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27話 2人目




ラウルに星見祭は家族と行くと伝える。勿論、ラウルも一緒にどうか提案した。わたしと一緒に行きたいと言っていたが、雰囲気的には二人でという感じでも言葉にはしてなかったはずだ、家族が一緒でも問題ないだろうし、約束は果たせる。しかし、ラウルは「僕はいいよ」と首を左右に振って遠慮していた。


多分、お祭りには行くはずだから向こうであったら声でも掛けようと思う。



星見祭の事を伝えるために外に出たが、暑くて採集する気分でもない。しかし、折角外に出たのだから、魚との再戦でもしようと考えている。

目的地に近づいた時、人影を感じて木が生い茂ってよく見えない場所を注視する。



「あ!えーと」


……名前きいてないから、何て呼べばいいかわからないや


黒マントの人を見つけたので、昨日の魔法の事を訊きたかったが、初手で躓いてしまった。遠くから声を掛けるのはやめて駆け足で近くまで行く事にする。


「ラウル、わたし、あの人に用があるから先に行ってて」


待たせるのも可哀想だから、先に行ってもらう。



かなり距離があるけれど、向こうも気が付いたのか、こちらを振り返る。わたしは手を振ってみた。そして、走る。


「そんな所で何をしているんですか?」


昨日と違い、初めからマントのフードを被っている男に声を掛けるが、返事がない。顔が見えないから、表情を読み取れないが、訝しんでいることがわかる。


「昨日のお兄さんでしょ?わたしですよ、わたし!もしかして……わすれちゃいましたか?」

「君には私が見えるのか?」


質問を質問で返され、元々あった疑問符に更に疑問符がニョキニョキ生えてくる。


「はい?見えますよ。昨日も確か似たような事を訊かれたような……何ですか、その質問。意味があるようには思えないんですけど……」

「そうか。昨日の事は知らぬが、それは私ではない」


……え、人違い?そう言えば、声が違うような……


さっきまでは気付かなかったけど、声も違うし、よく見ると身長も違う。知ってる人だと思えば、違う人だったときの恥ずかしさで頭を抱える。すると、頭上から男に声を掛けられた。わたしは頭を抱えたまま、目だけを上に向ける。


「君が昨日遭ったという人物の話をしてくれないか」

「え、無理です。約束したので」


ブルブルと頭を振って顔を上に向けると、男はわたしの額のあたりに手をかざす。


「ふむ、魔術は掛けられていないようだ。いや、形跡はあるか……」


小さく呟かれた声に首をかしげる。


「話せるはずだが?」

「いや、だから約束してるから無理なんです。」


わたしは又首を振る。


暫くの沈黙の後、諦めたように嘆息した男が口を開いた。


「もう、良い。君が見た人物が誰かは凡その検討がついている。君には魔術が掛けられていたが、解呪されているようだった。心当たりはあるか?」


「あっ!」と声を出したわたしに、「あるようだなと」言うと次の言葉を続けようとする。


「ちょっと、待ってください!魔術が掛けられていたというのはわかります。でも、解呪ってどういうことですか?解けているのですか?」


「説明が必要か……君に掛けられていたのは一度だけ効力を発するものだった。君の「約束」という言葉に引っ掛かりを覚えたので調べたのだ。その約束に関する行動を制限する魔術だろうと思われる。」


わたしの質問に答えてくれるあたり、親切だと思う。わたしは成る程と一つ手を打つ。しかし、すぐに慌てる。


「それなら、心当たりがあります。でも……その魔術が解けると困ります。」

「何故だ?」

不思議そうな声色で訊かれたので答える。


「ついうっかり、口を滑らしたら大変じゃないですか。」

「君は変だな」


返ってきた言葉に驚いて目を瞬く。至って真面目に答えたのに変だとは失礼だ。ムッと口を尖らせたわたしに「あの人の事だ。大した約束でもないのに魔術を行使したのだろう。気にしなくても大丈夫なので、いつも通りに過ごすと良い。」と言って頭をポンポンと叩く。


……本当にいいのかな……気にしないようにしなきゃ。でも、変に気にしないようにすると、逆に気になるんだよねー。どうしよう。



思考を巡らせていると声がした。


「ああ、そうだ。気になる事があったので確認をさせてくれ。」

「何ですか?」


フードに隠れて見えない顔があるあたりを見つめる。


「君は……平民か?」


当たり前の事を訊かれて頷く。わたしはあった事も見た事もない為知らないが、平民街の森にいる子どもで貴族の子がいるのだろうか。腕を組んで考える。


「それでは……いや、これを尋ねたところで分からぬか。……ところで、君は誰かと一緒にいたようだったが、その者の下へ行かなくても大丈夫なのか?」


言いかけた言葉を飲み込むように、首を振った男が話題を変えた。ラウルの事を言っているのだと分かり「では、そろそろ行きます」と言うと、「そうしなさい」と背中を押す。わたしは頭を下げてその場を去った。












「君とは、又あうことになりそうだ。」

その言葉はすでに歩き始めたわたしの耳には届かなかった。







人違いをして、恥ずかしがります。前回かけられた行動制限魔法の効力は一回だけなので、口を滑らさないようにしなければと慌てたり、気にするなと言われて気にしない為にはどうするかを考えたりしました。


次は星見祭



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