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フェーズ1

本文未編集

―シンザ村


夢を見ていた...、何の夢を見ていたのかは覚えていない。

そういえば、今日は冒険者になる為の試験があるんだったな。

早めに村長の所に行くか...

自分の部屋を出たところで俺の兄、カルマ・ライデンスに出会った。


「おはようカイ、よく眠れたか?今日は試験だったよな。がんばれよ」

「おはよう兄さん。試験ってそんなに難しいの?」

「うーん、どうだろうな、ただ自分専用の武器を取りに行くだけだからなぁ...まぁがんばれ」


そういって兄はその場から立ち去っていった。

兄さんは村一番の槍の使い手として名高い人であり、その力で特級竜騎士まで昇りつめた。おそらく父親の遺伝だろう。父、ゼクス・ライデンスは世界一の騎士と言われていたらしい。だが、その父は今行方不明となっている。

話を聞く感じ、新しい大陸の調査をしてくるといってもう4年経つが帰ってきてないそうだ。

いずれ帰ってくるとは思うが何をしているのだか...

そう考えてるうちに歩いていると村長の所に着いた。


「おはようございます。村長、カイ・ライデンスです」


俺がそう言うと奥から村長が出てきた。


「おぉ、カイ君か、では説明するからよく聞くんじゃぞ」

「はい」

「まずこれから行ってもらう所が村を出てすぐ近くにある光の林だ。この林を入ってしばらく奥に行くと泉がある。その泉の真ん中にカイ君専用の武器が刺さっている。それをとってくれば合格じゃ。尚、その持ってきた武器によってカイ君の職業が決まるぞ」


俺はそれに質問した。


「その林は迷わないんですか?」

「迷いある者は迷い、林から一生出られなくなる。迷い無き者は前へ突き進み光差す」


ようは何も考えずに突き進めということだろうか。

他にも質問してみた。

「その武器をただ取りに行くだけなんですか?何か起きたりしないんですか?」

「行ってみてからのお楽しみじゃ。そうじゃ、これを持って行くと良い。ロングソードじゃ」


この村長はひとごとだからこんなに楽しそうにロングソードをわたせるんだろな。しかも、ロングソードを渡してきたってことは、何かあるんだろうな。


「他に質問はないかな、カイ君」

「特にないです。では行ってきます」

「うむ、気をつけてな」


ということで村から出て光の林に行く訳なのだが、ちょっと村の外のゴブリンやスライム等の魔物を相手にして剣術の訓練をすることにした。剣術は昔父親から教わってたこともあり、かなりの技を習得している。だから、そのおさらいみたいなものである。


ちなみに、兄カルマは剣との相性が悪かったため一番相性の良かった槍を使用している。剣では弱かった兄は、槍にしてから物凄く強くなった。そして今俺が受けている試練で最強クラスの槍グングニルを手に入れたそうだ。俺はどんな武器が手に入るのか楽しみだ。





そうこうして魔物の相手をしながら進んでいると林に着くのだった。本当に綺麗な緑色だ。

とりあえず日が暮れる前に帰りたいので、林の中を走って進むことにした。

ちょくちょく魔物見つけるがスルーすることにした。そして、しばらく進むと光差す場所に出た。そこには大きな泉とその真ん中に剣が突き刺さっていた。

しばらく周りを見渡してから泉に近づいた。すると、どこからか声が聞こえてきた。


「何者だ!」


俺はそれに答える。


「俺はカイ・ライデンスだ」

「何の用でここに来た?」

「村からの試練でここにある武器を取ってくるように言われたんだ」

「そうか試練者か、これは失礼。最近林を荒らしにくるものが多々居て困っていたのだ。私は林の精フェニル、この林を治めるものだ」


そうか、どうでもいいが早く帰りたいのだが...

そうしている間に泉の真ん中に刺さっている剣から白い煙のようなものが出ていた。


「カイとやら、やつが来るぞ。気をつけろ」


フェニルがそう呟くと別の声が聞こえてきた。


「早かったな試練者よ、力が欲しくば我を倒してみよ!!」


その声がした後、白い煙が一箇所に集まり銀色の炎を纏った赤と白の大きな竜の形になった。

俺は平然と見ていた。そんな俺を見た竜は感心していた。


「目の前に竜が居るのに驚かんとは、非常に肝がすわっておるな」


このとき、俺はそんなのどうでも良かった。ただ早く帰りたいということだけしか頭に無かったのだ。とりあえず、始めていいか許可をとろう。


「あのう竜さん、もう倒していいですか?」

「竜さんじゃない、我には立派なラグナロクという名前がある!!」

「じゃあラグナロクさん、もう用意はいいですか?」

「まて、自己紹介させてくれ」


あー面倒臭い、つうか今自己紹介しただろう...、ていうかもういいだろう、殺っちゃていいよな?早く帰りたいし...

