32話
「君はお母上から何か…小さな宝石のようなものを渡されなかったか?ネックレスのようなアクセサリーかもしれないが」
……え?ここに来る前のアレかな?でも、言わない方がいいよね、多分。
「いえ、何も」
わたしがそう言うと、ジュリアンは軽く微笑み口を開いた。
「嘘はよくないよ。心当たりがあるんだよね?本当の事を言っても何もしないから大丈夫だよ、エマ、確認をしているだけだからね。」
……何で嘘ってバレたの?わたし、顔に出してた!?いや、そんなはずない。まさか、魔法?
私が内心慌てていると、は首をフルフルと振った。
「魔法なんかじゃないよ。こんな事に私達は魔法なんか使わないよ、魔力は貴重だからね。一部の例外はいるけれど。」
ジュリアンはチラリと後ろを振り返り、話を続ける。
「貴族は感情を顔に出しにくいけれど、君の表情はわかりやすいからね。……さぁ、君がお母上から渡された物を見せてくれないか?今持っているでしょう?」
確信に満ちた目で見つめながら、ジュリアンはわたしの近くまで歩み寄り、目線を合わせるようにしゃがんで右手を差し出した。
……どうせ、バレるし、嘘はつけない。仕方ないよね。
「み、見せるだけなら」
わたしはそっとネックレスを出した時、やはりねと呟きがきこえた。
「ありがとう、確認は済んだよ。でも、君をこのまま帰す事は出来なくなった。」
「え…どういう…」
「そんなに心配しなくてもいい、君のお母上と少し話をさせてもらうから、君も同席するといい。そこで詳しく説明させてもらうよ。」
数分後
お母さんが入ってきた。後ろにはお父さんも控えている。2人とも驚いているようだ。お母さんは私の元に駆け寄り怖かったでしょうといいながら抱きしめてくれた。
「お久しぶりです。姉上。それと、ロベール。やはり姉上の相手は貴方でしたか。」
……?ロベールってお父さんの事?ロベルトじゃなくて?てゆうか、姉上ってどういう事?
「ジュリアンが来るなんて想定外よ。それに、この顔ぶれはどうした事なの?」
お母さんはマントのフードを脱ぐと、たった一人の平民の検査に上位貴族が三人も来るのはやり過ぎではないのかと、眉根を寄せた。
「それには、訳があるのですよ。
まぁ、あまり詳しくは話せませんが……。ただ、姉上のお子とわかった以上この子を平民として置くわけにもいけません。」
その言葉をきいたアリアがカッと目を開き、私達の子をどうする気?と怒りをあらわにしているのが見えた。
「そんなに怒らないで下さい。まだ何も言っていませんよ。まずは話し合いといきましょう。っとその前にエマにかかってる認識阻害の魔法の解除をお願いします。」
次はお話し合い