これは都市伝説の一つで、昔少女がメリーと名付けた人形を引越しの際に捨てたらしい。その日の夜彼女の元に電話がかかり…という感じだそうだ。まぁ、後ろを見たら殺されるなんていう噂もあるらしいが、そこら辺は微妙なところだろう……
「さて、どう対処するかな…」
とりあえずメリーさんの姿を見たいのもあるが、ある目的のためには彼女の力が欲しいのが一番だから、今回あえて電話に出てみた。
__プルルルル…プルルルル…__
「さぁ、かかってこいメリーさん。」
決意を新たに電話に出る。
『__私メリーさん。今2階に…アデッ…』
……ガタガタ…バタン……
階段を上っていたのか段差に突っかかって転んでしまったような音が聞こえた。
「…この娘、もしかして」
ドジなんじゃないだろうか、と冷や汗を垂らしながら扉の前で待ち構えていた__