そしてラグナロクが自己紹介をしようとした瞬間、俺はその場から消え、一瞬でラグナロクの後ろに立った。


「音速切り!!」


俺はそう呟き、ラグナロクの尻尾を切断した。

そのダメージでラグナロクは倒れた。そして、ラグナロクは叫んだ。


「卑怯だぞ!カイ・ライデンス!!」


それに対して俺は睨みながらこう言った。


「まだやるか?俺は日が暮れる前に帰りたいんだよ。お前のダラダラにイライラしてるんだよ」

「小僧、舐めおって...、ならば全力で来るがいい」


そうラグナロクが言うと俺は笑って言った。


「ラグナロク、もうお前の首は切ったぞ」


いつの間にかラグナロクの首が地面に転がり落ちていた。


「...カイ・ライデンスといったな、合格だ。我、魔剣ラグナロクはカイ・ライデンスと契約を交わし、カイ・ライデンスの永遠のパートナーとなることを約束しよう」


ラグナロクがそう言うと泉に道が出来た。


「カイ、その道を歩いて泉の中央の魔剣ラグナロクを抜くが良い」


俺は言われた通りに中央に行って魔剣ラグナロクを引き抜いた。


「カイ・ライデンスよ、これからよろしく頼む」

「こちらこそだ、よろしく頼むラグナロク」


俺はこうして無事魔剣ラグナロクを手に入れたのだった。

そこにフェニルが声をかけてきた。


「試練を乗り越えし者よ、これを持っていくが良い」


そして、上から何かがゆっくり落ちてきた。


「それは三つ葉の紋章だ。その三つ葉の紋章はこの光の林以外の林や森で見せれば少しは優遇される筈だ」

「ありがとうフェニル、大事にするよ」


俺は帰ろうと思ったが一つだけフェニルに聞きたいことがあった。


「なぁフェニル、またここに来てもいいか?ここは居心地が良くて落ち着くんだ。後気持ちよく昼寝も出来そうだから」


それを聞いたフェニルは少しだけ微笑みを浮かべ答えた。


「...好きにするが良い。その代わり差し入れを持ってくるが良い」


なんて精霊だ、見返り求めるとか。まぁ俺も他人のこと言えたことじゃないけど。

そして光の林を後にし、シンザ村に帰るのだった。




―シンザ村


俺はシンザ村に戻ってきて村長に会うことにした。


「村長、戻りました。取ってきました」


俺がそう言うと奥から村長が出てきた。


「おぉ、おかえり。遅かったな、どうじゃった?」


俺は村長の目の前に魔剣ラグナロクを差し出した。


「見事じゃ、魔剣ラグナロクは最強クラスの武器じゃ」

「村長、そんなに強いんですか?竜のときはそんなに強くなかったんですが...」


このとき、ラグナロクから声が聞こえてきた。


「あれは、カイが不意打ちをしてきたからだ。それに我は剣に封印されている身だからそこまで力を出せなかったのだ」


村長は驚いていた。


「ほほう、喋れる魔剣か、これはますます期待できるな」

「村長、その期待とは何ですか?」

「この世界の冒険者はな、職業に就かねばならぬのじゃ。その職業を決めるのが試練で取ってくる自分専用武器じゃ。その自分専用武器の能力・特性によって職業が決められる。そしてそのひとつの職業にもランクがあるのじゃが、そのランクも自分専用武器の能力・特性によって決まる」


それを聞いて俺はひとつ疑問に思った。


「村長、なぜ使用者ではなく自分専用武器か職業を決めるんですか?」

「それはな、使用者と自分専用武器が能力比例しているからじゃ。自分専用武器は使用者の能力を形にしたようなものなのじゃ。使用者を見ただけじゃ能力がわからないが、その能力の形となる自分専用武器から能力を計測して職業を判別するのじゃ」


なるほど、だからあんな試練があったのか。


「村長、俺の職業は...」

「うむ、おめでとう。最上級戦士じゃ。ランクは下から低下級、下級、中級、上級、最上級、特級のなかの上から二番目じゃ」

こうして俺は最上級戦士という職業に着いたのだった。

このとき実感がわかなかったのだ。職業に就いたら冒険者になったということになるが、冒険者とは何をするものなのかを。だがそれは近いうちに知らされることになるのだった...。


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